キッチンリフォームで使える補助金・減税制度

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キッチンリフォームでは、補助金や優遇制度を利用できる場合があります。
キッチンリフォームは、ビルトインタイプの食器洗い乾燥機を取り入れたり、レンジフードの入れ替えなど設備を入れ替える小規模なものから、対面キッチンにするなど間取りの変更が伴う大規模なリフォームまで、さまざまです。
リフォームの内容によって利用できるものとできないものがあります。
どのようなリフォームが対象になるかを知って、お得にリフォームをしたいですね。

住まいづくりのお金に関するコンサルティングを行う、ファイナンシャルプランナーの熊谷一志さんにキッチンリフォームで使える補助金・減税制度についてお聞きしました。

熊谷さんから

令和6年の税制改正大綱では、子育て世帯に対する税の優遇が多く、キッチンリフォームで使いやすい制度も新たに登場しました。また、2023年度第2次補正予算案の成立により、新しく「住宅省エネ2024キャンペーン」がスタート。リフォームをお考えの方にメリットがある制度が多く登場しています。
※今後の国会で関連税制法が成立することが前提となる制度もあります。

写真:熊谷一志さん

補助金・減税制度の対象になるキッチンリフォーム

補助金は、キッチン空間のみをリフォームする場合に使えるものと、キッチンリフォームと同時に性能向上リフォームを行う場合に使えるものがあります。

キッチン空間のみのリフォームの場合

対面キッチンへのリフォームなどレイアウトの変更や、床や壁の張り替え、省エネ設備や家事がラクになる設備の導入など

使える補助金・制度

国の補助金
  • ・子育てエコホーム支援事業
  • ・介護保険法にもとづく住宅改修費の支給
税制優遇
  • ・住宅ローン減税【所得税、個人住民税】
  • ・リフォーム促進税制(子育て世帯対象)【所得税】

※リフォーム促進税制(子育て世帯対象)は、今後の国会で関連税制法が成立することが前提となります。

キッチンリフォームと他のリフォームを併せて行う場合

キッチンリフォームと併せて耐震性の向上や省エネルギー対策の基準を満たすリフォーム、バリアフリー改修などを一緒に行う場合

使える補助金・制度

国の補助金
  • ・子育てエコホーム支援事業
  • ・長期優良住宅化リフォーム推進事業
  • ・介護保険法にもとづく住宅改修費の支給
  • ・給湯省エネ2024事業
税制優遇
  • ・住宅ローン減税
  • ・贈与税の非課税措置
  • ・リフォーム促進税制
    (耐震・省エネ・バリアフリー・長期優良住宅化・同居対応・子育て)
融資
  • ・グリーンリフォームローン

※贈与税の非課税措置、リフォーム促進税制の延長等については、今後の国会で関連税制法が成立することが前提となります。

熊谷さんから

キッチンのリフォームだけでは補助金が使えないものがあることに注意が必要です。キッチンリフォームに併せて省エネ対応などのリフォームをすることで、使える補助金や減税制度が増えます。

写真:熊谷一志さん

補助金には、国が主体で実施している補助金のほか、地方公共団体が実施する補助金などがあります。

国の補助金

キッチン空間のみのリフォームで使えるものと、キッチンリフォームと併せて省エネ性向上などのリフォームを行った場合に使える補助金をご紹介します。

子育てエコホーム支援事業

  • キッチン空間のみの場合
  • 他のリフォームと併せて行う場合

補助金の対象

キッチンの水栓を節湯水栓に取り替えたり、高効率給湯器を取り入れるなど、エコ住宅設備を設置すると補助の対象になります。また、このリフォームと同時に「ビルトイン食器洗い乾燥機」や「掃除しやすいレンジフード」「ビルトイン自動調理対応コンロ」などの子育てをラクにする設備を導入する場合には、追加で補助金の対象になります。
キッチンリフォームと同時に、開口部や外壁、床の断熱改修を行ったり、防災性向上の改修、空気清浄機能・換気機能付きエアコンの設置をした場合も補助対象になります。

