( interview )
![“住む楽しさ”を生み出す設計術](img/049/main_pht.jpg)
福岡県古賀市に本社を置き、土地探しからアフターフォローまでワンストップで対応する辰巳住研。“楽しく建てて、楽しく暮らす”をコンセプトに、複数の外部コーディネーターと提携して家づくりを行っている。
今回、福岡市東区多々良に新しくモデルハウスをオープン。コンパクトな敷地でも楽しく暮らせるよう、随所にこだわりを散りばめたという。コーディネートを担当したRicodesign代表の橋本理子さんと、辰巳住研広報の中村諭江さんに、この家に込めた思いを聞いた。
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──最初に、辰巳住研さんが家づくりで大切にしていることを教えてください。
辰巳住研 中村(以下 中村): お客さま一人ひとりに家づくりを楽しんでいただきたいという思いから、JOYと家を組み合わせた造語“JOYie(ジョイエ)”というキーワードを掲げています。自社で完結するのではなく、外部のプロと積極的に手を組むのもそのためで、十人十色の理想を叶えられるよう、既成概念にとらわれない柔軟な家づくりを心がけています。
──今回のモデルハウスづくりはどのように進めていったのでしょうか?
中村: まず設計の段階から外部の方にお願いして、自由な発想で図面を描いていただきました。敷地が約53坪しかなく、狭小地でも家族みんなが楽しく過ごせる家にしたいというのが今回のテーマで、設計士さんには「そのポイントさえ押さえていただければ、あとは好きにしてくださって結構です」とお伝えしました。
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──大胆な手法ですね!
中村: 結果的に、3LDKの間取りに加えて、2台駐車可能なビルトインガレージと中庭までつくることができたので大成功です。そこに橋本さんが加わり、コーディネーターとして素敵な世界観をつくりあげてくださいました。
コーディネーター 橋本(以下 橋本): 担当の設計士さんもこういったやり方は初めてだったそうで、私も一緒にワクワクできて嬉しかったです。コーディネーターにとって大切なのは、インテリアや色の組み合わせを考えるだけでなく、生活スタイルや動線を考慮した上で、いかにご家族の思いを空間に反映させるかということ。今回の物件に携わることで、改めて自分の仕事の楽しさを実感できました。
──では1階部分のこだわりから教えてください。
中村: メインとなるLDKは採光にこだわりました。中庭に面した窓からたっぷり光が入ってくるので、吹き抜けと錯覚するくらい開放的で明るい空間に仕上がっています。通りに面していないので外からの視線がなく、開放的でありながらプライベート感満載なのもポイントです。
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橋本: 階段もオープンスタイルにすることで、より効果的に光を取り入れられるようにしています。階段下には広めのフリースペースを確保しているので、グリーンを置いたり、ひなたぼっこをしたり、ワンちゃん用のスペースなんかにも使えますね。
──タイル敷きの中庭もさまざまな用途に使えそうですね。
中村: そうですね。アウトドアリビングとしてバーベキューやグランピングを楽しんだり、最近はお子さんの習い事でダンスが人気らしいので、練習スペースなどに使っていただくのもいいかなと思います。
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──フルフラットのアイランドキッチンも、開放的で存在感があります。
橋本: 私なりに“JOYie”って何だろう?と考えた時に、家族でワイワイ過ごす食卓のイメージが浮かんだので、キッチンとダイニングは横並びにして、みんなで料理や食事を楽しめる空間にしました。リビングと一続きになっていて、どこにいても家族の息づかいを感じることができます。
中村: アイランドキッチンの魅力は、ゆとりのある家事動線と見た目のスタイリッシュさ。ライブ感も演出できるので、キッチンに立つ楽しみが生まれますよね。洗練された雰囲気を壊さないよう、生活感の出やすい冷蔵庫置き場は奥に配置して、リビングからは見えないようにしています。
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橋本: ダイニングは家族の思い出づくりができる場所にしたかったので、カップボードの対面の壁はイベントの時にデコレーションしやすいように配慮しました。
──SNSでイベントの写真をアップするのが当たり前の今、必須のスペースと言えますね。「デコレーションしやすい」とはどういった点ですか?
