日々を楽しむ小さな工夫
料理家・写真家
minokamoさんvol.3
「器に絵を描くように、
料理を盛りつけてみましょう」
真っ赤なトマトや茄子紺、色とりどりのピーマン……。まぶしい日差しに育まれた力強い色は、夏野菜の大きな魅力。日々の食卓にもこの色を生かして、夏らしさを満喫したいところです。
今回minokamoさんに見せていただいたのは、夏野菜たっぷりの食卓。
食卓全体のにぎやかさはもちろん、“ひと皿”ごとの彩りの美しさも目を引きます。
「洋服を選ぶように、料理に似合う器を選んでみましょう。食材と色味の異なる器でコントラストを楽しんだり、食材と似た色の器で落ち着いた雰囲気に仕立てたり。ひと皿の上に絵を描くような感覚で盛りつけてみると楽しいですよ」。
「同じ料理でも合わせる器によって
見え方が変わってきます」
器によって料理の印象ががらりと変わることを示してくれたのは、万願寺とうがらしの肉詰めにじゃがいもとなすのグリルを添えたワンプレート。「左の柄つきのプレートは、かわいらしく。涼しげな白が基調の青い柄です。右は無地で深い色のプレートでシックなイメージです」。
どちらのプレートも、食材の形もそのままに、余白を生かした盛りつけをしているのもポイント。器のキャンバスに夏野菜が生き生きと映えています。
「個性的な色柄の器は
意外と料理が合わせやすいです」
器を選ぶとき、つい無難な色や無地のものに手を出しがちですが、ビビッドな色や強めの柄のものもminokamoさんのおすすめ。
「使うのにちょっと構えてしまう方もいるかもしれませんが、盛りつけてみれば『あら素敵!』となりますよ」。
鮮やかな緑と黒の釉薬を掛け分けたプレートには、カット野菜とディップを。切っただけのカラフル野菜が、色づかいと盛り方で、とても楽しいひと皿に。ディップはそば猪口に入れてプレートにオン。
「たれのほか、汁気のある惣菜は、そば猪口やぐい呑みに入れて器にのせると、ほかの食材に味が移らないし、特別感も出ますね」と、ちょっとした演出も加えながら、ひと皿を彩っています。
minokamoさん流
夏サラダの器づかい
どんぶりを
赤と緑のサラダボールに
野菜をたっぷり味わえるお手軽料理といえば、生野菜のサラダ。「いつも同じ平皿に盛ったり、サラダ専用のボールを使うだけでなく、どんぶりに季節の野菜を盛ってみてください」と、minokamoさんが提案してくれたのが、2色の夏野菜サラダ。
印象的な赤い器には紫キャベツやトマトなど、赤系の野菜を中心に。深い色味のどんぶりはレタスやきゅうりなど、さわやかな緑の野菜で統一。「たとえば、春ならアスパラやスナップえんどうの緑、秋はきのこやさつま芋の茶、冬は白菜や大根の白。それぞれの季節の旬をたっぷり盛って楽しんでみてくださいね」。
写真協力/minokamo、村山玄子
Fin
次回は、
建築家のご主人と雑貨店を営む
奥さまによる「テラ・コヤ」に
登場いただきます
Profile
minokamo
岐阜県美濃加茂市出身の郷土料理家・写真家。本やカタログでのレシピ提案と撮影のほか、地域食アドバイザーとして土地の食材を使ったメニュー提案や商品開発も手がける。書籍やイベントで器の盛りつけ提案も多数行う。著書に『ふるさと雑穀のっけごはん』(みらい出版)、2020年9月に郷土料理取材をまとめた『料理旅から、ただいま』(風土舎)が刊行予定。
すむすむはSNSでも
住まいに関する情報をお届け!
ぜひフォローください