( ドアで魅せる家づくりのヒント集 )

( ドアで魅せる家づくりのヒント集 )VERITIS MAGAZINE

( interview )

澄んだ自然とつながる暮らし

2024.01.09

text
徳 瑠里香
photography
林 直幸

澄んだ自然とつながる暮らし

kicoさま

木曽川の源流の里でもある信州・木祖村。名水百選が湧く山や樹齢200年以上の天然林がある、日本の四季が色濃い地域に、kicoさんの家はある。

木祖村の職人さんたちが総出でつくりあげたという一軒家に、kicoさんは夫と3人の子どもと1匹の犬と暮らす。どんなこだわりが詰まっているのか。家づくりの過程を振り返ってもらった。

地元の職人さんとつくりあげた、片流れ屋根の家

愛知で生まれ育ったkicoさんは、スノーボードに来ていた際に、木祖村で生まれ育った現在の夫と出会い結婚。その際、古い家を譲り受けて、リフォームをしながら暮らしていた。結婚して18年、その間3人の子どもが生まれ、犬を飼い、家族が増えた。

kicoさん「もともと古いものが好きで、譲り受けた古民家も気に入っていたので、新しく家を建てることは考えていませんでした。でも、古い家なのでどうにも寒くって。リフォームはしてきたんですが、暖かい家に住みたいねと夫婦の老後も見据えて、建て直すことにしました」

家を建て直す出発点でこだわったのは、木祖村の職人さんたちと家づくりをすること。

kicoさん「夫が建材を扱う会社に勤めていて、地元の工務店さんとのつながりがありました。木曽土建工業さんの建築部に設計をお願いし、夫の会社の建材を使い、地元の大工さんに家を建ててもらったんです。解体から設計、基礎工事、建材、塗装、板金など家づくりのすべての過程を、地元の職人さんにお願いしました」

kicoさんの頭の中に最初に浮かんだ家のイメージは、片流れ屋根の秘密基地のような家。

kicoさん「せっかく新しく家を建てるので、村の中でもほかにはない、目を引く外観にしたいなと思ったんです。総2階はありきたりだから、片流れの屋根で、1.5階の秘密基地感のある家にしたいなと。屋根裏部屋がある家にずっと憧れていたので」

そのイメージはそのままかたちになった。一直線に潔く流れる屋根は、広い空と春夏秋冬表情を変える山々によく似合う。

土間に吹き抜け。
季節が巡る外につながる暮らし

間取りは、玄関の右側に3畳ほどのシューズクローゼット、左側に2畳ほどのパントリーがあり、その先に吹き抜けと土間のあるリビングが広がる。夫婦の寝室とキッチン、お風呂やトイレなど水回りは1階に。リビングから階段を上った2階には、屋根裏のような子ども部屋が3つとウォークインクローゼットが2つある。

kicoさん「間取りで一番こだわったのは、リビングとつながる土間です。前の家で暮らしていたときに困ったのが、雪国なので、びしょ濡れになったブーツや上着を乾かす場所がないこと。スキーに行ったあとに脱いだウェアも土間でそのまま乾かすことができるので便利です。一応わんちゃんの居場所にもなっています。リビングへ出てきてしまいますが」

リビングの奥にある土間

土間を中心に、間取り設計でコンセプトにしたのは「外につながる暮らし」。土間の窓の外にはウッドデッキと愛犬が走り回れる広い庭がある。土間の扉は玄関直結のシューズクローゼットにつながる。

(土間)ドア:ベリティス クラフトレーベルLE型 採光部:透明熱処理ガラス カラー:ペイントカラー・ワイルドオーク柄 引手:C1型サテンシルバー色

リビングの吹き抜けからは四季折々で表情を変える山と空を流れる雲が見える。

kicoさん「自然豊かな場所なので、せっかくなら外とつながる暮らしをしたいなと思ったんです。わんちゃんを庭で思う存分走らせたり、リビングのソファで寝ころびながら吹き抜けのガラス戸から空を眺めたり、片流れ屋根の低いところの軒下で干し柿や干物をつるしたり。田舎ならではの季節に沿った暮らしを楽しんでいます」

無垢材に溶け込む
ワイルドオーク柄のドア

もともと古道具と植物が好きだというkicoさん。古いものとグリーンが馴染むように、木をふんだんに使うことは決めていた。その過程で出会ったのがVERITIS(ベリティス)だった。

kicoさん「建材に詳しい夫が、私が好きそうなドアがあるよとベリティスのCraftLabel(クラフトレーベル)を教えてくれたんです。

夫の予想通り、古道具のような味のあるデザインと本物の木のようなワイルドオーク柄に惚れました。これだけは譲れないと、シンプルなStandardLabel(スタンダードレーベル)も混ぜて、ドアはすべてベリティスにしました」

