( ドアで魅せる家づくりのヒント集 )

( ドアで魅せる家づくりのヒント集 )VERITIS MAGAZINE

( interview )

暮らしを変えたブルックリンスタイル

2023.12.01

text
徳 瑠里香
photography
阿部 駿

暮らしを変えた
ブルックリンスタイル

noboさん

愛知・名古屋で妻と子どもとチワワと暮らすnoboさん。2017年に新築戸建住宅を建てて以来、インテリアを中心に家づくりを続け、その過程をInstagramで発信している。目指すのは、いつどこで何をしていても、自分と家族が楽しめる家にすること。

どんなスタンスで家づくりに臨んだのか。ドアを含む建材やインテリアはどう選んでいったのか。家づくりの軌跡を語ってもらった。

noboさん
信頼できるプロに任せる

子どものものが増えて引っ越しを考えた際に、ぼんやりと浮かんできた“家を建てる”という選択。とはいえ、何から動いていいのかわからなかったとnoboさんは家づくりの過程を振り返る。

noboさん「妻と“家を建てたいね”と話してはいたけど、当時はインテリアよりもプラモデルに夢中で、家づくりに対する興味も知識もなかったんです。

建売でいいやと思っていたんですけど、家を探し始めたら、僕はおしゃれな家に住みたい、妻はこのエリアに住みたいというこだわりがあることに気づいて。ふたりの願いが叶うのは注文住宅しかないね、と動き始めました」

インターネットで情報を集め、全国でデザイン住宅を多数手がける「フリーダムアーキテクツ」に土地探しから設計施工までを依頼することにした。

noboさん「自分が望むようなおしゃれな家は予算が足りないと思っていました。なので、自分たちであれこれ調べて細かい要望を伝えるのはやめて、家づくりのプロに予算内でできることを提案してもらうのがいいだろうと。僕は吹き抜けがほしい、妻は中庭がほしい。この2つの大きな要望を伝えて、基本はプロにお任せすることにしました」

信頼できるプロに頼る──そのスタンスが自分たちの想像を超える家づくりにつながり、暮らしの楽しみ方も広がった。

noboさん「例えばInstagramで好みの家を見つけて、真似ようとしてみても“自分の家”にはならないと思うんです。僕らは自分たちが思ってもみなかったプロの提案を受け入れたことで、暮らしが豊かになった。その感動を家づくりをする人に知ってほしくて、家が建ってからInstagramで発信を始めて、それでも足りず住宅営業に転職したほどです」

余白が生む、
想定外の暮らしの楽しみ方

家づくりのはじめに間取りにおいて伝えた要望は、吹き抜けと中庭と必要最低限の個室があること。設計士からあがってきたアイデアには“想定外”の遊び心があった。

noboさん「延床面積30坪ほどの家なので、中庭も坪庭くらいの小さなものを勝手に想定していたんですが、6畳ほどのスペースがあってびっくりしました。おかげで中庭で焚き火料理をするなど想定外の活用ができています。

ほかにも2階の個室の前の廊下を広く取ったフリースペースがあるんですが、そこに椅子を置いて、ピクチャーウインドウから桜を眺めることもできるんですよ。その場所は吹き抜けと連なっているので、リビングに魚の人形を撒いて、上から釣り竿で魚釣り体験を楽しんだこともあります(笑)」

設計士への要望に余白を残したことで、暮らし方の幅が広がった。設計士からの提案は空間デザインも、当時のnoboさんの好みとは異なるものだった。

noboさん「僕がやりたいと思っていたのは、シックでハイソサエティなホテルライクの雰囲気だったんですよ。一応その要望も伝えていたので、提案されたデザインがあまりにもかけ離れていて最初は怒りました(笑)

でも、イメージに近いブルックリンのカフェの画像を見せてもらったときにこれだとビビッときて。ホテルライクだと高級感のある家具も揃えていかないといけない。カジュアルなブルックリンスタイルのほうが僕らの暮らしにフィットするだろうと、これしかないと思うようになりました」

主張せずに溶け込む、
ホワイトオーク柄のドア

間取りとデザインの方向性が決まり、建材はすべて設計士に提案してもらった。その中の選択肢にあったのがVERITIS Standard Label(ベリティス スタンダードレーベル)のPA型、しっくいホワイト柄だった。

noboさん「飽きが来ないよう、家全体の色味を白と黒と明るいウッドに絞ることを決めて。そのうえでドアはあえて存在感のない、主張し過ぎないものにしようと。いくつかサンプルを見せてもらった中で、色味と肌触りだけを見て選んだのがべリティスでした。ホワイトでも艶消しがあって、品のある質感で、清潔感もある。設計士のセンスに任せてよかったと思います」

ドア:ベリティス スタンダードレーベルPA型 カラー:しっくいホワイト柄 引手:オフブラック色

1階のリビングの入り口、キッチン後ろの収納扉、トイレや脱衣所は引き戸、2階の個室は開戸で、すべて同じデザインと色柄で統一した。

noboさん「シンプルでミニマルなデザインと色味なので、空間に溶け込んでいて長く愛用できるドアだと気に入っています。ただ最近はリビングのドアだけをリノベをするものありだなとは考えていて。ブラックオーク柄のガラス戸にしたら、空間に広がりをもたせることもできるかなと。いつかやってみたいです」

どこで何をしていても、
憧れが叶う家

プロに身を任せながら、当時の自分の納得がいく家づくりができたことで、noboさん自身にも変化があった。

noboさん「とにかくこの家に合うインテリアを探ることにのめり込み、暮らし自体を楽しむようになりました。最初は知識も経験もなく何を基準にものを選んでいいかわからなかったので、家をベースに黒、白、ウッドのものに絞ることから始めて、質感とか色味とかだんだん馴染むものがわかってきた。

選んで置いて使って、しっくり来るかどうかをたしかめる。買っては試すを5年間繰り返して、今の自分たちの家のスタイルが出来上がってきた感じです」

“自分たちの家をつくる”喜びと暮らしの豊かさを、noboさんはInstagramで、そして住宅営業の仕事を通じて伝え続けている。

noboさん「僕が家に求めるものは、仕事から帰ってきてご飯を食べて寝るための生活導線のスムーズさよりも、家のどこで何をしていても楽しい、憧れの暮らしが叶うこと。

例えばごはんを食べているだけでカフェやバーにいるような気分になるとか。共働きで妻とはなかなか休みが合わないんですけど、わざわざ出かけなくても、特別なイベントを企画しなくても、家の日常の中で家族の時間を楽しむことができています。

“後悔しない家づくりをしたい”とよく聞きますが、建った段階で“完璧な家”はなくて、その家でどう暮らしていくかが重要だと思うんです。プロに任せることも含め、家を建てた当時の自分にできることは全部したし、家が建つことはスタートライン。これからも自分や家族の変化を受け入れながら、インテリアと暮らしを思う存分楽しみます」

設計のプロのアイデアを柔軟に受け入れ、自分たちの想像を超える家を建てたnoboさん。そこをスタートラインに、インテリアで自分と家族が満たされる空間をつくり、暮らしをとことん楽しんでいる。家はただ生活をするだけでなく、趣味にもエンターテイメントにもなりうる。noboさんの家との向き合い方にそんな希望を感じた。

noboさん

妻と娘とチワワの武蔵で30坪の家に暮らしています。「何気ない家族の時間を特別にする暮らし」を想像して建てた家ですから、Instagramでもそのテーマを意識した発信をしています。

設計・施工:フリーダムアーキテクツ