( ドアで魅せる家づくりのヒント集 )

( ドアで魅せる家づくりのヒント集 )VERITIS MAGAZINE

( interview )

北欧ブルー映える、無垢材の家

2025.02.15

text
片桐 絵都
photography
林 直幸

北欧ブルー映える、
無垢材の家

miiさん

真っ白な漆喰壁とぬくもりを感じる無垢材。北欧風のナチュラルな空間に、ブルーグレーオーク柄のドアが色を添える。

マイホームを持つという長年の夢をカタチにしたmiiさんは、2021年に完成したこの一軒家で、夫と娘とともに暮らしている。

家づくりの過程を伺うと、そこには温かな家族の物語が詰まっていた。

変形地を活用して
理想の間取りに

「いつかマイホームを持つなら絶対に一軒家」と心に決めていたmiiさん。ただ当初、夫婦の間では温度差があったという。

miiさん「主人は戸建てへのこだわりがなく、ずっと賃貸マンションでも構わないというタイプ。高い買い物ということもあり、すぐに家を建てようとはなりませんでした。でもある時、家づくりの勉強会のチラシがポストに入っていたんです。『建てなくてもいいから、とりあえず話だけ聞きに行こうよ』と説得して参加すると、主人も注文住宅の魅力にまんまとハマってくれました(笑)」

建設地となったのは、親類から譲り受けた三角形の変形地。最初から建てたい家のイメージは明確にあったが、土地の形状が課題となった。

miiさん「間取りに関しては、玄関からの回遊動線、1階にスタディスペースとウォークインクローゼット、リビング横には小上がりの和室がほしいなど、譲れないポイントがいくつかありました。そこで数社からプランを提案していただいたのですが、やはり変形地なので難しいと言われてしまうことが多く……。唯一、全てを盛り込んでくださった地元の工務店「フリーダムデザイン」さんにお願いすることにしました。

リビング横の和室は今のところ、キッズスペースとして使っています。小上がりにしたのは、下に収納を設けたかったから。腰掛けられる高さにしたので、来客があった時にもリビングが窮屈にならずに済みます。段差があることで視覚的に奥行きが出るのも利点ですね。限られた形状や平米数でも、できるだけ広く見せたいという思いを叶えることができました」

見た目と機能性に優れた
自然素材を採用

間取りの提案だけでなく、自然素材にこだわっている点も工務店選びの決め手になったというmiiさん。床などの主な木材は全て、無垢のシンゴン材を使用している。

miiさん「シンゴンってあまり馴染みがないですよね。工務店さんに教えていただくまでは私も知らなくて。他の無垢材も選べたのですが、明るい印象の木を使いたかったのでシンゴンにしました。肌ざわりがとてもやわらかくて、冬に裸足で歩いてもほんのりぬくもりを感じます」

外壁と内壁には石灰岩を主成分とした漆喰を採用。テレビの背面にも石灰岩の一種である天然石のコーラルストーンを貼り付けた。

miiさん「白のクロスを使うよりも漆喰壁の方が表情が出ますし、明るく感じられます。ちょっとした汚れや傷も漆喰を削れば消せるので、メンテナンスが楽チン。画鋲も抵抗なく刺せます。

コーラルストーンは他の場所に使うこともできたのですが、リビングのアクセントにしたかったのでテレビ背面に。温かみのある風合いが漆喰壁によく合います。

どちらも自然素材で安全なのはもちろん、調湿や消臭機能が備わっているのも魅力。梅雨のジメジメや壁のニオイ移りも気にならず、快適に暮らせています」

「家の中で一番好きなのはキッチン」とmiiさん。毎日立つ場所だからこそ、デザインと使い勝手にとことんこだわった。

miiさん「カフェっぽい世界観を出したくて、キッチンのデザインは框扉のものを選びました。カウンターに設置した窓枠風のオイルガードはDIY。リビング側には無垢材の造作収納を設けて、書類などの細々したものを入れています。

カップボードも全て無垢材の造作。食器収納は取り出しやすいように引き出しにしました。飾り棚も設置しているので、季節感のあるインテリアを置いたりして楽しんでいます」

北欧ムードを演出する、
ブルーグレーオーク柄のドア

内装のテーマは北欧風。ブルーをアクセントカラーにしたいと考え、キッチン背面の壁のみクロスを使用。さらに統一感を出すため、1階のドアは全てVERITIS(ベリティス)のブルーグレーオーク柄を採用している。

miiさん「北欧風のブルーを取り入れたいと相談したら、工務店さんが提案してくださったのがこの色でした。グレーがかった絶妙な色合いがイメージにピッタリで、もう即決です。

