( ドアで魅せる家づくりのヒント集 )

( ドアで魅せる家づくりのヒント集 )VERITIS MAGAZINE

( interview )

マンションリノベでここまでできる

2025.11.15

interview
田中 佳佑
text
徳 瑠里香
photography
林 直幸

マンションリノベで
ここまでできる

株式会社マルナカホーム

木材屋から始まり、木の温もりが漂う家づくりを担うマルナカホーム。横浜を拠点に、注文住宅だけでなく、中古マンションのリノベーションも手がける。

今回、パナソニックとのコラボレーションが実現。VERITISの建材を活かし、住宅デザイナー・タブチキヨシさんの監修で、“Well-Beingな暮らし”を叶える。

物件のこだわりについて、マルナカホーム代表取締役の和田庸平さんに伺った。

中古リノベで
理想の暮らしを叶える

──和田さんはもともとパナソニックにお勤めだったんですよね!?

和田: パナソニック人生32年、終盤はパナソニックリフォームの社長を務めていました。セカンドキャリアを考えて新たな挑戦をしようと、56歳で社長に就任しました。

パナソニック時代に営業担当として関係を築いてきたマルナカグループの会長に、事業を継いでほしいというお声をいただいていまして。ありがたいことに。社長になって4年目になります。

マルナカホーム代表取締役の和田さん

──ご縁がつないだキャリア転換だったんですね。今回のプロジェクトが始まった経緯は?

和田: 材木屋からスタートしたマルナカは、年間100棟ほどの木造住宅建築に関わっています。新築には予算的に手が届かないけれど理想の暮らしを叶えたい。物件価格が上昇する近年、そうしたご要望に中古物件のリノベーションなら応えられる。

マルナカホームとしても、新築の注文住宅だけでなく、中古リノベでもう一本の柱を立てたいと考えていまして。そんな折、パナソニックの買取再販のモデルルームを拝見し、感銘を受けたんです。

中古リノベで予算を抑えながらも、新築同様に暮らしの理想が叶えられる。横浜のコラボモデルハウスとして手を挙げさせてもらいました。

──設計はどのように進めたのでしょう?

和田: まず私が街を歩いてペルソナを設定しました。お気に入りの自転車で街に出てコーヒーを飲んだり、自宅で絵を描いたり。暮らしのイメージを膨らませ、弊社の建築士が平面図を描きました。

事情があって弊社の建築士が最後まで担当できなくなってしまったので、パナソニックの紹介で住宅デザイナーのタブチキヨシさんにバトンを渡すかたちで、タッグを組ませていただきました。

ネックをプラスに変えた
リラックス空間

──今回の物件のコンセプトは?

和田: 心身が満ちる「Well-Beingが叶う暮らし」ですね。タブチさんからは寛ぎと上質さが共存する「リラックスラグジュアリー」というキーワードをいただきました。

──具体的にはどんな暮らしなのでしょう?

和田: 例えば玄関直結の土間アトリエでは、絵を描いたりアクセサリーをつくったり、創作に没頭できる。ちょっとしたお店も開けるかもしれない。大事な自転車を置くこともできます。

R型のアーチをくぐった土間の奥にはファミリークローゼットがあり、見せる収納も叶います。

(写真:マルナカホーム様提供)

和田: ほかにもLDKにはL字型のヌックがあります。ここでは休日に読書をしたり、タブレットで映画鑑賞をしたり。座る場所がたくさんあるので、友人たちと集ってホームパーティもしやすい。

人生が楽しくなるようなWell-beingな暮らしの提案を散りばめています。

棚:キュビオス イデアオーク柄(写真:マルナカホーム様提供)

──もともとの構造をベースにしたマンションリノベは、注文住宅とは違う制約もあるかと思います。その点はどのように対応したのでしょう?