補助額

補助額には上限があります。

  • ・最大で20万円(一戸あたり)
  • ・子育て世帯・若者夫婦世帯の場合は、30万円(一戸あたり)

子育て世帯かつ、既存住宅を購入しリフォーム工事を行う場合には、60万円(一戸あたり)まで引き上げ。

長期優良住宅化のリフォームを行う場合

  • ・最大で30万円(一戸あたり)
  • ・子育て世代の場合は、45万円(一戸あたり)

※子育て世帯…申請時点で令和5年4月1日時点で18歳未満の子どもがいる世帯。令和6年3月末までに工事着手する場合は、令和4年4月1日時点で18歳未満の子。
若者夫婦世帯…申請時点において夫婦であり、令和5年4月1日時点でいずれかが39歳以下の世帯。ただし、令和6年3月末までに工事着手する場合は、令和4年4月1日時点でいずれかが39歳以下の世帯。

介護保険

  • キッチン空間のみの場合
  • 他のリフォームと併せて行う場合

要介護・要支援認定を受けている場合、キッチンの段差の解消や手すりの取り付けを行った場合には、介護保険の給付対象になる場合があります。IHクッキングヒーターへの交換など、設備の入れ替えの場合は対象にならず自己負担になります。

補助額

支給限度基準額(20万円)の9割(18万円)が上限

長期優良住宅化リフォーム推進事業

  • 他のリフォームと併せて行う場合

補助金の対象

子育てしやすい環境整備のためのリフォーム工事(対面キッチンなど)や、省エネルギー対策、劣化対策、耐震性など、住宅性能の向上を図るリフォームが補助金の対象になります。
ただし、リフォーム前にインスペクション(劣化の有無を把握するための調査)をおこなうこと、リフォーム後の住宅が一定の基準を満たすことが必要です。

補助額

補助対象リフォーム工事費の合計の3分の1の額が補助されます。

  • ・【評価基準型】一定の性能向上が認められる住宅の場合、一戸あたり100万円
  • ・【認定長期優良住宅型】長期優良住宅(増改築)認定を取得した場合、一戸あたり200万円
    三世帯同居対応改修工事、若者・子育て世帯又は既存住宅の購入者が改修工事を実施する場合、一次エネルギー消費量を省エネ基準比マイナス20%とする場合、一戸あたりそれぞれ限度額が50万円上乗せされます。

給湯省エネ2024事業

  • 他のリフォームと併せて行う場合

補助金の対象

キッチンリフォームの際、一定の性能を満たす高効率給湯器(エネファーム、ハイブリット給湯機、エコキュート)を導入した場合に補助金が受けられます。
リフォームの場合は、建築から1年経過した住宅または過去に人が居住した住宅(現に人が居住している住宅を含む)が対象です。補助対象は給湯器のみです。

補助額

  • ・家庭用燃料電池(エネファーム) 18万円/台
    ネットワークに接続可能で、気象情報と連動し、停電が予想される場合に、稼働を停止しない機能がある場合は、1台につき2万円が加算
  • ・電気ヒートポンプ・ガス瞬間式併用型給湯機(ハイブリッド給湯機) 8万円/台
    A:インターネットに接続可能な機種で、昼間の再エネ電気を積極的に自家消費する機能がある場合は、1台につき3万円が加算
    B:補助要件下限の機種と比べて、5%以上CO2排出量が少ないもので、年間給湯効率が116.2%以上のものの場合は、1台につき3万円が加算
    AとBの両方を満たす場合は、5万円が加算
  • ・ヒートポンプ給湯機(エコキュート) 8万円/台
    A:インターネットに接続可能な機種で、翌日の天気予報や日射量予報に連動することで、昼間の時間帯に沸き上げをシフトする機能がある場合は、1台につき2万円が加算
    B:補助要件下限の機種と比べて、5%以上CO2排出量が少ないもので、a.2025年度の目標基準値+0.2以上の性能値がある、または、b.おひさまエコキュートである場合は、1台につき4万円が加算
    AとB両方に当てはまる場合は、1台につき5万円が加算

