( interview )
群馬県みどり市で地域の家づくりを担う桂建設。
毎年1棟ずつ、時代の空気と地元のお客さまの声を反映したモデルハウスをつくり、具体的な暮らしの提案を行う。
地元に建つ2軒のモデルハウスを訪ね、桂建設2代目社長の家住和徳さんにお話を伺った。
つながる関係性
──はじめに、桂建設さんの特徴を教えていただけますか。
父が創業して43年、2代目の私はこの地域で生まれ育ちました。名字が珍しいので「ああ家住さんのお孫さんね〜」なんて地元の人からよく声をかけてもらうんです。従業員も職人もみんなここが地元。地域をよく知る人間が、土地探しから家づくり、アフターサービスまで愚直に伴走する地域密着スタイルが我々の特徴です。
家づくりとしては、20年以上、耐震等級3を保証してくれるパナソニックの「テクノストラクチャー工法」を採用しています。ほかの建材や住宅設備も標準でパナソニックを提案しているんです。

その理由は、幅広いラインアップと質のよさもありますが、一番はアフターサービスが充実していること。営業担当者が全国にいるので、私たちでは対応できないメンテナンスにもすぐに応じてくれる。だから、家が建ったあとのお客さまの安心安全の満足度が上がるんです。
──地域密着型で、アフターサービスにも重きを置かれているんですね。
家は建てておわりじゃないですから。家づくりはスタート。暮らし始めて困りごとが生じたら、すぐに駆けつけます。我々でできることは修繕し、難しかったらメーカーに問い合わせる。できる限りすぐに対応することを心がけています。その積み重ねの先に信頼が生まれて、リフォームや世代を超えた依頼など、地元の人たちとの長い関係性が築けると思うんです。
老夫婦が暮らす家
──今回お邪魔している、1軒目のモデルハウスについて教えてください。
「野土花(のどか)」と名付けたこのモデルハウスは、少ないものでシンプルに暮らす68歳の老夫婦が暮らす家として設計をしました。

普段の生活で足腰に負担がかかる階段の上り降りをしなくていいように平屋に。外には家庭菜園ができる庭と、3〜4台分の駐車場があります。都内に暮らす娘がいつでも孫を連れてきてもいいように。人が集まれる広いLDKを真ん中に、玄関からも上がれる和室では、孫たちが自由に遊ぶこともできます。
寝室は扉で仕切って夫婦別で寝ることができ、予備室は旦那さまの趣味部屋として使うことを想定しています。スポットライトとピクチャーレールをつけて、絵を描いたり洋服を飾ったり。ほかにもこの地域の冬は風が強く埃が立つので、洗濯物を中に干せるスペースも設けています。
──具体的な暮らしの風景が浮かんできます。内装も落ち着いた雰囲気ですね。
内装は、設定は60代の夫婦なんだけど、渋くなりすぎず30代も憧れる雰囲気を目指しました。ちょうどいい中間色であるVERITIS(ベリティス)のイデアオーク柄を基調にコーディネイトしています。
(リビング)ドア:スタンダードレーベルHB型 カラー:イデアオーク柄 引手:C3型 サテンシルバー色リビングのガラス戸に合わせて、テレビ台のキュビオス、作業テーブルや洗濯棚に使っているインテリアカウンターもイデアオーク柄に。床はマイスターズウッドフロアー アッシュクリアを選びました。
壁が白いので、寝室の仕切りやトイレなど馴染ませたいドアはしっくいホワイト柄にしています。建具と建材をすべてベリティスにすることで、空間に統一感が生まれました。
(寝室)ドア:スタンダードレーベルPA型 カラー:しっくいホワイト柄 引手:C1型サテンシルバー色それぞれの時間を過ごす家
──お隣に移動して、2軒目のモデルハウスについても伺わせてください。
ここは「BRUNO(ブルーノ)」と題して、30代の夫婦と11歳の男児をペルソナにしています。多趣味な父はアウトドアに興味を持ち始め、母は在宅ワーク、息子は外でスポーツに打ち込み、家ではゲームの時間を楽しんでいるという設定です。
玄関には土間収納があって、靴だけでなく男児のスポーツの道具を置いて扉で隠せるようにしています。直接ダイニングからキッチンにも行けるので、買い物からの動線も楽です。
土間玄関にある、扉付き大容量のシューズクローク
土間収納とダイニングをつなぐ扉LDKは、キッチンを中心に、正面がリビング、東側がダイニングのL字型。空間をゆるやかに分けて、家族が同じ空間にいながらも、それぞれ好きな時間を過ごせる間取りにしました。
──実用的でありがたいですね。内装のイメージは?
(リビング)ドア:クラフトレーベルLM型 採光部:モールアクリル カラー:ソイルブラック柄 引手:C1型オフブラック色年頃の息子がかっこいいと思えるような、古くて新しい「ネオ・ヴィンテージスタイル」です。ベリティスのソイルブラック柄のドアに、ナチュラルチェリー柄の床を合わせました。キュビオスのブラックオーク柄でリビングのテレビ台を、チェリー柄でワークスペースのデスク棚をつくっています。

光の濃淡のあるホテルのラウンジをイメージして間接照明を中心に、レザーソファが似合う空間にしたかったんです。
紡ぐ場所
──どちらのモデルハウスも住まう人の細かい設定がされていて、どんな暮らしが実現するのかがわかりやすいです。
モデルハウスは年間1棟、建売も年間20棟ほど建てているんですが、我々の家づくりは「物語」ありきなんです。暮らす人の構成から年齢、趣味に至るまで具体的な設定をして、だからこの間取りでこの内装だよねって、組み立てていく。

注文住宅の場合も、お客さんとは趣味の話になることが多いんです。「休日は何をしているんですか?」と。釣りが趣味だったら、釣りが好きな従業員を担当につけます。そのほうが従業員のモチベーションが高まるし、お客さんにも的を外さない提案ができると思うので。
私も従業員も、お客さまとの会話や実生活から、こんな設定でこんな家をつくりたいという企画を常に温めています。物語が描けたら、モデルハウスや建売の提案に活かすんです。
──家住さんが今、温めている企画はありますか?
おひとりさま用の住宅をつくってみたいですね。家ってどうしても複数人の家族で住むことが前提になりがちだけど、そうじゃない選択肢があってもいいと思うんです。男性も女性も、ひとりでとことん趣味を楽しむ家があってもいいし、生活感を出さず、いるだけで満たされるような家をつくってもいい。仮にシングルだったらどうしたい?と人にも聞きながら、考える過程がとにかく楽しいんです。
家はそれだけ、さまざまな人の生活を豊かにする可能性を持ったものだと思うので。

60代の老夫婦が暮らす、イデアオーク柄から広がる落ち着いた平屋と、3人家族が暮らすソイルブラック柄が散りばめられたスタイリッシュな戸建て。家は、住まう人それぞれの物語を描くはじまりの場所。桂建設は、真摯に愚直に、家づくりを通して地元に暮らす人たちの「物語」を紡いでいく。
*記事内でご紹介した商品は、2024年8月15日時点の仕様となっております。
ご検討の際は、ショウルームやカタログ等でご確認ください。










