( interview )
ドアやキッチンの使い勝手に、断熱など家の性能、生活動線……。家づくりの過程でどれだけ言葉で説明を受けても、パースやサンプルを眺めても、実際に暮らしてみることはできないから、判断が難しいことも。
九州を中心に住宅づくりを行う東宝ホームは、泊まって暮らして使い勝手や性能を体感できる「宿泊展示場」を運営している。
新しくできた宿泊展示場を、東宝ホーム・設計担当の渡邉さんに案内してもらった。
「宿泊展示場」
東宝ホーム・渡邉さん──このモデルハウスに泊まれるんですね!改めて東宝ホームさんの「宿泊展示場」について教えていただけますか?
東宝ホームの家づくりの大きな特徴として「冬はポカポカ、夏はサラサラ」という家の性能があるんです。具体的には断熱性・気密性・換気性にこだわっているんですが、性能って言葉で説明されてもよくわからないですよね。実際に体感してもらうために、宿泊展示場を展開しています。
もちろん体感できるのは、どの季節も過ごしやすい気温や湿度だけでなく、キッチンやお風呂の使い心地から、ドアや床の質感、水まわりの動線まで。家を建てる前に、住み心地のシミュレーションができる施設になります。
──すごくいいですね!今回、新しく建てた泊まれるモデルハウスのコンセプトは?
「COLUCE(コルーチェ)」という名前で「木漏れ陽のある家」をテーマに設計しました。ホテルのような非日常が体感できて、ナチュラルだけどラグジュアリー感もある。大人の女性に選んでいただけるような空間を意識しています。
優雅な「GRACE」スタイル
──具体的な家づくりはどこから始めたのでしょう?
キッチンが起点になりました。宿泊展示場でもあるし、ホテルに泊まるように暮らしてほしくて、パナソニックの「irori Dining」を入れたかったんです。囲炉裏のようにコンロを囲んで、焼肉や鍋など、調理をしながら出来立てを食べられるので。
パナソニックのシステムキッチンL-CLASS「irori Dining」「irori Dining」をきっかけにショウルームに行った際に、専務がパナソニックが提案する「Life Style Fit」の考え方が気に入りまして。デザインはグレージュをベースにした「GRACE(グレース)」スタイルでいくことが決まったんです。
──グレージュをベースにしたスタイルの色柄は何から決めたのでしょう?
高級感と温かみを添えるために、玄関ホールからキッチンに至るまで天井にVERITIS(ベリティス)羽目板を貼ることにしたんです。グレージュがテーマカラーだったので、グレージュアッシュ柄を選んで。羽目板に合う色柄として、床はマイスターズウッドフロアーkihadaミスティグレー色に。その間にあるキッチンと全面のカップボードはフォググレーにしました。
天井部分:ベリティスウォール パネリング グレージュアッシュ柄
床:マイスターズウッドフロアーkihada ミスティグレー色羽目板と床はそれぞれ青みと黄みがかかったグレーで、少し方向性が違うかなと思ったんですが、はめてみたら見事に調和して、木目の質感と絶妙な色合いがとてもいい感じ。特に床の色柄が、いや、全部いいです。
──ドアはどのように選んだのですか?
建具はすべてハイドアにしています。圧迫感がなく空間が広く見えるので。デザインはクラフトレーベルのPC型で、色柄はしっくいホワイト柄を選びました。
天井と床に色味があるのでごちゃつかないように、ドアのデザインと色柄は極力クロスに馴染む白にしました。今回、ドアは水回りと2階の個室にしかつけていないんです。LDKにはなくて、収納含め隠したい場所に扉をつけているので目立たないようにしたという意図もあります。引手もすべて主張しないシルバーを採用しました。

──LDKにドアをつけなかったのは?
全館空調の家なので、ドアがないほうが全体にいい空気が巡るという点もありますが、“当たり前”を覆す提案をしたくって(笑)。玄関ホールから向かうリビングの入り口にはドアがあることが“当たり前”だと思いがちだけど、角度をつければ死角になるので、なくてもいいんじゃないかって。
ドアがないリビング──羽目板が玄関から続いているので、ドアがないことでつながりと開放感があるようにも感じます。
ドアも使い方で印象や使い心地が変わると思うんです。今回、生活動線を意識してファミリークローゼットにも扉をつけなかったんです。
扉のないファミリークローゼット。収納棚はウォークインクローゼットも同様に「アイシェルフ」で造作覆すことから
──間取りのこだわりはありますか?
東宝ホームの家は、1階にLDKと和室があって、2階に3部屋ある4LDKが多いんですが、今回和室はつくらず2階にホールを設けました。目的のない贅沢空間で、本を読んでもいいし、キッズスペースにしてもいいし、自由に過ごしていただけます。
和室は設けてないんですが、主寝室は畳を敷いてライン照明を入れて、ホテルのように落ち着ける空間を演出しました。

1階のLDKはリビングとダイニングを離して、同じ空間にいても家族それぞれに居場所があるような間取りを意識していて。リビングのソファスペースは、外の光も感じられてヌックのような居心地の良いスペースがつくれたなと思います。私もここに泊まりたいくらいです(笑)。

──すでに宿泊予約が入っているそうですが、これからこの宿泊展示場をどう活用していきたいですか?
予約が埋まっているようでうれしい限りです。家族それぞれのライフスタイルが多様になって、家づくりは“当たり前”の固定観念を崩すところからはじまると思っているんです。
今回の展示場にもこれまでの常識を覆す提案を盛り込んでいます。
コンロをダイニングのように活用するキッチンに、冷蔵庫を含む家電を扉の中に納めて生活感をなくしたカップボード。扉のないリビングとファミリークローゼット。天井につらなる羽目板。これまでにない提案をこの場所で体感して、ご自身のオリジナルな家づくりの参考にしてもらえたらうれしいです。

地続きの羽目板にハイドア、グレージュが奏でる、まるでホテルのような優雅な空間。非日常感を演出しながらも、日常の快適さも忘れない。デザインも機能性も欲張りに、泊まって暮らして体感し、納得のいく選択を。これまでの“当たり前”にとらわれない、東宝ホームだからこそ叶う家づくりのかたちが、ここにある。
*記事内でご紹介した商品は、2024年9月1日時点の仕様となっております。
ご検討の際は、ショウルームやカタログ等でご確認ください。










