( interview )
KURUMIさんは、夫と2人の息子、2匹の犬とともに、2022年に完成した一軒家で暮らしている。しっくいホワイト柄のハイドアを開けると、グレージュでまとめられた心地よいリビングが広がる。
「子どもが大きくなって建てたからこそ、この間取りが生まれた」と語るKURUMIさん。ライフスタイルに合わせた動線づくりや、憩いの場とプライベート空間の分け方など、随所に散りばめられたこだわりについて伺った。
プライベート空間を確保
子どもたちが成長し、それぞれの生活リズムが変化。日々の暮らしの中で居心地の悪さを感じるシーンが増えてきた。
KURUMIさん「前は賃貸マンションに住んでいたんですけど、私と主人が寝ている時間に息子たちが帰って来て、隣の部屋でごはんを食べることもしばしば。私たちは物音が気になって眠れないし、息子たちも気をつかわないといけない。みんなのストレスをなくすために、家を建てようという話が持ち上がりました」
しかしノウハウのないまま手探りで始めた家づくりは、何度も頓挫したという。
KURUMIさん「土地探しもハウスメーカー選びも苦戦して、気がついたら3年くらい経っていました。もう疲れちゃって、諦めかけたこともあったんですけど、最終的に主人の知人のツテで巡り合った工務店さんにお願いすることになりました」
マンション住まいで感じたストレスを解消するため、プライベート空間を確保できる間取りを重視。
KURUMIさん「ポイントはリビングを独立させること。最近の家に多いリビング階段と回遊動線は、うちではあえて採用しませんでした。
子どもが成長するにつれ、帰宅する時間や友だちを連れて来る時間は遅くなります。夜、リビングでくつろいでいる時に階段を上り下りされたらちょっと落ち着かないですよね。
またトイレやバスルームもプライベートな空間なので、リラックスして使えることを優先して、家族が集まるリビングからは離して配置しました」
物音が気になった過去の教訓から学び、防音対策にもこだわった。
KURUMIさん「家の中から空が見たいと思ってリビングに吹き抜けをつけたんですけど、上からも下からも音が筒抜けになってしまうのは嫌なので、2階とはつなげませんでした。
そして1階の防音部屋も、リビングから離れた場所に設けました。2階の足音も響かないところに配置しています。今は書斎として使っていますが、親の介護や夫婦の老後の寝室など、将来的な可能性も視野に入れてつくりました」
混ぜ合わせる
当初、内装のプランは「とりあえずグレージュ」程度だったというKURUMIさん。どうやってイメージをカタチにしていったのか。
KURUMIさん「Instagramでいろんなテイストを検索してみました。だけど、どれも可愛く見えちゃうんですよね。ひとつになんてとても決められない(笑)。そこで、水回りはホテルライク、2階は韓国インテリアなど、空間によってテーマを変えて、好きなテイストを全部詰め込むことにしました」
LDKのテーマは北欧風。色味に一目惚れしたというグレージュのキッチンを起点に、クロスや床、インテリアの色をセレクトした。
KURUMIさん「うちにはパースがなく、イメージがわきづらかったので、パースが描ける方を探して、制作をお願いしました。おかげでスムーズに色を決めることができました。家づくりにパースはマストだと思います。
一番助かったのはキッチンの下がり天井。面積が広いので無難な色にするべきかすごく悩んで、サンプルも300枚くらい取り寄せたんですけど、パースを見て、濃い色の方が締まることがわかりました。
キッチンの背面ももともとは白にする予定だったんですけど、パースを見て、色を入れた方が奥行きが出ると思ったのでベージュに変えました」
景色の抜けにもこだわったというKURUMIさん。土地選びでは、最低でも一方向は他の家が接していないことを条件にした。
KURUMIさん「窓の位置は景色の見え方と風通しを考えて決めました。例えばキッチンの三連窓はちょうど景色が抜ける方向に設置しています。開放感があってすごく気持ちがいいんです」
L字型のリビングにするため、必然的にキッチンとダイニングは横並びに。
KURUMIさん「LDKの広さは21畳くらいなんですけど、中と外の空間をつなげて広く見せたかったので、L字型にして庭にタイルデッキをつくりました。北欧テイストのダイニングテーブルもお気に入りです。海外製の座面の高い椅子に合わせて、テーブルの高さもメーカーさんに調節していただきました」
