2025.09.01

イマドキの外観デザイン

家の印象は「外観」で決まる──それは訪れた人だけでなく、自分たちにとっても、毎日目にする“家の顔”だからこそ。間取りや設備と同じように、外観にも時代ごとのトレンドがあります。ただし流行を追うだけでなく、家族の個性や街並みとの調和を意識した、長く愛されるデザインを目指したいところ。ここでは、最近注目されている外観スタイル・素材・カラーの傾向をわかりやすく紹介します。

トレンドは“シンプル+個性のある外観”へ

外観デザインの傾向は年々変化していますが、最近は「シンプルだけど印象に残る」デザインが注目されています。直線的で端正なフォルムをベースに、素材や色の組み合わせで“自分らしさ”を演出するスタイルが主流です。昔のような派手な装飾よりも、周囲の環境に馴染みながらも個性を感じさせる、バランスの取れた美しさが求められています。

また、近年は「テイストミックス」も人気。好みのライフスタイルや家族像を反映させるように、デザインの方向性を持たせることで、より愛着の持てる住まいに仕上がります。代表的なスタイルには次のような傾向があります。

代表的な外観スタイル

  • 北欧風・ナチュラル系

    白壁に木目調アクセントを組み合わせた、明るくあたたかみのあるデザイン

  • 和モダン系

    深い軒や格子を活かし、落ち着きと風格を兼ね備えた佇まい

  • インダストリアル系

    金属やコンクリート調を取り入れた、シャープで個性的な印象

“ナチュラルな質感”の外壁材が人気

外観の印象を大きく左右するのが、外壁材の「デザイン・色・質感」。中でも最近は、光の当たり方や陰影の出方、手仕事のような風合いなど、“ナチュラルな質感”を感じさせる外壁材が注目されています。外観全体はフラットでミニマルなフォルムにしつつ、素材感で奥行きと表情を加えるのがトレンドです。
また、住宅の外壁は日差しや風雨に常にさらされる場所でもあるため、見た目だけでなく、耐久性やメンテナンス性といった「機能美」も重視されるようになっています。最近では、質感のあるサイディング、重厚感のあるタイルなど、選択肢がますます多様に。デザイン性と実用性のバランスを見極めることが、納得できる外観づくりのカギとなります。
代表的な外壁材のタイプとしては、次のようなものがあります。

代表的な外壁材

  • サイディング

    機能性とコストのバランスに優れ、木目調・石目調・タイル調など意匠性の高い柄が揃うのが魅力。色柄のバリエーションが豊富な窯業系が主流。
    近年、特に人気があるのは金属系のガルバリウム鋼板で、無機質でモダンな印象を演出しつつ、メンテナンス性にも優れ、都市型住宅での採用が増加中。

  • 塗り壁(モルタル・漆喰など)

    手仕事ならではのあたたかみのある質感が魅力。最近では、漆喰や珪藻土など自然素材を用いた塗り壁が、デザイン性だけでなく性能面でも注目されている。
    雰囲気を保ちつつ施工性を高めたモルタル風・漆喰風のサイディングも人気。

  • 外壁タイル

    高級感・重厚感があり、耐久性やメンテナンス性に優れる。
    特に高価格帯住宅での採用が多く、品格や存在感を演出したい外観におすすめ。

“カタチ”と“窓”で魅せる、フォルムデザインの新定番

外観は、素材や色だけでなく家の“カタチ”そのものによっても大きく印象が変わります。屋根の形状や建物のプロポーションに加え、開口部(窓)の取り方や配置バランスが、外観全体の“顔つき”を決める要素に。近年は、箱型・片流れ屋根などのシンプルな形状をベースに、窓の配置や形でアクセントを加える「整った美しさ」を意識したデザインが主流となっています。

2階部分を前に出した存在感のあるデザイン。

袖壁や軒天で視覚的なアクセントをプラス。

屋根形状のトレンド

屋根は建物の“輪郭”を形づくる大事な要素。デザイン性はもちろん、耐候性や断熱性、太陽光発電との相性といった機能面も兼ね備えた形状が多く取り入れられています。

代表的な屋根形状

  • 片流れ屋根

    シャープで現代的な印象。太陽光パネルの設置にも適し、都市型住宅に多い

  • 切妻屋根

    ベーシックで親しみやすく、ナチュラル・北欧風とも好相性

  • 寄棟屋根

    重厚感と安定感のあるフォルム。和モダンなデザインにマッチ

  • フラット屋根

    スッキリとした都会的な印象。屋上活用にも適している

  • 三角屋根(切妻強調タイプ)

    かわいらしい印象で、外観に親しみやすさを演出

窓・開口部のデザインポイント

窓のデザインは、採光・通風といった機能だけでなく、外観の印象にも大きく関わる重要なパーツ。窓のサイズや形、配置のバランスによって、家全体の表情が変わります。

代表的な窓・開口部のデザイン

  • スリット窓

    縦ラインを活かしてリズム感を演出しつつ、外からの視線を遮る効果も

  • FIX窓(はめ殺し窓)

    壁面に奥行きを生むアクセント。明かり取りと意匠性を両立

  • 大開口窓

    屋外との一体感や開放感を演出。庭やテラスとのつながりにも効果的

“くすみカラー”と“素材ミックス”でつくる、イマドキの外観配色

家の第一印象を大きく左右するのが、「色」のデザインです。なかでも、外観に使われる色は視覚的インパクトが強く、スタイルの印象を決める大きな要素。最近では、ホワイト・グレー・ブラックといった定番カラーをベースに、“くすみ感”のあるトープ、グレージュ、サンドベージュなどの中間色を掛け合わせるニュアンスカラーが人気を集めています。
さらに、1色でまとめるのではなく、2〜3色を組み合わせて立体感や奥行き感を演出する外観がトレンドに。色の分量や位置、光の当たり方まで考慮しながら、自分たちに合ったバランスを見つけることがポイントです。
また、木目・石目・金属調など異素材の組み合わせも広がりを見せています。異なる素材感や色調を取り入れることで、シンプルなフォルムに上品なアクセントが生まれるデザインが注目されています。

人気のカラー&素材の組み合わせ例

ブラック × グレー

スタイリッシュで重厚感のある組み合わせ。
モダン住宅はもちろん、シンプルな和風スタイルにもマッチ。

グレー × グレー(濃淡の異なるグレー)

トーンの違いによってさりげない個性が生まれ、ミニマルで上質な印象に。
素材の違いを組み合わせるとさらに深みが増す。

ブラック × 木目調ブラウン

無機質なブラックに、自然素材風のあたたかみをプラス。
都会的で洗練された中にも親しみやすさが加わる。

グレー × 木目調ブラウン

ナチュラルで落ち着きのある佇まいに。
木の柔らかさとグレーの中立的な印象が好バランス。

ホワイト × 木目調ブラウン

明るく清潔感のあるホワイトに、木目調でやさしい印象を添える王道スタイル。

“イマドキ”を知ることが、愛着の持てる外観づくりの第一歩

外観デザインは、家の第一印象を決める大切な要素。近年は、シンプルでありながら“自分らしさ”を表現するスタイルが主流になりつつあります。流行を意識しつつも、素材・色・形状のバランスを見ながら、自分たちらしい住まいに落とし込むことが大切です。
トレンドを知っておくことで、写真や実例を見るときに「何が好きか」「どんな組み合わせが心地いいか」が見えてきます。飽きのこない、愛着の持てるデザインを見つけるために、まずはイマドキの傾向をしっかりと押さえておきましょう。周囲の環境や暮らし方とも調和した、自分たちだけのわが家の“カタチ”を見つけるヒントになるはずです。

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