※戸建住宅の場合いずれか2台まで
それぞれ要件がありますので、詳しくは給湯省エネ2024事業のホームページなどでご確認ください。

熊谷さんから

国の補助金は、リフォームする場所が同じなど、補助対象が重複するものについては併用ができませんが、国の補助金と地方公共団体の補助金については、併用できる場合があるので、リフォーム会社に確認するといいですね。

写真:熊谷一志さん

地方公共団体が行う補助制度

地方公共団体が実施するリフォーム支援制度もあります。
地域ごとに支援制度の内容や補助金額などが異なりますので、お住まいの市区町村のホームページや、「住宅リフォーム支援制度検索サイト(住宅リフォーム推進協議会)」などでご確認ください。

減税制度

一定のリフォームを行った場合に受けられる減税制度(リフォーム促進税制)があります。
行うリフォームの内容によって使える減税制度が異なります。
住宅ローン減税は10年以上の住宅ローンを利用した場合に対象になります。
リフォーム促進税制は、住宅ローンを利用しないリフォームでも対象です。

※リフォームの減税制度の延長や贈与税の非課税措置の延長、子育て対応のリフォーム減税の新設については、今後の国会で関連税制法が成立することが前提となります。

住宅ローン減税

  • キッチン空間のみの場合
  • 他のリフォームと併せて行う場合

10年以上の住宅ローンを利用して、増築や省エネ、バリアフリーなどのリフォーム工事をした場合、住宅ローン減税の対象となり、年末ローン残高の0.7%が所得税と住民税の一部から控除されます。

リフォーム例

キッチンをはじめ、間取り変更や設備の取り換えなどを10年以上の住宅ローンを利用したリフォーム

熊谷さんから

住宅ローン減税を利用するには、床面積や合計所得金額など、さまざまな要件を満たす必要があります。

写真:熊谷一志さん

住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置

  • キッチン空間のみの場合
  • 他のリフォームと併せて行う場合

リフォームを行うための費用を親や祖父母から贈与された場合は、一定金額まで非課税になります。非課税限度額は、質の高い住宅の場合1000万円、その他の住宅の場合は500万円までが非課税限度額になります。

※質の高い住宅とは…①断熱等性能等級4又は一次エネルギー消費量等級4以上②耐震等級2以上又は免震建築物 ③高齢者等配慮対策等級3以上のいずれかに該当する住宅

リフォーム例

キッチンをはじめ、間取り変更や設備取り替えなどの大規模なリフォーム

熊谷さんから

贈与税の非課税措置は、2026年12月31日まで延長されました。また、贈与を受けた年の翌年3月15日までに、住宅取得等資金の全額を充ててリフォームをすることなどの要件があるので、贈与と改修工事のタイミングに注意が必要です。

写真:熊谷一志さん

子育て対応改修に関する特例措置

  • キッチン空間のみの場合
  • 他のリフォームと併せて行う場合

子育て世帯が、対面キッチンへの交換、子どもの事故を防止するための工事、防犯性を高める工事、収納設備の増設、開口部、壁、床の防音性を高める工事をした場合に所得税の減額措置が受けられます。

※19歳未満の子を有する世帯、または夫婦のいずれかが40歳未満の世帯

リフォーム例

対面キッチンへ交換+収納設備の増設

耐震改修に関する特例措置

  • 他のリフォームと併せて行う場合

旧耐震基準(昭和56年5月31日以前の耐震基準)の住宅を、新耐震基準(昭和56年6月1日以降の耐震基準)に適合させる耐震改修工事を含むリフォームをした場合に所得税の控除・固定資産税の減額措置が受けられます。

