( ドアで魅せる家づくりのヒント集 )

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( interview )

「L字型」平家スタイルという選択肢

2024.04.01

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片桐 絵都
photography
林 直幸

「L字型」平家スタイル
という選択肢

長建産業

創業以来45年、群馬を拠点に地域密着型の家づくりを続けてきた長建産業。

昨夏、最高等級の断熱・耐震性とモダンなデザインを兼ね備えた最先端のモデルホーム「COMFORT BOX」が完成。時とともに変化する多様なライフスタイルに応えるため、さまざまな工夫が凝らされている。

どんな思いでつくりあげたのか。代表取締役の木村昭仁さんに話を伺った。

建て替え不要な家づくりを

──最初に、長建産業さんの強みについて教えてください。

木村: 弊社のコンセプトは「三世代住み継ぐ家」。長く住むために不可欠な耐久性と快適性にこだわった家づくりをしています。

──具体的にこだわっているのはどんな部分ですか?

木村: 耐久性に関しては、木材の接合部に特殊な金物を使用することで、従来の木造住宅の3.4倍の強度を実現しました。また、建物の揺れ幅を最大95%低減する制振技術も導入しています。

快適性に関しては、第一種換気システムや高性能の断熱材を取り入れ、環境に配慮しながらエネルギーコストも削減。かつ、これらを全戸に標準装備しているのも弊社の特徴の一つです。

その他、自社に木材のプレカット工場を備えているので、コストを抑えて柔軟に対応することができます。さらに革新的な設計を用いてデッドスペースを有効活用するなど、独自のアプローチにも力を入れています。

この予算だとこれができないとか、この坪数だとこの間取りは無理だとか、家づくりにはどうしても縛りが出ますよね。しかし私たちは、お客さまのご要望にはほとんど「NO」とは言いません。

──高い技術力と提案力、企業努力で寄り添っていらっしゃるんですね。

木村: ただし本当の意味での「住み継ぐ家」にするためには、時代の変化にも対応できなければいけません。

例えば、20代のご夫婦が群馬に家を建てて、お子さんが生まれて、地元の高校を卒業して、東京の大学に受かって家を出るとします。せいぜい20年足らずで、また二人の生活に戻ってしまうわけですよね。それからお子さんはそのまま東京で就職・結婚して、ご自分のお子さんも生まれて、結局実家には帰ってこない。これって今の時代にはよくあるパターンだと思います。

──確かに。そうなると、三世代が住み継いでいないですね……。

木村: 親・子・孫の三世代が同じ家に住むのはもちろん「住み継ぐ」ですが、私たちが考える「住み継ぐ」はもう少し広義で、住まう人のライフスタイルが変わっても、長く快適に暮らせることだと捉えています。

そのため、将来的に建て替えが必要になることのないよう、さまざまな変化に寄り添える家づくりを目指しています。今回のモデルホームにもその思いを込めました。

平屋なのに中2階?

──そもそも、なぜモデル「ハウス」ではなく「ホーム」なのでしょうか?

木村: ワンランク上の暮らしを楽しんでいただける家にしたいと思い、物体的な意味の「ハウス」よりも、もっと空間的で上質な印象の「ホーム」という表現にしました。外観はモダンなキューブ型にし、外壁のミックス感で個性を出しています。

──外から見るとL字型で少し段差のある形状になっていますが、間取りは?

木村: 3LDKの平屋スタイルです。向かって左側の低い方にLDKと水回りがあり、右側にアウトドアガレージ(外部収納)と内部収納、主寝室を含む3部屋があります。表の駐車場には3台まで駐車でき、外の扉から直接ガレージに入ることができます。

──屋内にガレージを組み込んだ理由は?

木村: この地域は車移動がメインになるので、広い駐車スペースが必須です。かつ積雪が多く、大抵のご家庭ではスタッドレスタイヤを常備されています。ご夫婦ともに車をお持ちの場合、最低でも8本。そこに自転車やスポーツ用品、バーベキューの道具なども加わると考えると、もうパンパンですよね。

物置を屋外に設置してもいいのですが、こういったモダンな家だと景観にそぐわない。さらに今回は58坪と、地域相場に比べると比較的小さめの敷地だったので、あえてL字型の設計にして、駐車スペースもガレージも効率よく確保しました。

──なるほど。そしてガレージから直接家に入ることもできるんですね。

木村: そうです。ガレージに直結した内部収納があり、上部には2部屋あります。

──あれ?平屋ということでしたよね?

