( interview )
大阪・兵庫を拠点に、土地探しから販売までを一貫して担うエイワハウジング。地域の特性に合わせて狭小住宅を中心に、家具もセットで「暮らし」を提案する。
今回訪ねたのは、大阪市生野区の分譲地にあるモデルハウス。エイワハウジング設計課の設計士・池田裕一さんとインテリアコーディネーター・広瀬聖暁さんに、空間のこだわりを聞いた。
エイワハウジング設計課主任の池田さん(左)とインテリアコーディネーター・広瀬さん(右)狭小住宅の暮らしを提案
──エイワハウジングさんならではの強みを教えてください。
池田: 接客からアフターケアまで細やかな配慮ができるように、オフィスから車で1時間で行ける物件に絞っていまして。地域の特性として狭小住宅を扱うことが多いんです。なので吹き抜けを取り入れるなど、狭小住宅を広く見せる工夫をしています。設計としては狭さを覆したいという気持ちで。
広瀬: 弊社は建売の販売件数が多いのですが、立地条件に合わせて間取りや仕様、内装を変更するので、一軒一軒が異なります。建売であっても「ひとつの家族に、ほかにはない暮らし」という意識で進めています。

──建売はどこも同じような間取りやデザインだと思いがちですが、一軒ずつ設計を進める注文住宅に近い感覚なんですね。
池田: 単なる箱ではなく、暮らしを提案したいと思っています。家事動線を重視したり、空間の顔となる造作を施したり。一軒ずつ、暮らす人を具体的にイメージしながら設計をしています。インテリアコーディネーターがいるので、家具もセットで販売できることも弊社の強みですね。
広瀬: 狭小住宅で広く見せる間取りと仕様の工夫をしても、家具を置いたことで狭く見えたり、デザインがアンバランスになったりすることも。広さとテイストを崩さない、暮らしにフィットする家具を選んでいます。
──家具もセットでその空間で叶う「暮らし」をまるっと提案してくれる。それは安心できますね。
広瀬: 営業と設計とインテリアコーディネーターの3者でアイデアを出し合って、こだわりの一棟をつくるという意識で取り組んでいます。
家事をラクにする動線
──今回の物件はどのようなアプローチで進めたのでしょう?
池田: 南側に駐車場がある土地の周辺環境から考えました。狭小地の3階建てで、収納スペースを1階に、LDKは光が取り入れやすい2階に、居室を3階にとゾーニングして……。
──間取りでこだわった点は?
池田: 家事をラクにする動線ですね。例えば洗面脱衣室を1階に広めに取っているんです。ランドリースペースとファミリークローゼット、カウンターも設けています。洗濯を回して干して畳んで収納までが一貫してできるように。
水廻りが1階にあるので、帰ってきて着替えて手を洗って2階のリビングに行くことも。
ドア:スダンダードレーベルTA型 カラー:しっくいホワイト柄 引手:C1型オフブラック色
──狭小住宅であることを忘れるような充実ぶりですね。2階のリビングも開放的です。
池田: 2階のLDKの広さのポイントはパナソニックのラクシーナのⅡ型のキッチンですね。コンロとシンクを分けることで横幅が抑えられる分、キッチンが小さく収まり、リビングダイニングが広くなるんです。
パントリーからキッチン、ダイニングまでが一直線なので家事も行いやすいです。


モノトーン空間
──内装デザインはどのように決めていったのでしょう?
広瀬: 同じ時期に建てたもう一軒のテイストがナチュラルだったので対照的に、モノトーンを基調としたスタイリッシュな空間にしたくて。
デザインの見せ場をどこに持ってくるかは物件によって異なるのですが、今回の見せ場はキッチンのタイルですね。マーブル模様の光沢のある大きめのタイルを貼りました。ラグジュアリー感も出るとよいなと。

──このキッチンのタイルが空間のかっこよさを決めていますよね。ここを起点に考えられたんですか?
広瀬: そうですね。キッチンのタイルを起点にモノトーンを配置していきました。床はタイルの冷たさを軽減できるように、やわらかい印象のグレージュヒッコリー柄に。キッチンの扉はペイントウッド柄に。
下がり天井はクールなブラックを取り入れて、合わせてリビングドアもソイルブラック柄を選びました。空間にある色味を拾い、あまり主張しないドアとして。
ドア:クラフトレーベルMD型 採光部:透明熱処理ガラス カラー:ソイルブラック柄 引手:C1型オフブラック色──ガラス戸の採光部をすりガラスにした理由は?
広瀬: 1階から階段を上がってきたときにやわらかい光が漏れてくるといいなと。曖昧さを残したかったんです。透明ガラスだと光がダイレクトに通りパキッとした印象になりますが、そこはキッチンのタイルが担ってくれているので。
──なるほど。ドアの色柄は階ごとに変えているんですね。
広瀬: それぞれの空間の役割に応じてドアを選びました。収納スペースと水廻りが連なる1階は目立たないようモノトーンの白、しっくいホワイト柄に。
ソリッドな印象のLDKがある2階はモノトーンの黒、ソイルブラック柄に。
居室のある3階は子ども部屋などもあるので、モダンな印象を和らげるためにウォールナット柄にしました。濃い色柄なのでコントラストはありながらも、木目が親しみやすい印象を与えてくれます。
ドア:スタンダードレーベルPA型 カラー:ウォールナット柄 ハンドル:A2型オフブラック色──家具はどのように選ばれたのでしょう?
広瀬: キッチンのタイルと天井の主張が強いので、家具は色味の主張を抑えて全体のバランスを取れるように選びました。境界の曖昧さを添えられるように。
例えばラグは四角ではなく円形に。濃い色味を選んだので、合わせるソファは明るい白色に。サイズも圧迫感が出ないよう小ぶりなものを。今回の物件は吹き抜けがなく一般的な天井の高さなので、高さのある家具は置いていません。
1階と2階、3階のドアのカラーを変えていますが、空間全体として統一感が出るように、白と黒と比べて色味が少ないウォールナットも家具で取り入れています。

──きめ細やかな工夫が盛りだくさん。こう考えると改めて空間における家具は重要ですね。今後おふたりがやってみたいことはありますか?
池田: 設計としては家事動線による住みやすさは担保しながらも、常に遊び心をプラスしていきたいですね。ヌックやスキップフロアをつくるなど。
広瀬: インテリアにおいては注文住宅ではなかなか取り入れられにくい新しい商品も積極的に取り入れていきたいなと。そのうえで10年後も飽きの来ない普遍的なデザインを目指したい。家具も含めて提案することで、空間の価値を上げていきたいです。

光沢ある石目調のタイルを起点に、モノトーンが奏でるスタイリッシュでモダンな空間。白黒はっきりしたメリハリの中に漂う、やわらかな曖昧さ。内装デザインの延長線上で選び抜かれた家具が調和を保ってくれる。建売であってもほかのどこにもない暮らしの風景が浮かぶ家。エイワハウジングは一棟ずつ、ひとつの家族の「暮らし」を提案し続ける。
*記事内でご紹介した商品は、2025年11月1日時点の仕様となっております。
ご検討の際は、ショウルームやカタログ等でご確認ください。










