( interview )
夫と2匹の猫と暮らす吉良さんは、愛猫たちの様子や猫にまつわる情報をブログで発信している。今回、新築の戸建住宅を購入し、わんにゃんSmile建材を監修する一級建築士・愛玩動物看護師のいしまるあきこさんにリフォーム基本案を依頼。猫仕様の理想の住まいが完成した。
物件選びからリフォームまで、どのようなポイントを重視したのか。猫たちがくつろぐ吉良さん宅を訪ねた。
新築戸建購入
吉良さんが1匹目の猫「ちゃちゃ」を飼い始めたのは、当時婚約中の夫と住んでいた賃貸マンション。数ヶ月後、同じ保護主から2匹目の「ゆかり」を引き取り、2DKの間取りが手狭になった。
吉良さん「ゆかりを迎えたタイミングで、キリがいいから結婚しちゃう?という話になり、2021年に入籍。“猫婚”です(笑)。引っ越しを考えるようになったのですが、なかなかいい賃貸物件に出会えず……。悩んだ末に戸建の購入を決めました。ただし頑張りすぎず、現実的な予算で。家にお金をかけすぎて、猫たちの食費や医療費を圧迫したら意味がありませんから」
そこで猫仕様にリフォームされた中古物件なども見てみたが、中には耐震性や断熱性に不安を感じる家も。
吉良さん「猫たちのことも考えると、耐震等級3は譲れないポイントでした。エアコンも一年中つけっぱなしなので、断熱性が高ければその分消費を抑えられる。安全面とランニングコストを考慮して、中古ではなく新築に絞ることにしました。
途中、注文住宅も視野に入れていましたが、私も夫も優柔不断で、こだわりが強いわけでもないので、進めていくうちに、これだったら建売でよくない?って。建売住宅を猫仕様にリフォームするやり方が、私たちには一番合っていると思いました」
物件探しで重視したのは、猫が脱走しにくく、リフォームしやすい構造。
吉良さん「玄関が狭いと脱走防止柵が設置しやすく、脱走のリスクが下げられるので、うわ!狭い玄関だ!って夫と喜んでいましたね。たぶん変な人たちだと思われたはず(笑)。
リフォームの点で重視したのはキッチンの位置。猫の侵入を防げる独立型のキッチンが理想でしたが、現代の間取りはLDKが主流です。キッチンを移動するのはかなり費用がかかるので、壁が取り付けやすいかどうかに注目しました。
環境面では、静かな立地と日当たり・眺望のよさを重視。彼女たちは日向ぼっこと外の観察が大好きなので、前のマンションと同じ環境を整えてあげたくて」
2階建て想定だったが、最終的に決めたのは、1階に水回り、2階にリビングとキッチン、3階に書斎と寝室を備えた3階建ての物件だった。
吉良さん「3階建てってどうなんだろうと思いましたが、浴室のある1階部分は完全にクローズできるので、猫にとって安全で使い勝手もいい。むしろ3階建てにしてよかったです。
前のマンションでは猫たちが窓から車の往来を観察していたんですけど、今の家は2階の窓から電線が見えるのもいいですね。朝、電線に止まっている鳥を見てカッカと嬉しそうに鳴いています」
独立型キッチン
次に着手したのは猫仕様のリフォーム。工事の音は猫たちのストレスになるため、入居前にリフォームを済ませることにした。いしまるさんに相談した経緯は?
