( interview )
2024年5月、熊本の実家の近くに、3匹の猫と暮らす平屋を建てたTさん夫妻。
グレージュアッシュ柄のハイドアを開けると広がる、柱のない30帖のLDK。中庭に面した大開口の窓からは明るい光が差し込み、3匹の猫たちがそれぞれ気持ちよさそうに過ごしている。
幼馴染だという松栄(SHOEI)住宅の担当者・清田さんと二人三脚で進めた家づくりについて、話を聞いた。
人と猫にいい環境の一軒家を
──そもそも家を建てようと思ったのはどうしてでしょう?
旦那さま: うちには猫が3匹いるんですが、当時暮らしていた賃貸アパートは猫たちが自由にできるスペースが限られていたし、床が滑りやすかったんです。一度、高いところから飛び降りた猫が指を骨折してしまったことがあって。猫たちにとっていい環境をつくれるのは一軒家だろうと。
それから僕がトロンボーン、妻がサックスの演奏が趣味で、家に吹奏楽ができる環境がほしくって。あとは、親孝行をしたいというか、老いていく親のそばにいたいなあと思ったんですね。
──今回、松栄住宅さんに家づくりを依頼した理由は?
奥さま: 営業担当の清田さんが幼馴染なんです。家を建てたいと話して、2年くらいプライベートな時間も含めて相談に乗ってもらっていました。土地を買う前に、間取りを決めるだけで2年はかかってるよね。
旦那さま: 私が工業高校の建築科にいたので、かるーく理想の間取りの図面を書いて、彼にパースに起こしてもらって、ああでもないこうでもないを繰り返してっていうのを2年。なかなかありえないことだと思います。
清田さん: 遊びに行くような感覚で打ち合わせをしていましたね(笑)。ご夫婦に限らず、お客さまがお望みであれば、時間をかけてお付き合いするつもりでおります。
旦那さま: 限られた予算の中で理想を叶えるのが難しくて……。こちらの無理難題を一つひとつ解消してくれたおかげで、2年かけてやっとこれ以上いい案はない!と納得いくものができました。
仕事の枠を超えて真摯に向き合ってくれた彼には感謝しかないです。間取りができてから建物ありきで、実家の近くで土地も一緒に探してもらいました。
柱がない大開口のLDK
──計画に2年かけた間取りのこだわりは?
旦那さま: 絶対に中庭がほしかったんです。ご近所さんの目線を感じることなく、家に囲われた完全にプライベートな空間として。仕事柄、高齢の方に接することが多く、長い目で見たら2階は使わなくなると聞いていたので、平屋にすることも決めて。
中庭を囲むようにしてLDKと水回り、個室と寝室を本当はロの字型に配置したかったんですが、予算の関係でコの字型になりました。
奥さま: 中庭には大きな窓があって、そこから家のどこにいても人と猫の動きがわかるので、人がいることに慣れたのか、猫が人懐っこくなった気がします。
──柱のない大開口のLDKも印象的ですね。
旦那さま: 1日の中でも長く過ごす場所なので、目一杯広く取りたかったんです。柱がたくさんあってごちゃごちゃした感じが好きじゃなくて。これが叶ったのは、彼が提案してくれたテクノストラクチャー工法のおかげです。
清田さん: 弊社では2つの工法を採用していまして、ご夫婦には、耐震性もあり、設計の自由度が高いパナソニック アーキスケルトンデザイン株式会社のテクノストラクチャー工法を勧めさせてもらいました。鉄と木を組み合わせた工法なので、木造住宅では難しい大開口を少ない柱のシンプルな構造で確保できるんですね。
グレージュアッシュ柄
──内装デザインは、どのように決めていったのでしょう?
旦那さま: 内装に関しては、夫婦の感性が真逆なんです。僕はブラックなどシックな落ち着いた雰囲気が好きで、妻はベージュや木目など温かみのある明るい雰囲気が好き。ふたりの中間といいますか、これならいいねとお互いの妥協点を探っていった感じです。
奥さま: 提案してもらったVERITIS(ベリティス)のカタログを見て、これがいいってお互いに指差して。サイトでカラーコーディネイトをして、サンプルを取り寄せて、床と建具の色柄を決めました。松栄住宅のコーディネーターの麻生さんが私たちの意見を取り入れながらいい感じにまとめてくれました。
清田さん: 床は、ベリティスフロアー グレージュヒッコリー柄を選ばれて。明るさもありながら落ち着いた色味で、猫の肉球に対する滑り配慮もされています。ドアは、トーンを合わせたグレージュアッシュ柄。クロスは白で、キッチンの降り下げ部分だけ木目に。弊社のインテリアコーディネーターの麻生と、ご夫婦は間違いない色柄を選ばれたねと話していました。
──感性が真逆なおふたりで具体的にどう調整していったのでしょう?
旦那さま: ドアの色柄は妻の好みを優先しました。代わりにデザインは、僕が好みのシンプルなもの(PA型)に。空間全体のクロスは真っ白なんですが、寝室だけ僕好みの真っ黒にして、合わせて床も落ち着いた色に。素材感がある色柄なのでパースで見て想像していた以上によくて、結果的にいい感じにまとまったと思います。
──リビングに隣接するドアをすべて天井に連なるハイドアにしたのは?
奥さま: 見た目がかっこいいし、空間が広く見えるので、最初からハイドアに迷いはなかったです。
猫と暮らす家
──リビングの一角にある猫部屋は、ガラス戸なので様子がわかっていいですね。
清田さん: 猫の様子が見えるようにしたいということだったので、ドアはスタンダードレーベルのHB型を提案させてもらいました。
旦那さま: 猫部屋に入れるのは、主に食事のときや来客があるときなんですが、ガラス越しに猫たちがどんなふうに過ごしているかが見えて、癒されます。
奥さま: 猫側からしたら、見られて過ごしにくいかもしれないけど(笑)。
──猫部屋以外に、猫と快適に暮らすうえで工夫したポイントはありますか?
旦那さま: 猫たちが収納を荒らしてしまうことがあるので、キッチンに隣接した大容量のパントリーにあらゆるものをしまっています。ベリティスの引戸は猫が自分で開けられないので、安心なんです。
清田さん: パントリーのドアは空間に馴染むようにベリティスのPA型のしっくいホワイト柄を採用しています。
──暮らし始めて2ヶ月ほど、暮らしに変化はありましたか?
奥さま: 引っ越してから、あまり出かけなくなったし、仕事から家に帰ってくるのが楽しみになりました。小上がりの和室で猫たちとごろごろお昼寝するのが休日の癒しです。
旦那さま: 先日旅行でホテルに泊まったんですが、やっぱり家がいいなって思ったんです(笑)。それくらい非日常感や癒しがこの家で得られているのかもしれません。
グレージュアッシュ柄の扉の先に広がるLDK。ガラス戸越しに姿が見える猫部屋。プライベートを確保した寝室と個室。中庭を真ん中にした平屋で、人と猫がほどよい距離を保ちながら、ゆるやかにつながる。今日もここで、窓から差し込む暖かい光に包まれながら、人も猫も伸びやかな時を過ごしているのだろう。
*記事内でご紹介した商品は、2024年9月1日時点の仕様となっております。
ご検討の際は、ショウルームやカタログ等でご確認ください。