家の顔となるリビングには格子窓付きのドアを、パントリーや脱衣所はデザイン性がありつつもシンプルなものを選んでいます。ちなみに2階のドアは床と同じシンゴンを使っているんですけど、ちょっと重いんですよね。無垢材ならではの可愛らしさも捨てがたいのですが、開閉のしやすさを考えて2階のドアリノベも検討中です」

(リビング)ドア:ベリティス クラフトレーベルLK型 採光部:チェッカーアクリル カラー:ブルーグレーオーク柄 ハンドル:A1型オフブラック色
(脱衣室)ドア:ベリティス クラフトレーベルPK型 カラー:ブルーグレーオーク柄 引手:C1型オフブラック色
(パントリー)ドア:ベリティス クラフトレーベルDF型 採光部:チェッカーアクリル カラー:ブルーグレーオーク柄 引手:C1型オフブラック色

ソファやダイニングテーブル、照明、オーダーカーテンなどの大型のインテリアは、工務店専属のインテリアコーディネーターがセレクト。

miiさん「北欧インテリアを使いたいという要望だけでなく、私たち夫婦のプロフィールや理想の暮らし方まで、コーディネーターさんが細かくヒアリングしてくださいました。そこで提案されたのが、なんとイエローのソファ。部屋の真ん中にイエローを持ってくるという発想がなかったので、最初はすごく驚きました。でも実際に置いてみたら、全く違和感がなくて。自分だったらブラウンやベージュなどの無難な色を選んでいたと思うので、プロに提案していただけて本当によかったです」

家を建てたことで深まった
家族の絆

空間を彩るのは既製のインテリアだけではない。キッズスペースに置かれた木工作品の数々は、miiさんの父である“じいじ”の手づくりだ。

miiさん「孫に何かつくってあげたいと考えたのが、作品づくりのきっかけだったそうです。そこから、私がじいじ作のラックやベンチなどをInstagramで紹介し始めました。本人も反響があるのが嬉しかったみたいで、どんどん作品が増えて、今ではDMでオーダーを受けたり、ハンドメイドマルシェで販売するほどの腕前に。意外と乙女チックなセンスの持ち主で、具体的にリクエストしなくても、すごく可愛いらしいものをつくってくれます(笑)。

本業を定年退職したら、本格的に作品づくりに打ち込みたいそうです。家を建てなければ、私がInstagramで情報を発信することもなかったと思います。父の老後の楽しみを増やせたのも、マイホームを持ってよかったことの一つですね」

当初、家づくりにあまり乗り気ではなかった夫の様子もすっかり変わったという。

miiさん「旅行で数日家を空けるようなことがあると、帰って来て『やっぱり自分の家がいいね』としみじみ言うようになりました。家を建ててよかったと主人が思ってくれて、私も嬉しいです。

実は今、主人はこの家を建ててくださった工務店さんで働いているんです。ちょうど家づくり中に転職を考えていて、『この会社、どう思う?』と私に求人情報をLINEするつもりが、工務店さんのメンバーで構成されたグループに誤爆してしまって(笑)。その求人情報がたまたま建築系の会社で、社長さんが『この業界に興味があるなら、うちで働いてみませんか?』と誘ってくださったんです。自分の経験をもとにお客さま目線で家づくりをサポートしたいと、主人も入社を決意しました。

主人が一歩前へ踏み出せたのは、理想の住まいが完成したからこそ。信頼できる人や職場との出会いも、家を建てなければ起こらなかった出来事でした。マイホームを持ったおかげで、新しい人生が始まった気がします」

北欧風の空間へと続くブルーグレーオーク柄のドア。手仕事の光る木工作品が、満ち足りた暮らしに優しく寄り添う。北欧の家がブルーを多用するのは、暗く長い冬の間、室内で青空を感じたいからなのだという。miiさんの家の青空はいつも雲一つなく澄み渡り、家族の日々を見守り続けるだろう。

miiさん

管理栄養士として働く1児のママ。子どものいる暮らしを中心に、インテリアやお気に入りのアイテムをInstagramで発信しています。父(じいじ)が孫のためにつくり始めた木工作品を紹介するアカウントも運営中。

設計・施工:株式会社フリーダムデザイン

*記事内でご紹介した商品は、2025年2月15日時点の仕様となっております。
ご検討の際は、ショウルームやカタログ等でご確認ください。