リビングにある小上がりのスペースは、ちょうど腰掛けられる高さに設定。愛犬たちのケージなどを置いている。
KURUMIさん「家を建てたら絶対に犬を飼おうと決めていました。主に犬たちのためにつくった場所ではあるんですけど、小さな子どもが遊びに来た時はテーブルを出したり、親戚が集まった時にはカラオケ大会のステージにしたり(笑)。いろんなシーンで活躍しています」
透明ガラスに一目惚れ
玄関からリビングに続くハイドアは、大きな採光部が印象的なVERITIS Craft Label(ベリティス クラフトレーベル)を採用。しかし、当初はリビングにドアをつける予定はなかったという。
KURUMIさん「他の空間とはしっかり分けたいけど、閉鎖的なリビングにはしたくなかったので、ドアはつけずにオープンにするつもりでした。
でもちょうど風の通り道になるので、空調の効きを考えるとつけた方がいいという話に。それで、中が見えるガラス戸のデザインに決めました。
私も主人もパールグレー柄が気に入って、1階の水回りのドアは全部同じ柄で揃えました。リビングのドアも玄関から見た時の統一感を考えて、最初はパールグレー柄にするつもりだったんです。だけど、ショウルームでしっくいホワイト柄とガラスの組み合わせに一目惚れして。最終的にはリビング側からの印象を優先して、玄関側のクロスを白に変えることで馴染ませました」
玄関のそばにある階段の踏み板は、ベリティスのホワイトオーク柄。2階の床とドアも全てホワイトオーク柄で統一した。
KURUMI「玄関は水回りと同じホテルライクなテイストにしていて、床は大理石調。木目のホワイトオーク柄とマッチするか不安だったんですけど、すごく可愛く馴染んでくれました」
家づくりの備忘録として始めたInstagramは、3年でフォロワーが9万人に。家づくりに悩む人の助けになるよう、丁寧な発信を心がけている。
KURUMIさん「本当は家が建ったらInstagramはやめるつもりだったんです。でもありがたいことにフォロワーさんが増えて、私も投稿するのがどんどん楽しくなって。写真を撮るために部屋を片付けるし、可愛くしたいと思うし、いろんな人とのつながりもできる。Instagramで発信するのって、いいことしかないんですよ(笑)。
この3年で家づくりの過程はある程度発信できたので、今後はもっと暮らし寄りの情報などをお届けできたらいいなと思っています」
インテリアの好みにも少しずつ変化が。最近は木目のアイテムが気になっているという。
KURUMIさん「主人は私に内装を全部任せてくれたんですけど、もともとは和モダンとか木目調の雰囲気が好きな人なんです。私も最近ジャパンディが好きなので、もっと木目の要素を増やしていきたいですね。
今ひそかに目論んでいるのは、カップボード上の壁のDIY。木目のリメイクシールを貼りたいなと考えています。実は家を建てる時、タイルを貼ろうか悩んだ場所でもあるんですけど、あとからどうにでもなることは、今やらなくてもいいんじゃない?って主人が。結局、今は木目にしたいと思っているので、余白を残しておいてよかったです」
気分に合わせて小物を頻繁に入れ替えるというKURUMIさん。「空間によってテイストを変えたのは正解でした」と話す。
KURUMI「リビングで使わなくなった小物も寝室には馴染んだりと、どこかしら別の部屋で再活用できるのがいいんですよね。うちは空間ごとにテーマを決めてはいるんですけど、自分の“好き”を寄せ集めているので、結果どのジャンルにも属していないんです。そのバランスが心地いいなと思っています」
過去・現在・未来を考え、辿り着いたベストな間取り。そこに“好き”を思い切り詰め込むことで、唯一無二のニュートラルな家が完成した。これから愛犬たちが成長し、子どもたちが巣立ち、夫婦で穏やかな老後を迎える。人生の一瞬一瞬のきらめきを反映させながら、KURUMIさん家族の家は進化を続けていく。
Instagramの情報を頼りにつくったグレージュハウスで、夫と2人の息子、2匹の犬と暮らしています。自身のアカウントでもお家づくりに役立つ情報を発信中。最近はDIYが気になっています。
- https://www.instagram.com/kurumi_myhome/
*記事内でご紹介した商品は、2024年12月1日時点の仕様となっております。
ご検討の際は、ショウルームやカタログ等でご確認ください。