( ドアで魅せる家づくりのヒント集 )

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( interview )

フレンチヘリンボーンが導く“映え”と“抜け感”

2023.06.15

text
徳 瑠里香
photography
Ryo Ito

フレンチヘリンボーンが導く
“映え”と“抜け感”

ファミティホーム

大阪の“ベッドタウン”とも呼ばれる藤井寺市を中心とした南大阪で、土地の買い付けから住宅設計、販売、リフォームまで一貫して手がける総合不動産「Famity Home(ファミティホーム)」。

大阪市内の近郊街である八尾市に、新たにモデルハウスを建てた。フレンチヘリンボーンの床が目を引く空間は、どのような視点で設計されたのか。

設計を担当した、ファミティホームの設計企画・佃 雅之さんに話を聞いた。

構造から
「家族の安心」を支える

──最初に、ファミティホームならではの強み、特徴を教えていただけますか。

佃: 私たちが一番力を入れているのが「構造」で、地震に備えて「耐震」と「制振」を取り入れています。耐震を満たすだけでは、一定量の力が加わった段階で脆くなってしまうため、揺れを抑える「制振」を組み合わせて家を守る。加えて、耐久性を維持するために、湿気や害虫に強い基礎をつくり、高い換気・断熱性を担保し、国が定める「長期優良住宅認定基準」も満たしています。

これらの要素を掛け合わせたファミティホーム独自の「FWP-ES工法」を標準仕様としていることが、一番の強みかつ特徴だと思っています。しっかりした構造にすることで、「家族が安心して暮らせる」家づくりを目指しています。

──構造から家族の安心を支えているのですね!南大阪を中心に地域密着型で展開していると思うのですが、その点もファミティホームが選ばれる理由になりますか?

佃: そうですね。創業から50周年を迎えましたが、羽曳野市、藤井寺市、富田林市、堺市、河内長野市、八尾市といった南大阪地域の、オフィスから車で30分ほどで移動できる場所で住宅を販売しています。それぞれのエリアの特徴を踏まえた設計ができますし、住まわれてから困りごとがあった際はすぐに駆けつけることができる。世代を超えて住み継ぐ際のリフォームまで、お客さまと長いお付き合いをさせていただいています。

モデルハウスをベースに、
自由設計の「売建」を展開

──家づくりをする際の流れ、お施主さまとのやりとりについても教えていただけますか?

佃: 新築分譲住宅は、建てた物件を販売する「建売」が多いと思うのですが、我々は売ってから建てる「売建」が基本です。自由設計をベースに、お客さまと設計士が直接大体3〜4回ほど打ち合わせをして、間取りやデザインを決めていきます。

設計士としては「どういう暮らしをしたいか」をヒアリングして、ご希望を叶えることはもちろん、プラスαの新しい提案をすることを心がけています。

──自由設計だと、間取りから、床や建具、壁を一つ一つ選んでいくのは、楽しくもなかなか大変そうです。

佃: そうですよね。なので、間取りやインテリアをイメージしていただきやすいように、それぞれの地域にモデルハウスをつくっています。モデルハウスに足を運んでインテリアが気に入った方に選んでいただけるケースも多いので、モデルハウスで使っていたあの床がいい、あれを採用したい、とお伝えいただくこともよくあります。

あとは、Instagramで見つけた画像から「こんな雰囲気がいい」とお伝えいただくこともありますし、暮らしの理想像をもとに、こちらから提案させていただくこともありますね。

地域に溶け込む、
暮らしの「充実」が叶う家

──まさに今回、八尾市という地域に新しくモデルハウスを建てられました。どんな暮らしのイメージ、コンセプトで設計をされたのでしょう?

佃: そもそも、ファミティホームの「Famity」は「Family+City」を掛け合わせた造語なんですが、家族の家づくりは、都市(街)づくりにも通じると思っています。なので、その地域にこれから建てる家がどう溶け込んでいくのか、街ありき、土地ありきで考えます。

今回はモデルハウスを含め、全6棟が並んで建つ予定なので、外観は「一体感のある街並み」を意識しました。緑豊かな地域なので、外観は白と黒をベースにし、屋根の傾斜の向きも統一しています。

間取りや中身は、“暮らしにまつわる「充実」を詰め込むこと”をコンセプトに設計しています。

──暮らしにまつわる「充実」は、具体的にこの家のどんなところで叶うのでしょう?

