( interview )

熊本を拠点に、十人十色の家づくりに寄り添う三善建設。設計士とコーディネーターが伴走し、完全自由設計で住まいの理想を叶える。
新しく建てたモデルハウスには、パールグレー柄のドアを起点に、吹き抜けにスキップフロアとヌックがシンボリックな“憧れの暮らし”を詰め込んだ。
どんな想いで設計をしたのか。モデルハウスを訪ね、三善建設・設計部の田中真理子さんに話を聞いた。
オーダーメイドの家づくり
──三善建設さんが強みとして掲げる「オーダーメイド・テクノ」とはどんな家づくりなのでしょうか?
弊社は1人ひとりのお客さまに対して、一棟一棟のオーダーメイドで、ほかに同じ家がないような家づくりを目指しています。それを叶えるのが「パナソニック耐震住宅工法テクノストラクチャー」。高い耐震性で安全性を保ちながら、大開口や吹き抜けなど、自由度の高い家が実現できるんです。
テクノストラクチャー工法をベースに、弊社の営業、設計、コーディネーター、職人がそれぞれの得意分野を活かし、橋渡ししながら家づくりを進めています。専任の合作スタイルで、住宅性能、間取り、デザイン、コスト面、あらゆる場面で妥協のない提案ができることが弊社の強みですね。

──プロフェッショナルの連携は頼もしいですね。具体的にはどう進めるのですか?
営業がコストバランスを見ながらお客さまと打ち合わせをした後、設計が法的な部分も含め間取りや建材を決め、コーディネーターがデザインを詰めて、現場に引き継ぐ。その間、お客さまにはモデルハウスやショウルームでも体感してもらって、その都度ヒアリングをして……。調整が必要であればチーム内で行ったり来たり、やりとりを繰り返します。
大変だけど、やっぱりその分満足度の高い家になりますから。チームみんなでできる限り、お客さまの要望を叶える方法を探ります。
ヌック風の和室がある暮らし
──今回のモデルハウスはお客さまありきではないと思うのですが、どう設計を進めたのでしょう?
仮に幼いお子さんがいる30代のご家族が暮らすことを想定して、営業と設計とコーディネーターで意見を出し合って、建売では叶わない“理想”を詰め込みました。
──建売では叶わない理想とは?
目玉はスキップフロアがあること、ですね。吹き抜けと相まって、開放感があって広さを感じることができます。お子さんが遊んだり、大人が趣味を楽しんだり、余白のあるスペースとして使っていただける。スキップフロアを中心に、間取りを考えました。

──スキップフロアの下にあるのは和室ですか?
そうなんです。最近は和室がない家も多いんですが、ちょっとお昼寝をするとか、畳はやっぱり落ち着くんですね。和室をスキップフロアと組み合わせることで、天井が低くおこもり感のあるヌック風に。居心地がよいみたいで、モデルハウスの見学に来場されたご家族は、なぜかみなさんここに自然と集まります(笑)。
──キッチンから、和室とスキップフロアが見渡せるのもいいですね。
キッチンの位置と動線にもこだわりました。キッチンにいて、吹き抜けから2階にいる子どもたちの声も聞こえるし、家族がどこにいても気配が感じられる。ダイニングテーブルと横並びのキッチンから、水回り、玄関へ、そしてリビングまでぐるっと一周できる回遊動線になっています。家事がしやすいように。


キッチンはパナソニックのラクシーナのホワイトで、カップボードも色柄を揃えました。ダイニングのすぐ後ろにパントリーがあるのも、家事をスムーズにするポイントです。
──なるほど!ほかに間取りのこだわりはありますか?
2階の部屋数が多いんです。5畳ほどの同じ大きさの個室が4つ。子どもが3人いれば、寝室とそれぞれの子ども部屋に。子どもが1人なら寝室と、子ども部屋、クローゼット、書斎にしてもいいですし。家族構成や子どもの成長によってさまざまな生活スタイルに対応できるようにしています。
「境界線」を曖昧に
──デザイン面はどのように決めていったのでしょう?
デザインは、取り入れる色柄をホワイトとグレーと木目の3色に絞っています。起点となったのは、VERITIS(ベリティス)のパールグレー柄のドア。今回の物件では、どうしてもこの色が使いたかった。そこから床とクロスを選んだんですが、あえてメリハリを出さず、全体を曖昧にぼかしながら、統一感を出していきました。
──特定のスタイルには当てはまらない印象です。
住まう人の色に染めていってほしいという思いがあるので、あえてスタイルは決めませんでした。モデルハウスはどうしても敷居が高くなりがちなので、憧れがありつつも、ここで生活する想像ができる家にしたかった。その絶妙な塩梅を叶えてくれるのが、パールグレー柄のドアだと思ったんですね。

空間の顔となるリビングドアは、パールグレー柄のガラス面の大きいLG型に。吹き抜けの開放感を損なわないよう2500mmのハイドアをオーダーしました。トイレと寝室のドアもパールグレー柄に、ほかの扉はしっくいホワイト柄でまとめています。
2階の子ども部屋だけ、遊び心を添えたブルーグレーオーク柄を選びました。

──ドアの色が違うのに馴染みがいいですね。床とクロスとの相性もありそうです。
床は、1階はパールグレー柄に合う色柄として、明るめのカームチェリー柄に。2階は個室で家具が多くなるので、ごちゃついた印象にならないように、薄めのグレージュヒッコリー柄にしました。


クロスはホワイトなんですが、玄関とキッチンのカップボードに同じモルタル調のアクセントクロスを貼って、ダイニングの天井など所々に木目調を取り入れています。
床とクロスを馴染ませるために、1階と2階に連なる階段は、踏み板をカームチェリー柄、蹴込み板をしっくいホワイト柄にしたんですが、なかなかいい感じですよね?個人的にも気に入っています。

生活のイメージが湧く家を
──ドアと床、クロスの組み合わせもそうですが、外観もインテリアも、白とグレーと木目がいい調和で全体をまとめ上げていますね。
淡い色味の組み合わせなんですが、所々に黒のアイアンを散りばめたことで、引き締まったなと思っています。スキップフロアや照明に合わせて、ドアの取っ手もブラックに。正解でした。

キュビオスでつくったテレビ台も、ユニットをブラックオーク柄に、扉をグレージュアッシュ柄に。カームチェリー柄の床とも相性もバッチリだと思います。
──自然と馴染んでいます。実際にモデルハウスが建って、手応えはどうですか?
イメージ通りになりました。完成してから、熊本に暮らす子育て世代のご家族向けにイベントを開いたんですね。マルシェやお子さんのフォトブース、サンドアートのワークショップを用意して。
ここを訪ねてくれたご家族がリビングでくつろいでいたり、お子さんがスキップフロアで遊んだり、ヌックに寝転んだり。思い描いていた暮らしの風景が目の前に広がって、「ここに住みたい」という嬉しいお声もいただいた。暮らしの絵が浮かぶ家をつくっていきたいと気持ちを新たにしました。

光の加減によって表情を変えるパールグレー柄のドアを起点に生まれた淡い空間は、住まう人が自由に色を加えていける余白が漂う。ひとさじの憧れと、地に足のついた生活感。その間をチームで行ったり来たり探りながら、三善建設は住まう人にフィットする暮らしをつくっていく。
*記事内でご紹介した商品は、2025年3月1日時点の仕様となっております。
ご検討の際は、ショウルームやカタログ等でご確認ください。