( ドアで魅せる家づくりのヒント集 )

( ドアで魅せる家づくりのヒント集 )VERITIS MAGAZINE

( interview )

十人十色の“心地よさ”が育つ暮らしを

2022.11.01

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徳 瑠里香
photography
矢橋 恵一/きるけ。

十人十色の“心地よさ”が
育つ暮らしを

株式会社house stage

名古屋を拠点に、暮らす人のライフスタイルにとことん寄り添った提案をし続けている住宅デザイナー・株式会社house stageのタブチキヨシさんと壁紙デザイナーのTOMOMIさん。

日本と北欧のデザインを掛け合わせた「ジャパンディスタイル」や、暮らしの中にある情緒に寄り添う「究極に気持ちいい空間」をコンセプトにした物件を手がける。共通する軸は、住まう人にとっての“Well-Being(ウェルビーイング)”な暮らし。

おふたりに、いまの空間トレンドとVERITIS(ベリティス)の活用法について訊いた──。

ゴージャスよりも、心地よさ。
家でなく「暮らし」をつくる

タブチさん「僕はいま、“家を建てる”というよりは“暮らしをつくる”感覚でいます」

住宅デザイナーとして数多くの空間づくりを担ってきたタブチさんは、いまの自身の家づくりのスタンスについて、そう語る。背景には、コロナ禍、テレワークの増加によって、家にいる時間が多くなり、働き方・暮らし方が変化していることがあるという。

タブチさん「昭和の時代、男性は外でモーレツに働いて家に帰って寝るだけ、なんてことも多かったけど、いまは違います。働くこと、家事をすること、子どもと遊ぶこと、その全部含めた『ライフ』が家に関わってくるんですよね。そうなると、ステータスとして“家を建てる”とか、たとえば扉一つとっても“ゴージャスなモノを買う”という感覚はなくって。豪華さよりも、自分たちらしさ、自分たちにとっての心地よさを求めている。住まう人も、家づくりをベースにその先にある“暮らしをつくる”感覚を持っているように思います」

“ゴージャスな家を買う”よりも、“自分たちにとって心地の良い暮らしをつくる”。

タブチさん「だから、DIYも単なる趣味じゃなくて、ライフスタイルになりつつありますよね。自分たちの暮らしを快適にするために、自分たちで手を加える。植物を植えて庭の手入れをするのと同じように、家も一度つくって終わりじゃなくて、育てていかないといけない。最初から何もかも完璧にするより、手探りしながら徐々に自分たちの暮らしに合わせた家をつくっていく。トレンドに乗るというよりは、自分たちのライフスタイルにフィットする家に手を加えながらつくりあげていくのが、ある意味いまのトレンドと言えるかもしれません」

心も体も健やかに。
ヘルシーなアースカラーが定番

心身が健やかで満たされた状態にある「ウェルビーイング」。住宅づくりにおいても、住まう人にとってのウェルビーイングがいかに叶うかが重視されているという。

タブチさん「その空間にいることで、心と体が豊かになるような心地よさ、“ウェルビーイング”が求められています。ウェルビーイングを叶えるのは、情緒、ライフスタイルですよね。スピーカーで良質な音楽を流しながら料理をするとか、珈琲を飲むとか、ヨガをするとか。ソファベッドでくつろぎながら本を読むとか、映画を観るとか。“人に自慢できる空間”ではなく、“自分の心身を満たす暮らしができる空間”であることが大事だと思っています」

社会の中で心が締めつけられることや傷つけられることもあるからこそ、家の中では自分をとことん甘やかしてリラックスしたい。そんな思いを抱く人は少なくないようにも思う。

タブチさん「やっぱりコロナ禍、みんなどこか疲れていて、細胞レベルで癒しを求めているんだと思いますよ。リラックスしたい。その願いを叶える具体的なインテリアは、たとえば観葉植物、色で言えばベージュ系。最近の空間トレンドであるミニマルでシンプルな日本の要素とぬくもりある北欧の要素を融合させた『ジャパンディスタイル』もそうした流れの延長線上にあります」

