家族とモノの暮らし方に合わせて、“しまう”場所へ
モノが多様化し、暮らし方が変わる今、収納は単なる「スペースの確保」ではなく、生活動線や使い勝手を踏まえた“空間設計”として考えることが求められています。
収納の場所・広さ・形状によって、住まいの快適性や暮らしやすさは大きく変わります。
1)目的に応じて選べる収納のスタイル
収納と一口にいっても、設置場所や収納するモノによってさまざまな形があります。大きく分けて「個室に設ける収納」と「家族で共有する収納」があります。それぞれの用途と配置を整理してみましょう。
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ウォークインクローゼット(WIC)
主寝室や子供室などに隣接して設ける、衣類収納のための空間。0.75坪から6帖程度まで広さはさまざまで、ハンガーパイプや可動棚、姿見などを組み合わせて自分仕様にカスタマイズできます。
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収納室(納戸)
季節家電や大きな荷物、長尺物など、家族共用のストック品を収納するのに便利なスペース。通路を確保しながら“見渡せる収納”にすることで使い勝手も向上します。
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パントリー(食品庫)
キッチン周辺に設ける食品や備蓄品の収納スペース。オープン棚や引き出し式の収納、家電置き場などを組み合わせれば、「隠す」「見せる」のメリハリがついたスッキリ空間に。
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押入・押入収納ユニット
和室に欠かせない収納。布団収納を基本に、座布団や季節飾りの保管場所として活躍します。既製ユニットを使えば、衣類収納や小物整理にも対応可能です。
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壁面収納・シューズクローゼット・階段下収納
寝室や子供室の壁面を活かした収納や、玄関まわりの靴・傘・防災用品などの収納も暮らしの快適さに直結します。階段下や廊下の一角など、空間の「余白」を活かす工夫がカギです
2)収納の奥行き・高さ・扉の選び方
収納は「どれだけ入るか」だけでなく、「どれだけ取り出しやすいか」も重要な視点です。
奥行きの目安
衣類収納(ハンガーパイプ使用)には600mm以上、奥行き450mm前後は棚収納に適しています。タンスなど大型家具を置く際は、扉の開閉スペースも考慮が必要です。
扉の種類と動線の工夫
開き戸・折戸・引戸といった扉のタイプは、設置場所や隣接する家具・通路幅などとあわせて検討します。引戸やオープン収納にすることで、動線と連動した使いやすい空間になります。
収納室(納戸)にタンスを収納するときの注意点
3)ファミリーライブラリーという発想
収納はただ「しまう」ための場所ではなく、“家族のモノと暮らす”発想でプランニングすることで、暮らしの質が向上します。
書斎というより“家族みんなが使える本棚&デスク空間”として、階段ホールや廊下、リビングの一角を活用。子どもの勉強や趣味のスペース、ワークスペースとしても活躍します。
階段まわりのコーナー
部屋をオープンにして
通路の幅を少し広げて