( ドアで魅せる家づくりのヒント集 )

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( column )

狭いからこそ贅沢!自分を満たす半個室のススメ

2025.05.15

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徳 瑠里香
photography
きるけ。

狭いからこそ贅沢!
自分を満たす半個室のススメ

家族と過ごすLDKとは一線を画す、“好き”をふんだんに詰め込んだ「自分だけの半個室」のニーズが高まっています。

その背景を紐解きながら、自分を満たす半個室のつくり方を住宅デザイナーのタブチキヨシさんと探っていきます。

空間を分け、スイッチングする

リモートワークに、SNSから絶えず流れる情報。仕事と暮らし、人との関係性の境界線が曖昧に溶け出す昨今。あらゆるものがつながりすぎて、ちょっと疲れてしまうことも。

タブチさん「結局ダイニングテーブルでは仕事に集中できない。だからみなさん、家でも空間を分けて、“スイッチング”したいわけですよ。

あとはたとえ家族であっても、ある程度距離を保ったほうが幸せってことも、みなさん実感があると思うんです」

リビングに隣接する半個室

ごろごろくつろぐ畳コーナー、仕事を進めるワークスペース、ゲームを楽しむゲーミングルーム、読書や書きものをする書斎、瞑想やヨガをするリラックスルーム……。

空間の切り替えを“スイッチ”にして、そこで過ごす“今”に向き合いたい。家族を含む人と少し距離を置いて、“自分ひとりの時間”を味わいたい。そんな想いが半個室の需要の高まりの背景にありそうです。

狭いからこそ、贅沢に過ごせる

自分ひとりの時間を味わう空間をつくるとき、広い場所を用意する必要はありません。天井が低いヌックが落ち着くように、狭いからこそ叶う居心地のよさもあります。

タブチさん「広い空間はその分掃除も大変だし、施工やインテリアにお金がかかる。『アフォーダブルラグジュアリー(手の届く贅沢品)』という言葉もありますが、コンパクトな空間をぎゅっと自分色に染めるほうが、リッチだと思いませんか?」

モノからストーリーへ。贅沢の概念は変わってきています。

タブチさん「広い家でキラキラした高価なモノを飾るのが贅沢、ではないんです。たとえば僕にとっては、1Kのマンションで、朝ランニングをして神社に寄って、帰宅後さっと床掃除をしてコーヒーを淹れて飲む。それが最高にリッチなんですよ」

観葉植物を愛でる。パジャマのまま漫画を読む。アクリル絵の具を広げてキャンバスに描く。そんなふうに、狭い空間で叶う、自分にとってリッチなストーリーを妄想してみてもいいかもしれません。

リッチな半個室のつくり方3選

では、自分にとってリッチなストーリーをどうかたちにしていけばいいのか。建材を活用した空間づくりのポイントを紹介します。

#1
ゆるやかにしきる

半個室をつくるときに課題になるのが冷暖房。小さな個室は熱がこもりやすく、冷暖房完備のハードルが高い。完全な個室にしなくても、リビングの一角にキュビオスやしきり窓を使って空間をゆるやかにしきるのもおすすめです。

タブチさん「リビングと同じ体温を保てるし、視界を遮ることができれば、自分の時間に没頭できます」

キュビオスでつくる半個室
しきり窓でつくるワークスペース
デスクに向かえば視界が遮られるので集中できる

#2
魅せる収納を心掛ける

自分だけの空間は、モノがなくすっきり片付いた「ミニマリズム(最小限主義)」でなくても、好きなモノに囲まれた「マキシマリズム(過剰主義)」でもいい。でも、ただモノが溢れていては居心地のいい空間にはなりません。

タブチさん「狭い空間で重要になるのは整理収納。自分にとって必要なモノ、ときめくモノを精査したうえで、隠すのではなく、見せて収納する。そのときに役立つのがフレームシェルフです」

左:好きなモノを見せて飾るフレームシェルフ

#3
ときめくモノを飾る

アート作品に推しの写真、お気に入りの小物たち。ほかの誰かにとっての“映え”ではなく、自分の心がときめくモノを飾る。そんなときに活用したいのがベリティスウォールペグとベリティスウォールマグネットです。

タブチさん「有孔ボードとマグネットボードを組み合わせて壁をつくれば、壁やクロスを傷つけることなく、好き放題できますよ。壁を活用することで収納量もアップします」

有孔ボードとマグネットボードを組み合わせた壁
好きを見つけて、満たす空間を

「偏ったトレンドは生まれず、自分らしさを自分で探す時代になった」とタブチさん。情報の波間で、どうやって自分らしさを見つけたらいいのだろう?

タブチさん「PinterestやGoogle検索、できれば海外の知らない人、できるだけフィルターを外した状態で、心が動く空間画像を10個集めてみてください。そこにある共通項に自分の癖、趣味嗜好が現れていると思うんです」

自分だけの半個室をつくるのは、自分の好きを見つけていく作業なのかもしれません。

タブチさん「自分ひとりではなかなか骨の折れる作業なので、家づくりのプロである工務店や僕らデザイナーにぜひ頼ってください。じっくりヒアリングをして、集めた画像からその人の癖を見つけることもできますから」

自分の好きを見つけて、小さな空間に詰め込む。そんな宝箱のような半個室があったら、家族と過ごす、仕事をする、とは違う時間軸が生まれて、人生が豊かになるような気がします。

タブチキヨシさん

株式会社house stage代表取締役。住宅デザインを軸に、商品開発、企画プロデュースを手がける。著書に『早く家に帰りたくなる! 最高にハッピーな間取り』『ズボラでも暮らしやすい! 収納上手な間取り』(KADOKAWA刊)がある。

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@kiyoshi.tabuch

*記事内でご紹介した商品は、2025年5月15日時点の仕様となっております。
ご検討の際は、ショウルームやカタログ等でご確認ください。