( guide )
近年、ニーズが高まっている平屋。ワンフロアで生活動線が完結し、家族の気配を感じながら暮らせるのが魅力です。しかし一方で、広い土地が必要だというイメージも。
「限られた坪数でも、設計次第で開放感は実現できる」と語るのは、福岡県久留米市を拠点に家づくりを行う駅前工務店の設計課・升田稜太郎さんさんとインテリア課の上甲侑未さん。同社が手がけた2軒の建売住宅から、快適な平屋を叶える工夫を紐解きます。
●高さの抑揚をつけて広見せ
●ハイドアと格子から生まれる抜け感
●入ったときの驚きを第一に
──まず、駅前工務店さんの家づくりのこだわりについて教えてください。
升田: 弊社のコンセプトは「ちょうどいい家づくり」。無理のないコストで長く暮らせる住まいを提供するため、シロアリが寄りつかない特殊な木材や、熊本城天守閣の修復工事にも用いられている制震ダンパーを採用したりしています。
──今回ご紹介する建売住宅はどちらも27坪前後のコンパクトな平屋ですが、間取りや内装はどのように決めていったのでしょうか?
上甲: まず、大枠のデザインイメージとして、1棟は「ダーク」、もう1棟は「ライト」というテーマを設定しました。色味のセレクトを暗めにいくのか、明るめにいくのかという基準です。そこから、ダーク棟は大人な印象の「和モダン」、ライト棟はもう少し若年層向けの「ジャパンディ」を軸に内装を組み立てていきました。
升田: ダーク棟に関しては、敷地が細く、駐車場のスペースだけである程度埋まってしまうため、外庭ではなく中庭を設けることで抜け感を出しました。さらに勾配天井にして視線が上に行くようにし、広さを感じられるようにしています。
小城1号棟外観(提供:駅前工務店)
ダーク棟の間取り図上甲: ダーク棟の内装は、VERITIS(ベリティス)の格子ドアが起点となっています。和モダンというコンセプトが決まった瞬間、思い浮かんだのがあのドアでした。色柄はイデアオーク柄を採用し、床材も統一して洗練された和を表現しています。また、いつもはメインクロスに白を使うことが多いのですが、今回はグレージュを採用して落ち着いた雰囲気を演出しました。
ドア:ベリティス スタンダードレーベルHC型 採光部:透明熱処理ガラス カラー:イデアオーク柄 引手:C3型 ロング引手 オフブラック色
ドア:ベリティス スタンダードレーベルPA型 カラー:イデアオーク柄 引手:C3型 ロング引手 オフブラック色升田: リビング奥にある和室は、フラットにするとのっぺりしてしまうので、あえて小上がりにして抑揚をつけました。リビング側の勾配と相まって、実際の坪数よりも奥行きが感じられるつくりになっています。

#Tip1:中庭と勾配天井で奥行きを
#Tip2:小上がりで抑揚をつける
生まれる抜け感
──ライト棟はまたガラリと雰囲気が変わりますね。
上甲: ダーク棟と同じく「和」がベースではあるのですが、こちらは木目の分量を減らして爽やかさが感じられるようにしました。ただ、明るいだけだと間延びしてしまうので、サッシやドアの引き手などに黒を取り入れて引き締めています。
小城4号棟外観(提供:駅前工務店)
ライト棟の間取り図升田: 開放感が感じられるよう、メインのリビングドアには大きなガラスのハイドアを採用しました。窓もハイサッシにして、一般的なサイズよりも40cmほど高くしています。またリビングを折り上げ天井にすることで、勾配天井よりもコストを抑えつつ空間に広がりを出しました。
ドア:ベリティス スタンダードレーベルHB型 採光部:透明熱処理ガラス カラー:パールグレー柄 引手:C3型 ロング引手 オフブラック色
上甲: リビング横には子育て世帯のニーズが高い和室を設けています。キッチン横にありながら、リビングからは少し奥まっているため、家事の合間の小休憩の場としても活躍するでしょう。
升田: こうした開口空間の場合、心理的に洋室よりも和室の方が入りやすいというエビデンスがあるため、畳を入れたという意図もあります。
──“縦格子”で空間がゆるやかに区切られていますが、取り付けた理由は?
升田: 位置的にキッチンから和室が見えづらいため、格子の隙間から中の気配が感じられるようにしました。こうすれば、お料理中に小さなお子さんを遊ばせていても安心です。また格子が空間のアクセントとなり、何も設置しないよりも抜け感が生まれます。

#Tip3:ハイドア&サッシで開放的に見せる
#Tip4:縦格子をアクセントに
──そのほか、間取りや設備面での開放感を生む工夫を教えてください。
上甲: ダーク棟には回遊動線を取り入れ、フルフラットキッチンで広さを確保しました。腰壁を設置した方が手元は隠れますが、全体の調和や開放感が出せるという点では、フルフラットのメリットは大きいと思います。また、前面収納を設けて実用性にも配慮しています。


升田: ライト棟には中庭はありませんが、2方向のはき出し窓につながるウッドデッキを設けています。これが第2のリビングのような役割を果たし、外の庭とのつながりが保たれることで空間に広がりが生まれます。

升田: 今回の平屋のように開放感を生み出すギミックは、映画館のつくりに似ている気がします。低く小さな入り口から入ると、外からは想像できない空間が中に広がっている。そんな心が弾むような工夫を、これからもたくさん散りばめていきたいですね。
#Tip5:フルフラットキッチンで広さを出す
#Tip6:ウッドデッキで外とのつながりを保つ
左:設計課の升田さん 右:インテリア課の上甲さん*
格子ドアやハイドアを巧みに使い、視覚をコントロールすることで生まれる想像以上の広がり。限られたスペースをどう使うかではなく、どう感じさせるかという駅前工務店のノウハウは、日々を楽しむ「ちょうどいい」ゆとりを与えてくれます。

*記事内でご紹介した商品は、2026年6月1日時点の仕様となっております。
ご検討の際は、ショウルームやカタログ等でご確認ください。