佃: 特徴的なのは、間取りは3LDKなんですが、1階のLDK横に1.5畳ほどのファミリークローゼットを設置していること。夫婦と子ども2人の家族4人を想定していますが、子どものランドセルや上着などは散らかりやすいですよね。毎日の着替えなどもすぐにしまえるスペースがあれば、LDKを綺麗に保てるんじゃないかと思うんです。

ほかにもリビングの奥側に吹き抜けを確保して自然光を取り入れたり、洗面室脱衣所に洗面台とは別にスキンケアやメイクがゆっくりできるようなパウダールームを設けたり。キッチンから見える位置にお子さんが勉強したりワークスペースにもなる造作カウンターをつくるなど、家族の暮らしが「充実」するような工夫を散りばめています。

イデアオーク柄のドアで
「塩系インテリア」を表現

──インテリアで目を引くのは、なんと言っても、フレンチヘリンボーンの床ですよね!

佃: パナソニックさんの商品はよく使わせてもらっているのですが、カタログで見て、いつかこのフレンチヘリンボーンの床(アーキスペックフロアーW パーケット)を使ってみたいと思っていたんです。やっとそのチャンスが来た(笑)。家全体のデザインは、この床が起点になっています。

フレンチヘリンボーンの床は、少しカジュアル感がある。色柄が印象的なので、建具や床、他の要素がごちゃつかないように「塩系インテリア」でまとめていくことにしました。

──塩系インテリア!?初めて聞きました。「塩対応」とかの「塩」ですか!?

佃: 色素が薄い淡めのカラーリングで、飾り気のない無骨感がある「あっさり」したインテリアを「塩系インテリア」と呼ぶようで。これだな!と。ドアはすべてベリティスのイデアオーク柄を採用し、壁も基本は白、アクセントクロスもグレーにし、家具もアイアンなどで無骨感のあるものをレイアウトしました。

──おもしろい!周りがシンプルですっきりしているからこそ、フレンチヘリンボーンの床がいい具合のアクセントになって活きていますね。イデアオーク柄で統一したドアのデザインをリビングだけ変えたのはどうしてですか?

佃: 玄関からリビングにつながるドアは、LDKの端ではなく真ん中に位置するところに置いています。家族で過ごす場所の起点となるドアなので、リビングだけ意匠的にデザイン性のあるベリティス スタンダードレーベルのLB型を採用しました。ほかはすべてシンプルなPA型にしています。

──ベリティスのフレンチヘリンボーンの床とイデアーク柄のドアを採用してみて、モデルハウス完成の手応えはどうですか?

佃: 今回初めて挑戦したスタイルでしたが、おかげで「塩系インテリア」に多少近づけたかなと思います。フレンチヘリンボーンの床は、ほかの住宅にはなかなかない、このモデルハウスの一番の特徴でもある。サンプルを見ただけでは少し勇気がいるかもしれないけど、モデルハウスで気に入ってくれたら取り入れやすいんじゃないかと思います。

これからお客さまの自由設計によって将来的に5棟が建つ予定ですが、バリエーションが豊富なベリティスは、お客さまのそれぞれの暮らしの願いを叶えることもできると思います。ベリティスを活用しながら、外観は統一感をもって街に溶け込みながらも、中身はそれぞれの家族の個性が出る、そんな住宅づくりをしていきます。

遊び心があり印象深いフレンチヘリンボーンの床に、淡い色味のイデアオーク柄のドアで表現する「塩系インテリア」が引き算となって、絶妙なバランスを保つ。地域に根付いて50年、「家族の安心」を支えるファミティホーム。これから設計していくモデルハウス以外の自由設計の家をはじめ、住まう家族それぞれの暮らしに沿った豊かな表情を彩っていくのだろう。

ファミティホーム株式会社