オフィスだけでなく、教育施設のニーズにも対応
OAフロア対応床材
「ボアシス」で実現した
高意匠でフレキシブルな空間づくり
武庫川女子大学 環境共生学部
環境共生学科プロジェクト棟

2025年4月、武庫川女子大学に新たに開設された「環境共生学部 環境共生学科 プロジェクト棟」に、パナソニックのOAフロア用木質仕上材「ボアシス」が採用されました。同施設設計における課題やニーズ、ボアシス採用の経緯を、同大学の管財部の皆さまと、東畑建築事務所の設計担当者さまに伺います。
八幡部長
平田 翔子さま
鈴木 瑶子さま・福原 学さま
PROBLEM
「本物の“木”の意匠」と
「フレキシブルに使える空間設計」の
両立

プロジェクト棟は、キャンパスで初めての木造校舎。あたたかみや香りなど、学生に木の空間の良さを身近に感じてもらうために、素材には「本物の“木”の意匠」が強く求められました。加えて「環境共生学部」は、環境共生をテーマに多彩な分野の学生や教員が集う学部。座学の他、実験・製作・フィールドワークなど活動内容が多岐にわたるため、プロジェクトルーム(教室)には様々な使い方に対応できる可変性も必要でした。竣工後も設備改修がしやすいよう、2階の教室にはOAフロアが採用されましたが、その仕上げ材にも、周囲の木に負けない意匠と質感が必要でした。

武庫川女子大学 環境共生学部
環境共生学科 プロジェクト棟
2025年9月に竣工。天然木の美しさを最大限生かした建築と、各教室がシームレスにつながる開放的な空間設計で、多様な分野の学生が集う「環境共生学部」の特性を体現している。
導入背景とご感想
“本物”へのこだわりに応える質感。
無垢の床と比べても
遜色のない仕上がりに。
学校法人 武庫川学院 管財部
八幡部長
ボアシスは、過去に展示会で実物の質感や意匠を見て、塗装品でありながら、艶消しで天然木の風合いや木目の肌触りがちゃんと残っていると感じました。今回、2階部分の床をOAフロアーにすることになり、採用に至りました。
貼り剥がしのしやすさのためとはいえ床材本体が薄いので、当初は「このような柔軟な薄い材料で大丈夫か?」と思っていたのですが、貼ってみると思った以上にしっかりしていて、厚みも感じられる仕上がり。柾目だけでなく板目が複数入っていることでランダム感が生まれ、自然な仕上がりになったと思います。1階のホールには無垢材を使っていますが、そちらと比べても遜色のない見た目だと思います。
1階(左)は無垢フローリング材(メイプル)を、2階(右)はボアシスのクリアバーチを使用。天然木の空間としての統一感は保ちながら、それぞれの樹種の味わいを楽しめる。
他のメーカーにはない木の意匠と
独自のさね形状が決め手に。
株式会社東畑建築事務所 設計室
平田 翔子さま
学生の皆さんに木の空間の良さを最大限感じてもらうため、柱・梁・壁・天井の仕上げを最小限として“木”を現し、ヒノキ・スギの製材や集成材、合板なども適材適所で取り入れています。そんな空間の中で、周囲の部材に負けないためには床材にも高い意匠性が必要でした。
また、構造床に集成材の木パネルを使用して1階の天井を現しにしているため、2階の床から1階設備の改修を行えるようにする必要がありました。そういったこともあり、2階の床には使い始めてからでも色々と融通が利きやすいOAフロアーを採用。管財部の八幡部長からのご提案で、仕上げ材としてボアシスの採用を検討し始めました。
初めて使う商品だったので、他メーカーの商品サンプルなども取り寄せて比較しましたが、表面の安っぽさがなく、現場に取り寄せた際にも柄の出方の幅が広かったので、意匠性には納得。性能面では貼り剥がしのしやすさと反りにくさを両立する「さね形状」に魅力を感じました。当初は“こんなに小さくて大丈夫かな?”という感想だったのですが、パナソニックの営業担当者から説明を受ける中で、これまでの実績や商品開発の経緯の中で生まれた工夫なのだと理解し、使ってみようと思いました。
私が担当してきた教育施設のほかオフィスや研究所などにおいても、用途を決めずにフレキシブルに使える空間のニーズは高く、そこにOAフロアーを取り入れるケースもありました。OAフロアーをフローリング調で仕上げられることを知らない人も多いと思いますし、色柄の多さや性能面で他のメーカーにはない強みがあるので、ボアシスの需要は高いのではないでしょうか。
「施工においては、窓サッシや柱との突きつけ部を切り欠いてきれいに納めることができるなど、現場で柔軟な対応ができるのも良い点でした。」と平田さま。
可変性の高い空間設計と木の意匠は
利用者からも好評です。
学校法人 武庫川学院 管財部
鈴木 瑶子さま・福原 学さま
プロジェクト棟は、もともと木造ありきで進んだわけではありませんでした。時間の制約や万博の影響もあり木造に決定しましたが、結果的に環境共生学部のコンセプトにマッチしたものになりました。開放的な設計で各教室や屋外とのつながりを感じられたり、教室のサインや植栽の制作には学生にも携わってもらったりと、細部までこだわれたのでよかったです。
また、環境共生学部では現場での調査活動を大切にしています。フィールドワークに出ることも多く、土足で使用できることは必須。授業で木を削ったりすることもあるので、床材はメンテナンスのしやすさも重要でした。ボアシスなら土足でも使えますし、カーペットに比べて掃除もしやすいのではないでしょうか。
せっかく木質感にこだわった空間づくりをしているのに、タイルカーペットを敷いてしまうと一気に事務所感が出てしまいますよね。その点でも、フローリング調にできたのは良かった。木のぬくもりが感じられる空間意匠や、家具なども自由に動かせる点は教員からも好評です。
プロジェクト棟は環境共生学部の学生たちにとって初めての「自分たちのための教室」。9月に完成したばかりなので授業での使用回数は多くはないですが、すでに学生同士のつながりも生まれ始めているように感じます。学生のみなさんがプロジェクト棟を“自分たちの居場所”だと感じてくれていたらいいな、と思います。