TOMOMIさん「ウェルビーイングの観点から、壁紙もアースカラーは定番ですね。同じグレーでも無機質な青みがかったグレーよりも、土っぽさが混じったようなグレーが好まれる。自然に近いイメージの色味で、癒しやリラックスが求められていると感じます」

住まう人の多様な側面を引き出す、
表情が異なる空間が支持

仕事をがんばりたい自分もいれば、ダラダラ休みたい自分もいる。料理をつくって友人をもてなしたい日もあれば、自分ひとりで趣味に没頭したい日もある。一人の人間の中にも多様性があって、一見相反するような欲望も同時に存在するし、その日によって気分も変わる。

タブチさん「明日の自分と今日の自分は違いますからね。1日の中でもいろんな自分がいる。だから暮らしの中心であり人が集まるLDKは、アースカラーをベースにしたリラックス空間を演出したうえで、雰囲気の違うワークスペースや趣味部屋をつくる提案もします。同じ家でも気分によって部屋を変えることもできるし、部屋を変えることがスイッチの切り替えにもなる。自分の好きなものだけに囲まれた趣味部屋のようなひとりの空間を持つことも、ウェルビーイングにつながると思っています」

一つの家で多様な表情を演出するのに一躍買っているのがTOMOMIさんが選ぶ壁紙。一つの物件で10種類以上の異なる壁紙を使うことも少なくないそう。

TOMOMIさん「たとえばLDKはアースカラーを組み合わせ、ワークスペースは落ち着いた色味を取り入れ、趣味部屋にはボタニカルな花柄を採用する、といったふうに部屋ごとに壁紙を変えていきます。とはいえ、奇抜になりすぎないように、全体との調和も考えて、スパイスを振りかける感覚です。普通に白い壁紙でもいいんだけど、壁紙を変えることで空間に多様性と深みが生まれるんですよね」

理想のライフスタイルにフィットした、
“自分らしい暮らし”を叶える

それぞれのライフスタイルにフィットする家。住まう人の中にある多面性に寄り添う家。変化するトレンドや多様化する住まう人の嗜好に合わせた家づくりはどのように実現できるのか。

タブチさん「建築家がデザインする“デザイナーズ”でなくても、いわゆる既製品を使っても“自分らしい暮らし”は叶うんですよ。たとえばベリティスをはじめパナソニックの建材は、あらゆるラインナップが揃っていてとにかく選択肢が豊富。好みの色を選んでDIYできる『塗れるドア』だってある。そうした選択肢の中から、住まう人たちが“好き”を選んでいくことで、それぞれのライフスタイルにフィットした空間づくりができるんです。事実、今回僕らが手がけた物件の床とドアはすべてパナソニックを使っています」

工務店として、手がけた物件のメンテナンスを定期的に行っているタブチさんは、建材の品質とメンテナンスのしやすさにも着目する。

タブチさん「僕は12年工務店をやっているんですが、家を建てると1ヶ月点検、1年点検、10年後のリフォームと、定期的にメンテナンスが必要になります。家はつくって終わりじゃないんですね。デザインしてゼロから造作したものは、デザイン性に優れている分、当時使った建材が廃盤になっていることもありメンテナンスが大変。時間やお金のコストもかかります。

でも、大手建材メーカーの既製品、たとえばベリティスなら、デザイン性に優れていながら、品質にもメンテナンスにもコストにも安心感がある。楽にローコストで、デザイン性の高い、自分らしいウェルビーイングな暮らしが叶う家づくりができる。そのことは声を大にして言っていきたいですね」

自分の心身を満たすウェルビーイングをベースにした「ジャパンディスタイル」や「究極に気持ちいい」家。洗練さと温もりが共存するその空間には、ベリティスのドアや床が溶け込んでいた。ベリティスのドアのデザインと色柄の組み合わせは827通り。自分の欲求に耳を傾け好みに合った選択を重ねることで、理想のライフスタイルにフィットした、“自分らしい暮らし”が実現できるはず。

株式会社 house stage