橋本: フラットな白壁の方が使いやすいと思われがちですが、SNSで見かけるようなオシャレなデコレーションにはセンスとテクニックが必要です。クロスに表情があればケーキをドンと置くだけでも映えるので、ここの壁にはあえて色を入れています。
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また画鋲がうまく刺さらなかったり、マスキングテープで貼ってもすぐに剥がれてしまったりと、装飾を固定するだけでも案外大変。そこでピクチャーレールとカウンターを設けて、壁を傷つけずにデコレーションできるようにしました。普段は飾り棚として使うことができます。
コンテンポラリースタイル
──内装はどんなイメージでつくりあげたのでしょうか?
橋本: コンテンポラリースタイルをテーマに、単に現代的なデザインを詰め込むのではなく、クラシックな要素をミックスして新鮮味を出しました。例えば、ここ数年人気のジャパンディも、北欧のインテリアに伝統的な和の要素が合わさったスタイルですよね。その時代のムードと既存のテイストがミックスされることで、新たなジャンルが生まれていくのではないかと思います。
テーマを象徴しているのがドア。1階はVERITIS(ベリティス)のネイビーオーク柄で統一し、ハンドルや引手には真鍮色を採用しました。ネイビーだけだとモダンな印象ですが、真鍮色を差し色にすることで西洋アンティークのようなレトロで可愛らしいイメージをプラスできます。
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──水回りにも全てネイビーオーク柄のドアを採用しているんですね。
橋本: プライベートスペースにつながるドアはクロスと同系色にすることが多いのですが、あえてネイビーを選んで空間のアクセントになるようにしました。さらに脱衣室のドアに大きめの採光部をつけたのもこだわりです。
──一般的な脱衣室のドアは、もっとフラットなイメージです。
橋本: そうなんです。採光部がある場合も小さな明かり窓が主流ですが、この家の動線上、脱衣室がダイニングから見えるようになっているので、リビングドアのデザインと合わせて一体感を出しました。
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AirView
──2階には主寝室を含めて5部屋と、狭小地とは思えない部屋数です。こだわった点は?
中村: 家族みんなが自分らしく過ごせるよう、書斎とホームジムも設けて、趣味や一人の時間を楽しめる空間を確保しました。ちなみに書斎は本棚式の隠し扉の奥にあって、秘密基地のようなつくりになっています。
橋本: ここだけ他の部屋とはガラッと雰囲気を変えて、異世界に迷い込んだような気分が味わえるようにしました。休日にこもって読書にふけるのもいいですし、リモートワークのスペースとしても活躍します。
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中村: ホームジムは鏡張りの本格的な仕様で、Bluetoothスピーカーとスポットライトを設置しています。お気に入りの音楽を聴きながらスポットライトを浴びていると、「私、今、汗を流しているわ!」という感じで自分に陶酔できるはずです(笑)。何気ない日々の中で味わう主役感って大切だと思うんですよね。暮らしの充実度が大きく変わるというか。
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橋本: わかります!自分で自分を演出するのってすごく大事。実は主寝室のクローゼットのドアをAirView(エアビュー)にしたのも同じ意図があったからなんです。これだけで寝室がホテルライクな空間に変わりますし、ワードローブもより上質に見えます。
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中村: 私もこのクローゼットを見て、さすが橋本さん!と思いました。
橋本: 嬉しい!ただ、中が見えることに抵抗がある方も多いと思うので、色は暗めのダークブロンズ色を選びました。ほどよく目隠しになって高級感も増します。6.8帖のコンパクトな寝室なので、空間に抜けを出せる点もメリットですね。もっと言うと、クローゼットをすっきり見せるために服を減らしていこうという意識が高まれば、ミニマルライフへの一歩につながるのではないかという狙いも……。
中村: 家族が楽しく過ごせて、オシャレな暮らしも維持できたら最高ですよね。SNSで目にするような憧れの生活が、無理なく叶う家に仕上がったのではないでしょうか。そして思う存分、充実した毎日を送る自分に酔っていただければ(笑)。
橋本: ね!主役は家ではなく、そこに住まう人ですから。
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右(洋室)ドア:スタンダードレーベルPA型 カラー:グレージュアッシュ柄 引手:角型引手C1型 真鍮色
ネイビーオーク柄のモダンなドアに、真鍮色のレトロな差し色。ダークブロンズ色のエアビューが、洗練された非日常感を醸し出す。家族と一緒でも、一人でも楽しめるように。住む人視点の“ワクワク”が詰まったコンテンポラリーな空間は、優しさと華やかさに満ちている。
- website
- https://juken.tatsumi.com/
- website
- https://ricodesign.jp/
*記事内でご紹介した商品は、2024年6月1日時点の仕様となっております。
ご検討の際は、ショウルームやカタログ等でご確認ください。