家づくりを考えはじめると、まずはリビングやキッチンなど、室内の間取りに目が向きがちです。しかし、間取りが決まると、家の外観やシルエットは大きく変えることができません。設備選びや間取り検討と並行して、「外観づくり」にも目を向けることが大切です。
屋根材や外壁材は、住まいの第一印象を決める重要なパーツ。色や素材の選び方次第で家の雰囲気は大きく変わります。内装と同じように、外観にもこだわることで理想の住まいに近づいていきます。
屋根材を選ぶ
寄棟や切妻、片流れなど、屋根のシルエットにはそれぞれ異なる魅力があります。また、化粧スレートや金属屋根、瓦など素材ごとに性能や印象も違います。屋根の種類や屋根材の特長を知り、理想のわが家に合った屋根を選びましょう。
代表的な屋根の形状を知る
多彩な種類が存在する屋根のシルエット。それぞれの特長を知り、建物全体のデザインに活かすことで、統一感と洗練さを兼ね備えた外観を演出できます。
寄棟屋根
四方向に傾斜がありどの方角からの雨風にも強く、重厚で安定感のある印象。
切妻屋根
屋根の頂点(棟)から左右に傾斜する2面構成。シンプルで落ち着いた印象。
片流れ屋根
屋根が一方向に傾斜した形で、現代的でスタイリッシュな印象。
陸屋根
傾斜のない平らな屋根。屋上利用が可能で、直線的でモダンな印象。
屋根材の種類と特長を知る
屋根材は外観デザインだけでなく、住まいの快適性や維持管理に直結します。お住まいの地域の気候に合わせて選ぶことが大切です。
スレート系
セメントを固めて製造加工した屋根材。軽量で施工しやすく、カラーやデザインも豊富。コスト面と意匠性を兼ね備え、広く採用されている。
金属系
金属の素材は主にガルバリウム鋼板であることが多い。耐食性に優れ、シャープで直線的な外観に。軽量で耐震性の点でもメリットがある。
瓦系
陶器瓦は60年近い耐久性が期待でき、和洋どちらのデザインにも合う重厚感が魅力的な一方、重量があり価格も高め。比較的安価な軽量瓦が普及しつつあるが、定期的な点検や補修が必要。
屋根材選びに欠かせない視点
屋根材は、見た目だけでなく、住まいの安全性や快適性、維持管理にも大きく関わる重要なパーツです。台風や地震に備える安全性、外観との調和、メンテナンス性、そして保証制度まで含めて、総合的に検討することが大切です。
価格・性能面を比較する
屋根材には、住まいの環境を向上させるさまざまな機能があります。
代表的な屋根材の価格や性能を比較しています。選択の参考にしてください。
代表的な屋根材
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スレート系
比較的低価格で普及率が高く、耐震性・防音性にも優れる。ただし耐久性は約20年で、定期的なメンテナンスが欠かせない。
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金属系
軽量で耐震性・耐風性に優れる一方、厚みの薄い製品では防音性に劣る場合がある。耐久性はおよそ30年が目安とされている。
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瓦系
重厚で外部の影響を受けにくく、耐熱性・防音性に優れる。価格は高めだが、耐久性は30〜60年と長く、条件によっては長期にわたりメンテナンスが不要となる。
デザイン面を比較する
高級感のある仕上がりを目指すなら、「瓦系」や「スレート系」がおすすめです。特に「スレート系」は、カラーバリエーションが豊富でデザインの幅が広く、人気があります。また、「ガルバリウム鋼板」は、加工しやすく、シャープな印象を演出できるほか、コストを抑えられる点で選ばれることも多い屋根材です。
屋根の形状との相性は、目指す外観スタイルによっても変わります。以下に代表的な組み合わせ例をご紹介します。
代表的な組み合わせ例
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寄棟屋根と瓦系屋根材
落ち着いた重厚感のある和風なスタイルも可能に。
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切妻屋根とスレート系屋根材
屋根勾配を高くしても屋根材が軽量なら安定し、北欧風のスタイルも可能に。
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片流れ屋根と金属系屋根材
直線的なデザインが、洗練されたモダンなスタイルも可能に。
保証・メンテナンス制度も知っておく
製品の保証はメーカーや商品ごとに期間や内容が異なるため、事前に確認することが大切です。内容が変更される場合もあるため、製品を選ぶ際には最新情報を自分で調べ、保証期間や適用条件についてもチェックしておきましょう。
外壁材を選ぶ
外壁材を選ぶときに、カタログ写真から好みだけで選んでしまうと、「思った仕上がりと違う…」と後悔したという声も少なくありません。外観デザインを成功させるためには、「色」「素材感」「組み合わせ」のバランスを知ることが大切です。調和と個性を両立させた外観づくりを実現しましょう。
色の組み合わせ方を考える
①ベースカラーとアクセントカラーの考え方
外壁や屋根に使用する色は「ベースカラー」と「アクセントカラー」の組み合わせによって統一感と個性を生み出します。外観に用いる色数は3色までが目安とされ、同系色でまとめることで調和の取れた仕上がりになります。
②張り分けの手法を考える
外壁の色を張り分けることで、住まいに個性や自分らしさを表現できます。基本は「ベースカラー」と「アクセントカラー」を軸に、建物の形状に合わせて配色すること。これにより全体のバランスが整い、洗練された印象を与えます。次からは具体的な張り分け方の手法を紹介します。
