オフィスの床一面を天然木で仕上げたい
小堀氏が語る、薄く、土足で使え、
貼り剥がし可能な床材の魅力とは?
小堀哲夫建築設計事務所
オフィスに一段と求められるようになってきた
クリエイティビティとコミュニケーション。
その向上につながる環境として木質空間に目が向きつつある昨今。
オフィス移転に伴い、OAフロア用木質仕上材「ボアシス」を採用した
代表取締役 小堀哲夫氏に、その決め手を伺いました。
ADVANTAGE
オフィスのニーズを実現する
木質空間の強み
3フロアにまたがっていたオフィスをワンフロアにまとめようという狙いから、オフィスの移転を検討しはじめました。オフィスは最近、半ば住宅化してきています。キッチンが設けられていたり、家具も住宅用のものが入り込んできたりしています。そのほうが、リラックスできるのでしょうね。天然木は温かみがあり、心地よい素材です。このオフィスだけでなく、移転前のオフィスでも、床には天然木を利用していました。オフィス設計のプロジェクトでも、床には天然木を利用する例が多いです。
また、テナントビルの場合、床はたいていOAフロアです。木質のフローリング材は厚さ15mmですから下地用の合板とともに施工すると、全体が厚くなりすぎ、出入り口付近に段差が生じます。OAフロアを鋼製床組に改めれば避けられますが、OAフロアを廃棄する無駄が生じます。
ACTION
OAフロア対応+天然木仕上げを
同時に満たした「ボアシス」を採用
小堀哲夫建築設計事務所
日本建築学会賞、JIA日本建築大賞。Dedalo Minosse国際建築賞特別賞、IDA国際建築賞銀賞、AMP国際建築賞Best of Bestなど国内外において受賞多数。現在、大学やオフィス、研究所、住宅、大型複合ビル、旅館、ホールや庁舎など幅広い用途や規模のプロジェクトで活動。
木質空間が
オフィスにもたらす
クリエイティビティと
コミュニケーション
新しいオフィスでも、「オフィスの床一面を天然木で仕上げたい」という思いがありました。ムラなく均質で経年変化がない近代的な素材ではなく、木のように質感を伴った揺らぎや経年変化がある素材を利用することで、発想が変わるように思います。建築設計はクリエイティビティが求められる仕事です。それには、木質空間が適しています。
もう1つ、チームワークの熟成を促すようにも思います。象徴は、広葉樹を組み合わせてつくったテーブル4台で構成する「ビッグテーブル」です。このテーブルを囲んでみんなでランチを楽しむこともあります。食卓といえばやはり、木のテーブルですよね。それを囲むことでコミュニケーションが促され、家族的な関係を築けます。
耐久性を兼ね備えた、
カーペットと
同水準の6mm厚
「ボアシス」の薄さは6mmと、タイルカーペット並みです。タイルカーペットと同様、OAフロアの上に直接貼って仕上げられます。
それでいて、耐久性が高い。土足でもまったく問題ありません。基材に特殊な工夫があるのか、局所的な荷重にも強い。天然木のフローリング材といっても突板を用いたものでは耐久性が低く、突板部分が剝がれたりサネが取れてしまったりしますが、それがありません。サネ加工はしっかりしていますね。また従来はピンヒールにも耐えられるように厚めのウレタン塗装を施してきましたが、そうした手間も不要です。
1枚単位の
貼り剥がしが可能
オフィス設計者の悩みを
解決できる床材
移転にあたって挑戦となる試みのひとつに、オフィスや家具の設計だけでなく、施工や家具づくりまでやってみよう、ということを掲げていました。移転前のオフィスで用いていた素材も再利用しよう、と。モノづくりを通して、そのモノが出来上がっていくのを身体的に捉える狙いです。その経験は、デザインにもフィードバックされるはずです。まあ、コスト削減にもなりますし。フリーレント期間が幸い半年ほどあったので、その期間を利用して事務所のメンバーで施工しました。自分たちのオフィスであれば、失敗も許されますからね。
貼り替えも、タイルカーペット感覚でラクそうです。模型を制作するコーナー付近の床は、スプレーのりを使うこともあって汚れやすい。いずれは貼り替えたほうがいいのでしょうが、そういう時でもタイルカーペットのように、ぺろっと剝がせばいい。
現在進行中のオフィス設計プロジェクトでも、「ボアシス」を提案に取り入れた案件があります。レイアウトを変更する可能性が見込まれ、床下から配線を引き出す位置に可変性を持たせておきたい。この木質仕上材なら、貼ったり剝がしたりが容易でフレキシビリティに富むため、そうしたニーズに対応しやすい。しかも素材は、天然木です。OAフロアの良さを生かしながら、床を天然木で仕上げられます。OAフロア対応と天然木仕上げというニーズを同時に満たせます。
「ボアシス」を最初に知った時、オフィス設計者の悩みに共感し、それを解決してくれる床材ではないか、という印象を受けました。利用してみて、まさにその通りです。OAフロアを標準仕様とするテナントビルのオフィスで利用できる理想の床材ではないですか。床材としての大きな可能性を感じています。
※内容は、2024年2月に実施した小堀氏への取材より