和のくつろぎを、今の暮らしにフィットさせる
日本の住まいに長く根づいてきた和室は、来客時の寝室や仏間、家族団らんの場など、柔軟な使い方ができる多目的空間。
最近では、畳の落ち着いた雰囲気や肌触りの良さに注目が集まり、リビングと一体化した「畳コーナー」など、現代の暮らしにフィットした取り入れ方も増えています。
ライフスタイルに合わせた和空間の活かし方を考えてみましょう。
1)広さとつながりで変わる和室の使い方
和室は配置や広さによって、住まいの中での役割が大きく変わります。
- コーナーとしての和室:寝室やリビングなどに、間仕切りを設けず、さりげなく畳スペースを設けたタイプ。気軽に寝転んだり、子どもの遊び場にしたりと、多目的に活用できます。
- リビングの一部としてつながる和室:リビングと段差なくつながることで、広がりのある空間に。ふだんは開放しておき、来客時には引戸などで仕切って使うこともできます。
- 独立型の和室:客間や仏間など、静けさと落ち着きが求められる用途には、他の部屋と分離した独立型が適しています。
- 続き間としての和室:二間続きにすることで、行事や親戚の集まりなど多人数にも対応。ふだんは一部を寝室やくつろぎの場として活用することもできます。
2)床の間・押入れ・仏間の設えを考える
和室の設計では、「床の間」「押入れ」「仏間」などの組み合わせも空間の印象や用途に関わってきます。
- 床の間は季節の設えを楽しむ演出空間に。
- 押入れは来客用布団の収納にも活用されます。
- 仏間を設ける場合は、宗派や地域の慣習によって向きや位置を考慮。原則として、仏間の上に人が歩く場所(廊下や部屋)をつくらないよう配慮が必要です。
3)縁側やぬれ縁で、外とのつながりを楽しむ
1階の和室では、南庭や坪庭に面した縁側(広縁)や、雨の日でも外気を感じられるぬれ縁を設けることで、室内と外とがゆるやかにつながる心地よさが生まれます。家にいながら自然を感じる暮らしにおすすめの工夫です。
縁側がない場合、内障子が入る
4)現代の住まいに合わせた「畳コーナー」の取り入れ方
リビングの一角に設ける「畳コーナー」は、段差をつけて視覚的にゾーニングしたり、収納ユニット(畳が丘)を活用してスペースを有効に使ったりと、自由な設計が可能です。
小上がりとして設ければ、子どもが遊ぶ場やお昼寝の場に。段差をつけずに設ければ、ロボット掃除機にも対応し、バリアフリーに配慮した暮らしも叶います。インテリアに馴染むカラー畳や縁なし畳を選べば、現代的なLDKにも違和感なくなじみます。