日々を楽しむ小さな工夫
美濃羽まゆみさんvol.1
「京町家に住み始めて、
暮らし方を見直すようになりました」
美濃羽さんの住まいは築100年の京町家。懐かしい佇まいの魅力はもちろん、中は手づくりやお気に入りの生活道具でしつらえた空間が、あたたかな空気を生み出しています。
整った住空間と、手づくりを軸にしたライフスタイルからは“ていねいな暮らしぶり”が感じられますが、意外にも美濃羽さんは「もともとはずぼらで面倒くさがりなんです」と話します。古い建物ゆえの不便さに加えて、家事への苦手意識や育児、仕事……。慌ただしい日常を美濃羽さんらしいリズムで歩んでいけるようになったのは、自分の性格やライフスタイル、住まいに合わせて試行錯誤を重ねてきたから。
家事や育児の負担を減らし、身軽でいるために見直したことについて伺ってみました。
「気負わず家事ができるように、
小さな工夫を積み重ねています」
最初にぜひご紹介したいのが、美濃羽さんの家事との向き合い方。家事のなかでも片づけ&掃除は特に億劫ですが、「『やらなきゃ』と思うとしんどいけれど、片付いているとやりたいことがすぐできる。片付けは未来への準備だと思うと、なんだかワクワクしてきますよね」。
大好きな手づくりをしたり、家族と団らんしたり、本を読んだり……。片づいていないと楽しい時間だって気持ちよく過ごせませんが、“後片づけ”を“準備”ととらえることで気持ちはグンと楽に。発想の転換は、家事と上手に向き合うための第一歩なのかもしれません。
「当たり前だと思っていたモノ・コトも、
ときに再検討してみます」
手間も気持ちも楽にする工夫として、“持ちものの選択”も大きなポイントに。あって当たり前と捉えがちなものでも、自分に必ずしも必要とは限りません。美濃羽さんが試したのは、洗い桶や生ごみカゴ、ごみ箱を持たない暮らし方。結果は大成功でした。「なにか不便を感じることがあったとき、便利アイテムをプラスするのではなく、ときにマイナスしてみると意外な解決法が見つかるのかもしれません」。ここでも発想の転換が美濃羽さん独自の“らくちん”を生み出しています。
美濃羽さんが実践する暮らしの工夫
生ごみカゴや洗い桶をキッチンに置かない
生ごみカゴや洗い桶をシンクに置けば、それぞれのそうじも面倒なので思い切って手放しました。調理する際に出たゴミは、その都度新聞紙を広げてくるむスタイルで処理。その後は作業台脇につるした紙袋にポンと入れるだけ。新聞紙はすぐ手にとれるようにキッチン脇の棚にセットしています。
ごみ箱をやめて、ごみ袋を利用
「わが家は京町屋で縦に長く、ごみを集めるのもひと苦労。そこで、使い捨ての紙袋を代用することを思いつきました」。これなら各部屋のごみ袋を回収するだけ。壁に吊るすので床掃除もスムーズなうえ、ごみ箱の周囲を掃除する手間も省けました。紙袋は、買い物でもらった小ぶりのものを使ったり、新聞紙を折って作ることもあります。
美濃羽さん愛用の「使い捨てゴミ袋」
美濃羽さんは口部をフック型のピンチで挟んで、壁にハンギングしています。袋は時間にゆとりがあるときに折って近くにセットしておくと便利。ごみ箱がわり以外にもあれこれと活用できそうです。
袋と箱型を用途に応じて使い分けられるので便利
使い捨てごみ袋の作り方
- ①新聞紙1枚(2面分)を折り山で折って、折り山を下に置く。
- ②下の両端を中心線に合わせて三角に折る。
- ③上部の手前の2枚のみを手前側に2回折り込む。
- ④③を反対に返し、両端を中心線に合わせて折る。
- ⑤上部を2回折り込んで③の折り返しに入れ込んで完成。
- ≪箱型で使う場合≫
- ⑥写真の赤の点線部分に折り目をつける。
- ⑦袋の入れ口を広げて立体に膨らませたら、
⑥で付けた折り目に沿って手を差し込み凹ませる。 - ⑧底辺となる部分が正方形になるように、
折り線に沿って整えたら完成。
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vol.2 美濃羽さん流の
“モノの選び方”についてクローズアップ
Profile
FU-KO/美濃羽まゆみ Mayumi Minowa
ハンドメイドの子ども服・おとな服ブランド「FU-KO Basics.」主宰。
手づくり暮らし研究家。
築100年の京町家で12歳の長女と6歳の長男を育てながら洋服を作り、メディアや講演会を通じて「ものを作る、幸せのかたちを作る」をテーマにしたアイディアやヒントを提案している。
洋裁やライフスタイルに関する著書も多数。2019年11月27日に、手を加えて長く着ることができる子ども服ソーイング本「長く楽しむ、子ども服(仮)」(日本ヴォーグ社)を出版予定。
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