リビングの入り口、土間とシューズクローゼットをつなぐドア、階段を上ってすぐ見えるウォークインクローゼットの扉はガラス戸があるクラフトレーベルのLE型に。寝室と子ども部屋3つはシンプルなスタンダードレーベルPA型に。どれも色味はワイルドオーク柄を選んだ。

kicoさん「見せたいドアはガラス戸で、真鍮色の取っ手にしました。見た目のかわいさ優先で丸い取っ手を選んだけど使いやすいです。

寝室や子ども部屋はプライバシー保護のため採光部のないものを選びました。床はナラ材、天井はパイン材、どちらも無垢素材を取り入れているんですが、ワイルドオーク柄はとても馴染みが良くて、値段も無垢材よりやさしい。見た目だけじゃなくて、汚れが目立たず掃除がしやすい使い勝手も含め、とても気に入っています」

(リビング)ドア:ベリティス クラフトレーベルLE型 採光部:透明熱処理ガラス カラー:ペイントカラー・ワイルドオーク柄 ハンドル:B1型真鍮色
リビングと同じ色柄、デザインのドアの採光部にステッカーを貼ったり、ガラス部分にポスカで文字を描いたり変化を楽しんでいる。
(寝室)ドア:ベリティス スタンダードレーベルPA型 カラー:ペイントカラー・ワイルドオーク柄 ハンドル:A1型オフブラック色

ほかにもトイレはクラフトレーベルMG型のネイビーオーク柄に、洗面室やパントリーの入り口はスタンダードレーベルDB型のしっくいホワイト柄を取り入れた。

kicoさん「アクセントにネイビーオーク柄を、白い壁に馴染ませたい扉はしっくいホワイト柄にしました。デザインや色柄を混ぜ合わせることでごちゃついた印象になってしまうかなと懸念していたんですが、どの扉もしっくりきていて、いい選択をしたと思っています」

(2階トイレ)ドア:ベリティス クラフトレーベルMG型 採光部:チェッカーアクリル カラー:ペイントカラー・ネイビーオーク柄 ハンドル:A1型オフブラック色
自分たちの手で
暮らしをつくっていく豊かさ

DIYが趣味だというkicoさん。キッチンの背面やウォークインクローゼットの中の壁は石灰にペンキを混ぜて自ら塗った。

kicoさん「ほかにもキッチンのタイルを自分たちで貼ったり、DIYは結構していますね。よく見ると凸凹しているんですが、自分たちの手で暮らしをつくっていく感じが楽しいんですよね。

食べ物一つとっても木祖村で生まれ育った夫は、春は山菜狩り、夏はいわななど川魚を釣って、秋はきのこを山からとってくるんですよ。愛知から木祖村に来た当初は、スーパーに買い物に行くのも一時間以上かかるし、不便さもありましたが、なければ自分たちでつくる姿勢に馴染んできたのかもしれません(笑)」

kicoさんはドライフラワーやプラントハンガーなどの雑貨も手づくりしている。

kicoさん「古いものやサビがある工場っぽいものに惹かれるんです。ドライフラワーにしたり、額縁をつくったり。人が捨てるようなものをリメイクして雑貨として使っています」

最後にこれからやっていきたいことを訊ねてみた。

kicoさん「ワイルドオーク柄のドアに色を塗ってみたいです。グレーを重ねてアンティークのような雰囲気にしたいなって。でもそのままのワイルドオーク柄も好きなので、もう少しこの色味を楽しみつつ、いつか好きな色を塗りたいなと思っています」

木々が豊かに生い茂る空気が澄んだ土地と地続きにあるkicoさんの暮らし。ワイルドな木や清々しい緑があふれる家の中には、おおらかな雰囲気が漂っている。そしてそこには、自然の不均等性を表現したワイルドオーク柄のドアが佇む。家に散りばめられたドアは、いつか色を重ねる日が来ても、四季と共に、kicoさんの暮らしを彩っていくのだろう。

kicoさん

古道具とインダストリアルが好きな主婦。夫婦と3人の子どもと愛犬と田舎暮らし。2020年に好きをいっぱいつめ込んだ注文住宅が完成。DIYやモノづくりをしながら日々楽しく暮らしています。

設計・施工:木曽土建工業株式会社

*記事内でご紹介した商品は、2024年1月9日時点の仕様となっております。
ご検討の際は、ショウルームやカタログ等でご確認ください。