吉良さん「いしまるさんは“猫も人も幸せになる暮らし”を提案されています。猫だけが幸せでも、人だけが幸せでもダメ。いしまるさんの著書『猫と住まいの解剖図鑑』を読んで、その“共生”の観点に共感して、いしまるさんへのアツい想いをひたすらブログに書いていたら、ご本人からSNS上でお礼を言われて。そこから交流が始まって、いつか自分の家をつくる時にはいしまるさんに相談したいと思っていました」
いしまるさんに伝えた具体的な要望は「キッチンを独立させる」「キャットウォーク・ステップを取り付ける」の2点。
吉良さん「ざっくりしたオーダーにも関わらず、いただいたリフォーム案が本当に素晴らしくて。猫と人の視点から丁寧に猫リフォームの考え方も教えてくださって、なるほど!と思うポイントばかりでした。わんにゃんSmile建材の使用例を盛り込んでくださったのもわかりやすかったです。
家具の配置イメージもお伝えしたのですが、通り道にあった方が飲んでくれるから水置き場はここで、など、リフォーム以外のこともアドバイスしてくださいました」
いしまるさんからリフォーム基本案を受け取り、自身で探した地元の建築士と工務店によってリフォームの細かい調整が行われ、工事スタート。キッチンにはリビングからの動線に壁を設け、室内窓とドアを設置した。
吉良さん「この物件は最初から床もドアもVERITIS(ベリティス)でした。ドアは全てホワイトオーク柄だったので、キッチンのドアも同じ色柄に。ドアノブは猫たちが開けられないよう握り玉にしました。窓が開けられないとキッチンに熱がこもるので、室内窓の上は突き出し窓にして、下は猫のよじ登り防止のために横桟のないタイプにしています」
リビング側の室内窓下には、キャットウォーク・ステップにもなるわんにゃんSmileのインテリアカウンターを設置。
吉良さん「侵入対策でキッチンを独立させると、キッチンにいる人が孤独を感じてしまうというデメリットも。室内窓とキャットウォーク・ステップのおかげで、キッチンにいても猫たちの様子が把握できます」
あえて低めに
キャットウォーク・ステップとして、リビングの壁にもインテリアカウンターを設置。カラーは室内窓下と同じチェリー色を採用した。
吉良さん「ベリティスシリーズは色柄が豊富なので、ショウルームで実物を見た方がイメージがわきやすいと思います。わんにゃんSmileのインテリアカウンターも実際に足を運んで確認しました。すべりにくいようにざらっとしたコーティングが施されていたり、猫が安全に使用できる形状になっていたりと、実物から伝わる利点がたくさんありました」
取り付け箇所は床面から150cm前後。低めに設置することで、ソファーに座った時に猫たちの姿がよく見える。
吉良さん「高すぎると猫との間に距離ができてしまって、コミュニケーション的にもよくないのだそう。この高さなら何かあってもすぐに抱っこできますし、方立が手すりのような役割も果たしてくれて、猫が安心して降りられます。夫はいつもソファーから満足そうに猫たちを眺めていますね(笑)」
キャットウォーク・ステップの設置に併せて、背面のクロスも張り替えた。
吉良さん「購入時はナチュラルで可愛らしい内装だったので、クールな色味に変えてシンプルモダンに寄せました。採用したのはサンゲツさんの『SP9799』。キッチン側のクロスも同じサンゲツにして、そちらは淡い色味の『SP9734』でメリハリをつけています」
寝室のドアにはDIYでペットドアを取り付ける予定だったが、構造上難しいことが判明。ドアごと取り替え、わんにゃんSmileのペットドアを採用した。
吉良さん「わんにゃんSmileのくぐり戸は軽くて開閉音も静か。前のマンションではドアを開けたままにしていたのですが、やっぱりペットドアは便利ですね。
挟まる心配もなく、エアコンの電力消費も抑えられます。夫と私、それぞれの寝室のドアに取り付けていて、猫たちはその日の気分で好きな部屋に入って寝ています」
理想は十分に叶ったが、強いて言えば床のすべりが少し気になっているという。
吉良さん「今はラグを敷いていますが、猫たちの負担を考えるとコーティング加工などを検討してもいいのかなと。その時はまたいしまるさんに相談したいですね」
今後、3匹目を飼う予定は?と尋ねると、「飼いたい気持ちはあるんですけど……」と寂しげに微笑む吉良さん。
吉良さん「今いる子たちにストレスをかけたくない気持ちの方が大きくて。猫は環境に依存する生きものなので、変化に敏感です。ストレス軽減のため、寝室は前のマンションと同じ配置にしているんですけど、越してきてすぐの頃は2匹とも寝室に引きこもっていました。今はどっしり構えていますけどね(笑)。
私たちには家以外の場所がありますが、彼女たちにはこの家しかありません。これからの暮らしの中でみんなの幸せになると判断できた時に、新しい猫を迎えられたらいいかなと思っています」
自分たちらしい取捨選択をし、わんにゃんSmile建材をうまく取り入れてカタチにした理想の住まい。猫を想うことで人も幸せになり、豊かな日々が積み重なっていく。吉良さん家族の“共生”の物語は、まだ始まったばかり。
夫と2匹の猫と暮らす会社員。20年越しの夢“猫を飼う”を実現し、猫好きに加速がかかりっぱなしな飼い主。家庭内ヒエラルキーは猫≧人間。猫への課金が趣味。
人もいぬ・ねこも、家族みんなが快適に暮らせる空間づくりを。パナソニックでは、いぬ・ねこの毎日に負担の少ない快適な商品をご用意。高いコーディネイト性も魅力です。
*記事内でご紹介した商品は、2024年11月15日時点の仕様となっております。
ご検討の際は、ショウルームやカタログ等でご確認ください。