( interview )
北海道に建つ白い一軒家。扉を開けると、限りなく真っ白に近い空間が広がる。
ここは、2021年の夏から、sayaさんがパートナーと2人の子どもと暮らす家。
すっきりと片付いた余白のある空間はどのようにして生まれたのか。家づくりの過程を語ってもらった。
北海道で生まれ育ち、結婚し子どもが生まれたタイミングで自然と家を建てることを考え始めたというsayaさん。
sayaさん「オープンハウスにも足を運んだんですが、最終的には家族につながりがあった工務店に設計から施工までをお願いすることにしました。それから車で街を巡って、職場に近い土地を購入しました」
sayaさんの家づくりは、1冊のノートから始まった。
sayaさん「家を建てることが決まってから、InstagramやPinterestで画像を検索して、お気に入りの写真を印刷して、1冊のノートに貼っていきました。外観はこうしたい、キッチンはこうしたいというコメントを添えて。そのノートには理想の間取りも書き込んでいましたね」
理想を詰め込んだノートは、工務店の手に渡り、そのまま家づくりの地図となった。
sayaさん「ノートに書いていた間取りの希望は大きく2つありました。1つは寝室や水回りを含む暮らしの導線を1階にまとめること。老後に階段の上り下りをするのは大変だと思うので、1階で生活が完結するようにしたかったんです。もう1つは、リビングから階段が見えないようにすること。階段の存在感をなくしたかったんですね」

実際の間取りは、1階にリビングと寝室、子どもが遊べる和室に水回り、洗面室に連なるウォークインクローゼットがあり、2階に小さなホールと子ども部屋が2つある4LDK。吹き抜けのある開放的なリビングから、テレビがかかる壁に隠れて階段は見えない。

sayaさん「ノートで伝えた理想がほとんど反映されていたので、工務店さんからの1回目の提案で間取りはすんなり決まりました。まだ子どもが幼く部屋を必要としていないので、今も1階で生活が完結していて、誰も2階に行きません(笑)。老後を見据えた間取りでしたが、子育て中の今も暮らしやすいです」
しっくいホワイト柄
ノートに記していたのは暮らしの導線が中心で、意外にもデザインには触れていなかったと振り返る。潔いほど白い空間はどうやって生まれたのか。
sayaさん「間取りが決まって、具体的な建材を選ぶ段階で、直感的に白だ!と思ったんです。すっきりした余白のある暮らしをしたかったので、ホワイトの中でもアイボリーではなく真っ白がいいだろうと。壁紙は自分でサンプルを取り寄せて気に入った白を選び、ドアも白にすると決めていました」
「真っ白いドア」として出会ったのが、VERITIS(ベリティス)のしっくいホワイト柄だった。
sayaさん「工務店の標準がベリティスだったんです。しっくいホワイト柄のサンプルを見たとき、これはまさに私の好きな白だ!と思い、即決でした。一瞬で決めたので工務店さんが驚いていたくらい(笑)。うちのドアはすべてベリティスのしっくいホワイト柄です」
デザインは、リビングと寝室をつなぐドアのみStandard Label(スタンダードレーベル)LB型のハイドアに。それ以外のトイレ、子ども部屋、洗面脱衣所、ウォークインクローゼットの扉はすべてシンプルなPA型を選んだ。

ドア:ベリティス スタンダードレーベルLB型 採光部:半透明樹脂板 カラー:ナチュラルカラー・しっくいホワイト柄 ハンドル:A1型サテンシルバー色sayaさん「よく目に入るリビングに通じるドアは、デザイン性のあるものにしたいなと思ったんです。吹き抜けと相まって開放感が出るかなと1つだけ高さのあるハイドアにしたんですが、今思えば全部をハイドアにすればよかった。ハイドアにするだけで海外っぽい雰囲気になるし、広さを感じられるので」
4ヶ所ある収納扉もすべてベリティスのしっくいホワイト柄で統一。こだわりは、取っ手レスタイプ(PH型)にしたこと。
収納用建具:ベリティス PH型(引手レスタイプ) カラー:ナチュラルカラー・しっくいホワイト柄
洗面脱衣所ドア(中央):ベリティス スタンダードレーベルPA型 カラー:ナチュラルカラー・しっくいホワイト柄 引手:C1型 サテンシルバー色sayaさん「見た目をすっきりさせたくて、取っ手をつけたくなかったんです。ベリティスにその選択肢があったので、これにしたい!と工務店さんに伝えました。扉が壁にすっきり納まっているし、取っ手がなくてもしっかり開いて使いやすいです」
ウォッシュドオーク
キッチンも白を選び、背面にあるカップボードのみ差し色としてグレージュを選定。

床は木目に白い塗料を擦り込んだパナソニックのウォッシュドオーク柄を選んだ。
床:ベリティスフロアーS ウォッシュドオーク柄sayaさん「バランスが難しいんですが、真っ白を基調に、差し色としてグレージュと木目を入れることにしました。床は、パナソニックの白っぽい風合いのある木目のウォッシュドオーク柄なら、真っ白い空間にも馴染むだろうと思い選びました」
清潔感のある真っ白と、温かみのある淡いグレージュと木目。家具や雑貨を選ぶときもこの3色を基準にしている。
sayaさん「自分の好みであるクロス、ドア、床に合うものを選んでいくと、その3色に絞られるんですよね。色味が限られるから、家具や雑貨も選びやすいです」
すっきり片付いた、美術館のような静けさがある白い空間で、0歳のお子さんを抱くsayaさん。この家に越して来て、暮らしにどんな変化があったのか。
sayaさん「白い空間にしたことで、汚れや散らかりが目立つので、部屋をきれいに保てるようになりました。もともとものは少ない方で掃除も嫌いじゃないんですが、さらに断捨離をして常に片付けをするように。色味のあるものは外に出さないと決めて、遊ぶ子どものあとを追いながら使わないものはしまっています(笑)」
これからやっていきたいことは?と問うと「やりきったので、特にないかな」と答えつつ、少し考えて「吹き抜けの腰壁に本棚のニッチがある小さなホールをくつろげる場所にしたい」と話す。ニッチには、フィンランドにまつわる本が並べられている。

sayaさん「小学生の頃に映画『かもめ食堂』を観て以来ずっと、フィンランドが好きなんです。新婚旅行もフィンランドに行って、夫婦でいつか住みたいねとぼんやり話しています。厳しい冬の寒さの中にありながらも、自然とともにシンプルな日常を過ごす。そんなフィンランドの暮らしに憧れているんです」
雪国に佇む家のなか、必要最低限の家具を置き、ものを外に出さず、ミニマルですっきりしたsayaさんの暮らしは、フィンランドにどこか通じているような気がした。

清々しい白に温かみのある木目とグレージュが交わり、静けさとぬくもりが共存する空間。しっくいホワイト柄のドアをはじめ、とことん「白」を重ねた選択は、暮らしに余白を生んでいる。すっきり片付いた部屋で、シンプルな日常を過ごす。sayaさんはこの場所で、理想の暮らしを育んでいく。
38坪の家で共働き夫婦と3歳と0歳の子供の4人暮らし。シンプルなインテリアが好き。物は必要以上に持たず、お気に入りのものだけに囲まれた暮らしを目標に空間づくりをしています。
*記事内でご紹介した商品は、2023年12月15日時点の仕様となっております。
ご検討の際は、ショウルームやカタログ等でご確認ください。










