毎日の外出・帰宅を、心地よくする空間へ
住まいの第一印象を決める「玄関」は、来客を迎える“顔”であり、家族が毎日出入りする“動線の起点”。
その玄関と連動するホール、階段まわりまで含めた空間設計によって、開放感・使いやすさ・収納力・快適性が大きく変わります。
機能とデザインのバランスがとれた、心地よい動線づくりを考えましょう。
1)土間とホールの“つながり”で印象も動線も快適に
玄関は「土間」と「ホール」に分かれ、広さのバランスや動線のつながりによって印象が決まります。最近はベビーカーやアウトドア用品をそのまま置けるように土間スペースを広くしたり、シューズクローゼットを併設したりするケースも増加。また、手洗い器の設置も増えつつあります。
構成例
広さ
2)玄関ドアは使い勝手にもこだわる
玄関ドアはデザインの印象+機能性(断熱性・採光・通風・防犯性)の両立がポイントです。タイプ別に特長を押さえておきましょう。
片開き
スタンダードな仕様で、外観もスッキリ。袖部分にガラスを取り入れて採光をプラスするのもおすすめ。
親子
荷物の出し入れがしやすく、玄関まわりにゆとりを生む構成。子ドアを開けることでワイドな開口に。
引き戸(引違い)
和風だけでなく洋風住宅にも対応。バリアフリー性に優れ、高齢者の操作性も良好。
開きドアの向きと位置・収納の関係
開閉スペースや玄関収納の配置、外開きドアとの干渉にも注意しながら、生活動線と調和するドアプランを検討しましょう。
3)玄関収納は家族構成に合わせてプラン
玄関にはシューズボックス(クツ箱)を確保するのが一般的です。タイプやスペースは玄関の広さや動線によって異なります。(上がり框に設置が原則)
靴の量・ベビーカー・スポーツ用品・防災グッズ・コート類など、家族構成やライフスタイルにより、玄関収納のあり方も変わります。
- カウンタータイプ:コンパクトな空間にも設置しやすく、天板の上に飾り棚としての演出も可能。
- 吊戸棚+カウンタータイプ:収納力と見た目のバランスに優れたスタイル。
- 壁面収納タイプ(トールタイプ):大容量収納が可能で、家族全員の靴をスッキリと収められる。
- フロートタイプ:床の掃除がしやすく、空間が広く見える浮遊感のあるデザイン。
- 土間収納(シューズクローゼット):外で使うモノを土間空間に収めることで、室内を清潔に保ちやすくなる。
カウンタータイプ
カウンタータイプ+吊戸棚タイプ
壁面収納タイプ
フロートタイプ
土間収納タイプ
(シューズクローゼット)
4)階段は“安全性と使いやすさ”が基本
階段は単なる移動手段ではなく、安全性・快適性・デザイン性が求められる場所です。
階段の形状
階段の呼名と標準寸法
有効巾:750mm
以上蹴上高:220mm
以下踏面巾:210mm以上
階段の形
I型(直線型)
最もシンプルで省スペースに納まる形状。手すりや滑り止め処理が安全性のポイント。
階段は階上床まで上がるのが標準の段数です。
タイプによって有効寸法が異なります。
L型・折り返し型(折上げ)
中間踊り場を設けることで転倒リスクを軽減し、動線にも変化をつけやすい。
階段下のデッドスペースを有効活用し、収納やトイレの設置に。トイレ空間にする場合は天井高や換気対策にも注意が必要です。
また、リビング階段を採用することで家族の気配を感じやすくなる一方、冷暖房効率や音の問題も考慮した設計が求められます。
階段下収納の形状
階段下の活用
階段下の有効活用として、収納スペースやトイレを配置するケースがほとんどです。トイレを配置する場合は以下の点に留意しましょう