日々を楽しむ小さな工夫
食空間コーディネーター
ペレ信子さんvol.1
「フランスでは頻繁に来客があるので
LDKはパブリックスペースとして
整えるんです」
高校生の頃からフランスに関心を持ち、語学を勉強していたというペレ信子さん。大学時代の留学を経て現地の企業に就職。数年間をフランスで過ごすなかで文化や国民性にたっぷり触れ、特に食事や会話など家族の時間を大切にする生活スタイルに影響を受けたと言います。
その後、フランス人のご主人との結婚を機に日本に帰国。これまでに得た知識を生かして料理やテーブルコーディネイト、暮らしを豊かに彩るコツなどを発信しています。
12年前に都内に建てた住まいを訪ねると、そこはまるで海外の邸宅。訪れる人を瞬時に和ませる、明るくて居心地のよい空間です。「日本では住空間は“巣”に近い認識ですが、フランスではLDKを“パブリックスペース”と考え、いつでも人を招き入れられる状態にしているんです」。
「家電品など無機質なものは隠して
リラックスできるインテリアに」
LDKは木製家具と白を基調にした、すがすがしいインテリア。小物のディスプレイやファブリックづかいなど、居心地のよさを演出する工夫が多々凝らされていますが、特に注目したいのが家電製品を見せない工夫。実は、骨董店で見つけた水屋箪笥の中に収めているのです。
「この箪笥を見つけたときに主人がすぐ採寸し、まず、テレビが入ることを確認して購入したんです。主人の実家でもテレビを隠す家具をあつらえていたんですよ」とペレさん。配線のために背板は一枚はずしてアレンジし、テレビ以外にも、雑然とした印象になりがちな生活用品を収めているので、引き戸を開閉したときの印象の違いは歴然です。
「色づかいや香りなどで
季節感の演出も大切にしています」
また、季節感を意識した演出はペレさんのこだわり。「暖炉や和箪笥の上を季節の小物を飾るコーナーとしています」。ひな人形など行事ごとの装飾だけでなく、キャンドルやクッションカバー、壁面に飾る絵画も色づかいを意識して季節ごとに交換するそうです。
また、フランスでは住まいの香りにも気を配る習慣があるため、季節によって異なるアロマディフューザーを選ぶなど、視覚以外でも家族やゲストが心地よい時間を共有できる演出も意識しています。
ペレさん流
壁面デコレーションの工夫
リビングの壁を彩る絵は
2パターンを季節によってチェンジ
「欧米では、真っ白な壁はあまり見ません。皆思い思いに飾っているんですよ」。ペレさんがソファ近くの壁に常時飾っているのは絵画。この日は秋冬に向けて、涼しげなモノクロの絵画から実とカゴが描かれた暖色系のものにチェンジ。この絵はご主人の仕事の都合でアメリカに暮らしたとき、借りていた家に飾ってあったものを譲ってもらったという思い出の品。
廊下は子どもの作品ギャラリー。
季節に合う色やモチーフを選んで
- 敷地と間取りの都合上長くとった1階の廊下を生かせるように「ギャラリーにして楽しく彩ろう」と考えたそう。3人のお子さんがこれまでに描いた作品専用のコーナーとし、季節に合う色味を選ぶなど、定期的に入れ替えています。
- ギャラリーを飾る選抜作品は、段ボールで作ったケースに挟んで保管しています。丸めるよりもきれいに保て、出し入れしやすく便利。保管しきれない作品は、写真におさめているそう。
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vol.2 家時間を豊かにする週末の
過ごし方にクローズアップ
Profile
ペレ信子 Nobuko Perrey
フランスのブルゴーニュ大学に留学後、フランス企業に4年間勤務。フランス人と結婚し、日本で暮らし始める。翻訳のほか、フランス料理とテーブルコーディネイトのサロン「Table de N 」を主宰し、食卓を通じてフランスの文化を伝えている。著書に『フランス流 しまつで温かい暮らし』(講談社)、訳書にダニエル・マルタン『鍋ひとつでできるお手軽フレンチ』(サンマーク出版)。
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