和田: この物件にもいくつかネックポイントがありました。まず、1階にあり景観があまりよくなかった。そこを逆手にとって内部にフォーカスした設計にしようと。もともとの間取りを最大限活かすかたちで、出窓にヌックスペースをつくりました。

また、マンションリノベは使えるスペースも限られます。もともとの間取りは3LDKだったのですが、土間アトリエをつくったことで部屋数を確保するのがより難しくなった。思い切って1LDKにする案もありましたがなんとか2LDKに。法律上、採光のない部屋は部屋としてカウントされないため、居室にはドアで採光を取り入れました。

ドア:クラフトレーベルMH型(3連引戸) 採光部:透明熱処理ガラス カラー:イデアオーク柄 引手:C1型 オフブラック色

──採光部のある3連の引き戸が狭さを解消しているんですね。

和田: 抜け感が広さを演出してくれていますよね。閉めれば静かでおこもり感がありながらも、家族とのつながりも感じられる空間になりました。

広く見せるという点では、空間をゆるやかにゾーニングして暮らしの気分をスイッチングする工夫もしています。例えばキッチンの床はあえて一段高くしているんです。

ステージに立つような感覚で気分の切り替えにもなるし、眺望もいい。ささいなことですが、そうした空間の工夫が日々の家事を楽しくしてくれるかもしれません。

材木屋から始まった弊社のこだわりとして、キッチンの天井には無垢材の突板を入れました。

キッチンはパナソニックL クラスのフォググレー。脱衣所につながるドアの採光部のチェッカーガラスもちょっとした特別感を添えてくれています。

ドア:クラフトレーベルDF型 採光部:チェッカーアクリル カラー:イデアオーク柄 引手:C1型 オフブラック色
イデアオーク柄の
安らぎと上質さ

──デザインのこだわりについても教えてください。

和田: 空間全体をアースカラーでまとめています。ナチュラルなカラーに馴染む木目としてドアを中心に明るいイデアオーク柄を組み合わせました。無垢材のような質感も空間全体の上質さを底上げしてくれています。

取っ手のブラックもやわらかい印象の空間を引き締める一翼を担っているんです。

(左)廊下ドア:スタンダードレーベルLD型 採光部:半透明樹脂板 カラー:イデアオーク柄 ハンドル:A2型 オフブラック色
(右)居室ドア:スタンダードレーベルPA型 カラー:イデアオーク柄 引手:C1型 オフブラック色

──リビングの壁の飾り棚も素敵ですね。

和田: 収納ニッチですね。土間の奥のアーチと合わせてR型にしました。こうした曲線のデザインを取り入れたことも空間に漂うやわらかい心地よさにつながっていると思います。

この収納ニッチは壁を壊せない中古物件も多い中、あえて壁をくり抜いたこだわりの一つです。突き出ていないので、動線の邪魔にもならない。お気に入りのものを飾ってもらえたら。

欲が生まれる、
想像を超えた感動を
(写真:マルナカホーム様提供)

──今回の物件の手応えはどうですか?

和田: 自分たちの想像を超えた仕上がりに感激しました。インテリアに統一感があり、理想の暮らしが叶うイメージが湧く。40組ほどのお客さまにご来場いただきましたが、大変好評です。

我々の目標はお客さまの想像を超える提案をすること。プロとして当たり前のことだけをやっていても、感動は生まれません。今回の物件を皮切りに、必要最低限の要素を満たす「必需型」ではなく、個人的な欲、願いを叶える「必欲型」のマンションリノベを提案したいと考えています。

アースカラーと無垢材とイデアオーク柄でまとめ上げた空間は、自然に身を置いたかのような安堵をもたらす。心身が満たされたところから、こんなふうに暮らしたいという欲が自然と生まれてくるのかもしれない。自分の想像を超えて。マルナカホームは真摯な住まいづくりから、そのきっかけをつくっていくのだろう。

*記事内でご紹介した商品は、2025年11月15日時点の仕様となっております。
ご検討の際は、ショウルームやカタログ等でご確認ください。