日々を楽しむ小さな工夫 
食空間コーディネーター 
ペレ信子さんvol.3

日々を楽しむ小さな工夫013-vol3 倹約家のフランス人に学んだお金の使いどころとは

「古い物を大切にする文化を
わが家でも受け継いでいます」

「フランス人は、既成概念で物を買わないんです」とペレさん。そこには“受け継ぐ文化”が深く関わっていると言います。フランスでは家財などを代々受け継いでいくことが当たり前で、おのずと物を大切にする心が根づいているそうです。
ペレさんの住まいにも、フランス人のご主人の祖父母や両親から譲り受けたものがあちこちに。お祖母さまが揃えた器やキッチンクロス、そして、もはや名前もわからない祖先が1815年に描いた絵画まで……。一族の歴史が映された品々は、ほかにはない個性を暮らしの空間につくり出し、家への愛着も深まります。

「フランス人は倹約家。
それは、逆に暮らしを豊かにします」

経済観念にも特長があり、「必需品とされる物」ではなく「自分に必要か」を見極めて購入を決めるのだそう。
「例えば、フランスではテレビを持たない家庭が珍しくありません。また、教育のために子どもが幼い頃からきちんとした服を着せる考えの人がいたりと、お金をかけるポイントはそれぞれです」。
ペレさんの場合、食卓まわりの仕事をしていますが、食器や調理道具は余分に持ちません。便利に使えて増えがちな白い食器も、2種に絞って使い回しています。ひとつは結婚時にご主人の両親から贈られた伝統あるメーカーの器を一式、もうひとつはイタリアの業務用の器のセットです。「業務用の器はシンプルさはもちろん、子育て中の私には丈夫で壊れても買い足しやすい点も魅力でした」。逆に、クロス類など食卓を演出するアイテムは数を絞らずバリエーションを揃えて楽しんでいるそう。
倹約といっても単に切り詰めるのではなく、自分の価値観でお金の使いどころを選ぶということ。そうした考えが、満足感のある暮らしにつながっているようです。

信子さん流、物の持ち方のルール

食器の数を絞っている分
テーブルクロスで変化を出す

同じ器を使っても、組み合わせるテーブルクロスの色柄によって雰囲気は一変。ペレさんは、大切な食卓での時間を豊かに彩るアイテムとして色数豊富に揃えています。コーディネイトを考える時は、季節や料理のイメージ、こぼしたときに染みが目立たないかどうかも考慮しています。

  1. 「最近、なかなか大判のテーブルクロスに出合えなくて」とペレさん。イメージに合う柄を求めて、140cm幅の生地を購入してテーブルクロスとして使うことも多いとか。花柄のリネンの生地はイギリス製。
  2. フランスで購入。バスク地方の布なので、バスク料理のディナーによく合わせます。
  3. 落ち着いた赤をベースにした華やかなクロス。クスクスなどエキゾチックな料理に合わせるほか、冬の食卓ではあたたかみのある雰囲気になる点もお気に入り。

季節感を大切にしたいから、
模様替えに役立つカバーを活用

四季の移ろいをインテリアにも取り入れるよう心がけているペレさん。色や柄、素材感で季節感を印象づけられるファブリックはとても便利で、特に気軽に交換できるクッションカバーはお気に入り。白×ブルーのさわやかなストライプ柄は夏に、深いグリーンや針葉樹を思わせる葉の柄はクリスマスシーズンを盛り上げるのに愛用しています。

Fin

次回は、
おもてなし夫婦ユニット、
てとてとさんに登場いただきます。

Profile

ペレ信子 Nobuko Perrey

ペレ信子さん 写真

フランスのブルゴーニュ大学に留学後、フランス企業に4年間勤務。フランス人と結婚し、日本で暮らし始める。翻訳のほか、フランス料理とテーブルコーディネイトのサロン「Table de N 」を主宰し、食卓を通じてフランスの文化を伝えている。著書に『フランス流 しまつで温かい暮らし』(講談社)、訳書にダニエル・マルタン『鍋ひとつでできるお手軽フレンチ』(サンマーク出版)。

https://www.nobukoperrey.com/

ブログ:https://recevoir.exblog.jp

granden25

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