代表的な張り分けの手法
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ブロックで分ける
面が多い箱型を組み合わせた家は、ブロックごとに色分けを考えれば分かりやすい。
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玄関まわりだけ分ける
凹ませたエントランスだけアクセントカラーを使えば、色の切り替えがスムーズに。
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前後で分ける
濃色を前にすると安定感のある印象に。濃色を後ろにすると奥行きのある落ち着いたデザインに。
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ブロック分けなし(一色)
全体をひとつの色・柄で統一する場合はひと工夫でより愛着のある外観に。
色の選び方を工夫する
外壁の色は、自分の好きな色から選ぶとよいでしょう。しかし、張り替えなどの工事をしない限り外壁の色を変えることができないので、飽きのこない色を選ぶことをおすすめします。また、色の持つ印象から外壁の色を選ぶのもよいでしょう。白や淡い色は清潔感や爽やかさを演出し、黒などの濃い色はモダンで重厚な印象を与えます。ただし、色は面積が広いほど強調されるため、サンプルで見た印象より鮮やかに感じることがあります。また、住宅は地域の景観の一部であるため、周囲との調和も忘れてはいけません。ナチュラル系の街並みに鮮やかな色を取り入れると浮いた印象を与えることもあるため、環境とのバランスを意識して選ぶことがポイントです。
素材感で印象をつくる
目指したい外観デザインの種類に合わせて、素材感を選ぶことが重要です。例えば、ナチュラルな雰囲気には木目柄や塗り壁(フラット/プレーン)柄などの自然素材が馴染みやすく、シンプルモダンには直線的な金属/ライン柄が合います。また、柄の主張度合いにも注目してみましょう。主張の大きなレンガ柄や石/タイル柄(大)は、凹凸が大きく陰影が深くなり、重厚な印象に。塗り壁(フラット/プレーン)柄や金属/ライン柄のような主張の小さい柄では、陰影が小さいためソフトな印象になります。
色と素材の組み合わせ方を考える
①基本は3種類以内に
屋根や玄関扉を含む外観全体で使用する色と素材は、基本は3種類以内にまとめ、ベース70%、メイン25%、アクセント5%の黄金比を意識するとバランスが良くなります。
②色のトーンはそろえて、柄のサイズに差をつける
色同士はトーンを近く、素材感同士では柄のサイズに差をつけると、統一感が生まれ飽きのこない外観にすることができます。素材感の組み合わせには相性の早見表を用意していますので、参考にしてください。
長く美しく保つためのメンテナンス視点で選ぶ
せっかく理想の外観を実現しても、年月とともに劣化が進めば美しさは損なわれてしまいます。だからこそ、外壁や屋根を選ぶときには「メンテナンス性」を意識することが欠かせません。耐久年数やメンテナンスサイクルを把握し、最新の技術や保証制度も活用することで、お気に入りの外観の美しさを長く保つことができます。
商品選びで覚えておきたいライフサイクルコスト
住宅の外壁材として一般的な「窯業系サイディング」と、屋根材として広く用いられる「化粧スレート」には、それぞれ異なるメンテナンスサイクルがあります。
代表的な化粧スレート
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窯業系サイディング
10~15年ごとに塗装やシーリング補修が必要。
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化粧スレート
10~15年程度で塗装が必要になるケースが多い。
外壁や屋根を選ぶ際は、初期費用だけでなく、補修の頻度や耐久性、清掃性といったライフサイクルコストも見据えて検討することが重要です。
長期保証・セルフクリーニング機能に注目
外壁や屋根のメンテナンスを軽減するためには、最新技術の活用が効果的です。特に注目されるのが「長期保証」と「セルフクリーニング機能」です。ケイミュー株式会社の「光セラ」は、太陽光と雨水の力で汚れを浮かせて洗い流すセルフクリーニング機能を備え、外壁を美しく保ちやすいのが特長です。また、40年保証が付いており、従来10~15年ごとに必要だった補修の手間を大幅に減らすことができます。美観の維持だけでなく、清掃や塗り替えの頻度も抑えられるため、長期的なメンテナンスコストの削減にもつながります。
理想の外観を実現するために
理想の外観を実現するには、美しさと機能性のバランスが欠かせません。ご紹介してきたように、屋根材や外壁材の「色」「素材感」「組み合わせ方」、そして「メンテナンス性」までを含めて、外観づくりは多くの要素が関わります。
実際に検討を進める際は、ショールームや実物サンプルで質感や色合いを確認しながら、具体的なイメージを持つことが大切です。
また、街歩きをしながら、家の外観を見て回るのもイメージがつきやすいですね。
外観のイメージができるシミュレーションもありますので、ぜひご利用ください。
自分らしい外観を思い描きながら、納得のいく選択を重ねて、満足度の高い外観づくりを目指しましょう。
この内容は2025年9月現在のものです。
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