リフォーム例

耐震改修+キッチンの設備取り替えや省エネリフォーム

省エネ改修に関する特例措置

  • 他のリフォームと併せて行う場合

住宅の省エネ性能を上げるため、窓の断熱工事と併せて行う省エネリフォームを行った場合に所得税の控除・固定資産税の減額措置が受けられます。

リフォーム例

高効率給湯器の設置+窓の断熱工事など

バリアフリー改修に関する特例措置

  • 他のリフォームと併せて行う場合

高齢者をはじめ家族が安全に暮らすためのリフォームを行った場合に所得税の控除・固定資産税の減額措置が受けられます。

リフォーム例

キッチンの段差の解消や手すりの取り付け、滑りにくい床材料に取り替えなど

長期優良住宅化リフォームに関する特例措置

  • 他のリフォームと併せて行う場合

耐震改修や省エネ改修工事と併せて、長期優良住宅化リフォームを行い、「増改築による長期優良住宅」の認定を取得した場合、所得税の控除・固定資産税の減額措置が受けられます。

リフォーム例

高効率給湯器の設置+窓の断熱工事+雨どいを軒または外壁に取り付ける工事などの住宅の耐久性を高める工事など

同居対応改修に関する特例措置

  • 他のリフォームと併せて行う場合

親、子、孫の3世代で助け合いがしやすい住宅環境にするためのリフォームをした場合に、所得税の減額措置が受けられます。キッチンの増設や浴室、トイレ、玄関の増設などが対象です。リフォーム工事後は、キッチン、バスルーム、トイレ、玄関のうちいずれか2つ以上ある部屋が複数ある必要があります。

リフォーム例

キッチンの増設+トイレの増設など

熊谷さんから

リフォームの減税制度は、併用できるものがあります。例えば、省エネ改修と同居対応改修など両方を行う場合には、それぞれの減税制度を併せて所得税の控除を受けることができます。

写真:熊谷一志さん

融資

グリーンリフォームローン

  • 他のリフォームと併せて行う場合

住宅金融支援機構が行う省エネリフォームのための全期間固定金利のローン。太陽光発電システムの設置や二重サッシや断熱材の導入など、一定の基準を満たす省エネリフォームをする場合に使えるローンです。併せて行うキッチンリフォームも対象です。

リフォーム例

キッチンリフォーム+バスルームリフォーム(高断熱浴槽の設置)など

※リフォーム工事は一定の要件を満たす必要があります。そのほか、住宅等の要件などもありますので、詳しくはホームページかリフォームを依頼する住宅会社にお問い合わせください。

関連情報

制度の期限一覧

補助金 期限
子育てエコホーム支援事業

交付申請期間:2024年3月中下旬~予算上限に達するまで(遅くとも2024年12月31日まで)

介護保険

なし

長期優良住宅化リフォーム推進事業

交付申請期間:2024年2月29日まで

給湯省エネ2024事業

2024年3月中下旬~予算上限に達するまで
(遅くとも2024年12月31日まで)

補助金 適用期限
住宅ローン減税

2025年12月31日までに入居

住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置

2026年12月31日まで

子育て対応改修に関する特例措置

2024年12月31日まで

耐震改修に関する特例措置

2025年12月31日まで

省エネ改修に関する特例措置

2025年12月31日まで

バリアフリー改修に関する特例措置

2025年12月31日まで

長期優良住宅化リフォームに関する特例措置

2025年12月31日まで

同居対応改修に関する特例措置

2025年12月31日まで

※リフォームの減税制度の延長や贈与税の非課税措置の延長、子育て対応のリフォーム減税の新設については、今後の国会で関連税制法が成立することが前提となります。

2024年1月24日現在の情報です。

監修

熊谷 一志 さん

家づくりコンサルティング株式会社
CFP®(日本FP協会認定)・1級FP技能士・宅地建物取引士
不動産・建築業界を経てきた経験を活かし、住宅購入専門のファイナンシャルプランナーとして2006年に家づくりコンサルティング株式会社を設立。延べ5000件を超える住宅購入時のお金に関する悩みのコンサルティングを行っている。フジテレビ「笑っていいとも!」、日経CNBC「マーケット経済専門チャンネル」などメディア出演の他、企業での講演やセミナー講師など幅広く活躍中。

写真:熊谷一志さん

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