( interview )
70坪の広い土地に佇む100平米の一軒家。白と黒、明るい木目をベースにした空間に、独特なフォルムやカラーの家具が溶け込み、蒐集した本やレコードが並ぶ。
ミッドセンチュリー・モダンな雰囲気が漂うこの家に暮らすのは、SUGARさん夫婦。
2018年に注文住宅を建て、模様替えやDIYをしながら、自分たちの心地よい空間をつくっている。家づくりの過程からインテリアの選び方まで、話を聞いた。
“中間”の美学

広い庭のある一軒家でBBQがしたい。日当たりのよいリビングで過ごしたい。そんなSUGARさん夫婦の願いが叶う土地に出会えたのは、注文住宅を建てることを決めてから3年後のことだった。
かおりさん「注文住宅を建てたいと思っていたけど、予算が潤沢にあるわけじゃなくて。限られた予算でどれだけ自分たちの理想に近づけるか。予算内で条件を満たす土地が見つかるまで粘りました」
3年かけて、ふたりの地元に70坪の日当たりのよい土地を見つけ、地元の工務店に依頼。間取りは夫のゆうやさんが、内装デザインは妻のかおりさんが主導で進めた。
間取りは1階にLDK、リビング階段を登った2階に3部屋がある3LDKゆうやさん「夫婦の生活リズムが違うので、僕が1階でテレビを観ていても、妻が2階で寝られるように、音が漏れる吹き抜けはあえてつけませんでした。あとは、玄関からリビング、水回りまでぐるっと回遊できるので、仕事に行く平日の慌ただしい朝も動線がスムーズなんです」

内装デザインは、白と黒を基調に、木目やベージュといったやさしい色味を添えた。
かおりさん「白と黒が好きだけど、モノトーンが好きなわけじゃなくて。クールすぎず、あたたかすぎない。シンプルすぎず、奇抜すぎない。POPだけど、大人の上品さもある。“中間”を狙って、白と黒でメリハリをつけながらも、ナチュラルな要素を加えていきました」
ブラックオーク柄
クールだけど、あたたかみがある。そんな“中間”のイメージにぴったりはまったのが、VERITIS(ベリティス)のブラックオーク柄だった。
ドア:クラフトレーベルPK型 カラー:ブラックオーク柄 ハンドル:A2型 真鍮色かおりさん「ブラックの木目はちょうどいい塩梅で。当時はあまり見かけなかったブラックオーク柄に惚れて、カップボードに取り入れました。ショウルームに行った際に、建具もあることを知って。框のあるデザインと真鍮色の取っ手がかわいくて、カップボードと合わせて黒を散りばめたら、いい雰囲気になると思ったんです」
リビング正面のドアは、広い採光部のあるCraft Label(クラフトレーベル)LG型、キッチン側は框のあるPK型に。カップボードも合わせて、取っ手は真鍮色を選んだ。
(左)カップボード:ブラックオーク柄 ハンドル:真鍮色(右)ドア:クラフトレーベルLG型 採光部:チェッカーアクリル カラー:ブラックオーク柄 ハンドル:A2型 真鍮色
かおりさん「工務店の標準からのアップグレードだったんですが、ドアは妥協したくなくて。予算内に抑えるために、見えるところと見えないところでメリハリをつけて選んでいったんですが、ドアにはこだわりました」
ブラックオーク柄のカップボードとドア、白いクロスが織りなすスタイリッシュな雰囲気を、オークの床とキッチンのベージュのタイルがやさしく和らげる。
クールさとあたたかみの“中間”にある「ミッドセンチュリー・モダン」な空間を演出するインテリアたち。家具、雑貨はどのように選んできたのか。
かおりさん「引っ越してきた当初は、家具単体で好きなものを選んでいたので、ちぐはぐな印象になってしまったんです。選ぶ家具からだんだん、ミッドセンチュリーが好きだとわかって、ここ数年はその雰囲気に寄せるようになりました。色のあるソファや個性的なフォルムのラグ、照明などを取り入れています」

参考にしているのはミッドセンチュリーで部屋を彩る海外のInstagram。自身も情報発信をすることで、好きの輪郭がはっきりしてきた。
かおりさん「7年前、家を建てるタイミングでInstagramで情報発信を始めたら、海外も含め同じ雰囲気のインテリアが好きな人たちとつながることができた。あれもいいな、これ好きかも、もっとこうしたいと、模様替えやDIYが楽しくなりました」
新しい家具を迎え入れる際には、かおりさんがゆうやさんにプレゼンをすることから始まるのだとか。
かおりさん「基本的に家具は、使っていたものを売った資金で新しいものを買うスタイルで循環させています。安くない家具を購入するので、リセールを前提に、暮らしがどうよくなるか、手放す際にどれだけ価値があるかをプレゼンします」
ゆうやさん「例えば、彼女の提案でソファを2脚にしたことで、それぞれがくつろげるようになりました。それまでは僕が居眠りをしてソファを独占していたので……。新しい家具のおかげで暮らしが豊かになったという実感があるので、最近は彼女に任せておけば大丈夫だと思えるように。なんでもかんでもOKはできませんが(笑)」
この家に暮らして7年──。日の当たるリビングでレコードをかけて、ソファでゆっくり本を読む。遅く起きた朝に、ふたりで庭でBBQをする。当時思い描いていた理想の暮らしが、日常の風景になった。

かおりさん「平日はお互い仕事に追われて、夫は帰りも遅いので寝るだけになっちゃうけれど。休日にひとりのときは映画を観たり、音楽を聴いたり。リビングで過ごす時間が好きです」
ゆうやさん「9時とか10時に起きて、何食べる? 晴れてるしBBQにする?ってノリで庭に出ることも多くて。夜もBBQをしながら気にせず飲んで、すぐに寝られる。がんばって広い土地を探した甲斐がありました」
予算が限られていたとしても、工夫次第で、理想の暮らしは実現できる。ふたりの暮らしぶりは、そんな希望を見せてくれる。
かおりさん「私たちの家は、空間の顔になるベリティスのドアとカップボード以外は、低予算の工務店の標準仕様のもので、気になるところはDIYでコツコツアップデートしてきました。家具はリセールを前提に循環させています。家に完成形はないと思っているので、これからも工夫をしながら、家づくりを楽しみたいです」

ブラックオーク柄で彩るミッドセンチュリー・モダンな空間。循環しながらその時々の暮らしに寄り添う個性豊かな家具たち。インテリア、暮らし方も含め、自分たちの好きを見つけては詰め込んでいく。家はそんな宝箱のようなものなのかもしれない。
2018年に注文住宅を建て、家づくり・インテリアにまつわることをInstagramで発信する。自身でサインデザイン事業も展開。
- @sugar____home.127
*記事内でご紹介した商品は、2025年6月15日時点の仕様となっております。
ご検討の際は、ショウルームやカタログ等でご確認ください。