木村:ちょっと不思議ですよね。2部屋の下に天井高さの低い空間、外部収納と内部収納を設けています。こちらのモデルホームでは170cm程の高さになっておりますが、140cm以内であれば床面積にカウントされないこと、1階で暮らしが完結することから平屋スタイルと弊社では謳っています。

ガレージが6畳、内部収納が6.5畳と広さも結構あるので、収納以外の用途にも使っていただけると思います。万が一地震などの災害が起こった際には、近隣の方々が避難できるよう、防災備蓄品も収納しやすくなってます。

──素晴らしい!それだけ高い耐震性を備えているということですよね。

木村: 柱や梁の位置、設備配置などの構造計算を適切に行い、制震技術も導入することで、耐震等級は最高等級の3を獲得しています。

ハイドアを多用して
高級感を演出

──では次に、内装のこだわりを教えてください。

木村: なるべく梁を出さず、無垢材もあえて使わないようにして、ホテルライクな空間を演出しました。クロスは使わず、壁も天井も漆喰で仕上げています。

ドア:プラスレーベルWX型 採光部:半透明合わせガラス カラー:しっくいホワイト柄 引手:C1型 オフブラック色

窓枠も含む建具は全てベリティスで統一。ドアの色柄はしっくいホワイト柄とパールグレー柄を選び、ハイドアを多用することで、開放感と高級感を出しました。

(左)ドア:プラスレーベルDZ型 採光部:半透明合わせガラス カラー:しっくいホワイト柄 引手:C1型 オフブラック色 (右)ドア:スタンダードレーベルHA型 カラー:パールグレー柄 引手:C1型 オフブラック色

──それぞれのドアがホテルライクな空間に馴染んでいて素敵です。

木村: ベリティスはデザインが豊富なので選びがいがありますね。昨年パナソニックさんの工場を見学させていただいたのですが、製作工程がしっかりしていて驚きました。傷が付きにくくメンテナンスもしやすいですし、「三世代住み継ぐ家」のコンセプトにぴったりの建材です。

──その他、間取りのこだわりを教えてください。

木村: 洗面所の横にはランドリースペースを設置しています。共働きで朝洗濯する時間のないご家庭でも、夜のうちに洗って干しておくことができます。また、主寝室以外の2部屋はガレージと内部収納の真上に配置しました。もし部屋で子どもが飛び跳ねても下には誰もいないので、足音を気にすることなく暮らせます。

洗面所横に設置された気持ちのよいランドリースペース

──間取りを決める段階で、さまざまな可能性を考えていらっしゃるんですね。

木村: そうですね。平屋スタイルにしているのもポイントです。2階建てにして上に子ども部屋をつくったとしても、お子さんが巣立てば空き部屋になりますよね。このモデルホームも子ども部屋を想定した2部屋を備えていますが、間仕切りをしなければ広いワンルームになります。

お子さんの人数や成長に合わせて間仕切りを使い、将来戻ってこなければご夫婦の趣味部屋にしてもいい。通常の2階建てに比べてアクセスしやすいので、使い勝手がよく、活用の幅も広がります。こういった部分にも「三世代住み継ぐ家」のコンセプトが反映されています。

子ども部屋と主寝室。ホールに続くドアやクローゼットにもハイドアを採用している。
一度建てた家は決して壊さない

──このモデルホームは今後販売の予定はあるのでしょうか?

木村: もちろん。私のモットーとして、総合展示場には出展しないんですよ。なぜかと言うと、最後には必ず壊すから。

弊社の家づくりに携わっている大工さんはみんなうちの専属で、一軒一軒、真心を込めて一生懸命つくってくださっています。そんな家を壊す選択肢は私にはない。このモデルホームだけでなく、弊社のモデルハウスは全て住むことを前提にしています。今回バイパス沿いの場所に建てたのも、車でのアクセスのしやすさや、ご高齢になっても日用品の買い物がしやすいようになど、長く暮らせる住環境を考慮した結果です。

──そういった意味でも、「住み継ぐ」というコンセプトに一貫した思いを感じます。

木村: 自分たちが建てた家には愛情と責任を持たないと。ですので、もちろんメンテナンスもしっかりやりますよ。太陽光発電の蓄電池を後付けしたいとか、暮らしの中で出てくる新たなご要望にも応え続けていきたいですね。地域密着型の建築会社として、末長くお付き合いさせていただきます。

こざっぱりとしたホテルライクな空間に、しっくいホワイト柄とパールグレー柄のハイドアが高級感を添える。随所に息づくのは、確かな技術から生まれる機能美と、住まう人への真心だ。一度建てたものは壊さない。潔くシンプルなモットーが、長建産業の家をこれからも明るく照らし続けるだろう。

長建産業

*記事内でご紹介した商品は、2024年4月1日時点の仕様となっております。
ご検討の際は、ショウルームやカタログ等でご確認ください。