( ドアで魅せる家づくりのヒント集 )

( ドアで魅せる家づくりのヒント集 )VERITIS MAGAZINE

( interview )

自宅をモデルハウスに 両開き扉が魅せる自然派スタイル

2023.03.15

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徳 瑠里香
photography
きるけ。

自宅をモデルハウスに 両開き扉が魅せる自然派スタイル

あおぞら不動産

30歳にして2棟目のマイホームを建てた河浪宇宙さん。長崎を拠点に、同世代の若者でも手が出せる良心価格で、デザインと性能にも満足できるバランスのいい家づくりを行う「あおぞら不動産」の設計・工務を担う。

自宅をモデルハウスのようにして、SNSで発信し、使い勝手も含め自分が本当に好きなものを身をもって提案する。あおぞら不動産のスタンスから、2棟目の物件のこだわり、VERITIS(ベリティス)のドアの活かし方まで。河浪さんに自宅で語ってもらった。

価格、デザイン、性能。
バランスいい家づくりを

──はじめに、あおぞら不動産の家づくりのこだわりを教えていただけますか。

河浪: 僕が今30歳なんですけど、同じくらいの世代の若者でも購入できる価格帯で、かわいくて高性能な家づくりをモットーにしています。具体的に言えば、価格帯は決して安くはないんですが、世帯年収400〜500万円で買えるくらい。高性能への一番のこだわりは耐震性ですね。地震が多い日本で「我が家が一番安心」と思ってもらいたいので、耐震等級3級の認定を取っています。夏は涼しく冬は暖かく、快適に過ごしてもらえるよう高断熱・高気密であることも、コストとの兼ね合いを考えながら大事にしています。

お金に余裕があればいいですが、家にかける分を旅行や趣味、子どもの習い事などに回した方が幸福度が上がるかもしれない。そうしたそれぞれのライフプランや価値観に寄り添って、価格と性能のバランスがいい家をつくっていきたいですね。

──良心的な価格帯で、デザイン性と高性能を担保する。それができるのはどうしてでしょう?

河浪: 家を建てるときって、決めることがたくさんあってその選択肢も膨大にあるんですが、すべてにこだわるとその分価格は高くなってしまう。なのでこだわりすぎないのがこだわりと言いますか、グレードを上げすぎずお客さんが満足するラインとコストのちょうどいい塩梅を常に探っています。打ち合わせのコストが価格に大きく直結するので、打ち合わせ回数を制限しても良い家が建つような工夫を凝らしています。

あとは、あおぞら不動産は家族経営の3名の小さな不動産屋兼工務店で、SNS発信に力を入れているので広告費もほぼゼロですし、人件費も少ないです。人件費が少ないということは良し悪しありますが、それが良い方向に提供価格に影響しているかと思います。

──なるほど。YouTubeInstagramブログなどSNSで等身大の目線で発信もされていて、親近感と信頼が湧きます。発信する際に意識していることはありますか?

河浪: 自分が好きなことを発信することですかね。やっぱり熱量がないと伝わらないと思うので。もとを辿ると、現場で家づくりをする際にも、自分が使って本当にいいと思うものを熱量を持ってお客さんに提案してかたちにしています。だからこそそのままの熱量で発信ができるんだと思います。

月に一棟のペースで、ゆとりある棟数の工事しかしないので、その分息が合うといいますか、発信を見て僕らがつくる家が好きだと思ってくれた方とご一緒することも大事にしていて。もともと知っている友だちのような感覚で話が弾むし、対等な目線で一緒に家づくりができるので、すごく楽しいんです。

──好きが循環して、どちらにとっても気持ちがいい関係性が築けますね。

ドアありきで始まった
自宅設計

──今回の2棟目のご自宅のコンセプトやこだわりついても聞かせてください。そもそも1棟目に3年ほど住んで、リノベではなく新築で2棟目を建て替えるに至ったのは……?

河浪: 1棟目を建てたのは2017年、26歳の頃でした。割と一般的な二階建ての木造住宅だったんですが、年収も少し上がったので、平家かつ高断熱高気密の家に住んでみたいと思ったんです。僕が飽き性という側面もありますが、この仕事をしているので、実際に自分が体験してお客さんに提案できるよう、経験値を積みたかったことも大きいです。

──2棟目は、平家で高断熱高気密。暮らし心地はどうですか?

河浪: 27坪ほどの平家なんですが、幼い子どもがいて階段の昇り降りがないので暮らしやすいです。北海道でも暮らせる高断熱高気密仕様で、時期にもよりますが6畳用エアコンか、14畳用エアコン一つで全館冷暖房ができるのも快適です。リビングはあったかいけど廊下が寒いってこともない。初期費用はかかりますが、長い目で光熱費や医療費が節約できるかと。ただ長崎ではちょっとやりすぎたかな。ここまで断熱・気密はしなくていいなと、コスト面とのちょうどいい塩梅がわかってきました。

──実際に住んでいるからこその説得力がありますね。デザイン面でのこだわりはどうでしょう。

河浪: デザイン面は、できる限り自然素材を取り入れたカフェのような心地よさがコンセプトです。床は無垢のオーク材、壁は漆喰で仕上げています。水道の蛇口などに真鍮を取り入れて、経年変化による味わいを楽しめるようにしています。

あと、こだわりはドアですね。僕の中でドアはデザインの大きな決め手となっていて、このドアをここに持ってきたらどうなるんだろう、どう映えるんだろうと考えます。ドアは間違いなくインテリアです。

今回はリビングにVERITIS Craft Label(ベリティスクラフトレーベル)の両開きのドアを入れたいがために、間取りも若干変更しました。ドアを開いたときにテレビと被らないように玄関を広く取った。以前パナソニックさんのカタログで見てかっこいいなあと憧れて、今回どうしてもこのドアを取り入れたかったんです。

実はファミリークローゼットもクラフトレーベル ネイビーオーク柄の両開き引き戸を採用したいがためにつくったようなものです。あまり真似してほしくはないんですが、ドアありきの設計ですね(笑)。

好きな色味を自分で重ねた、
塗れるドア

──リビングのLH型(透明熱処理ガラス)ブラックオーク柄の両開きドアは、この家におけるシンボリックな存在ですね。

河浪: すごく気に入っています。リビングが建物の真ん中に位置しており、南側の大きな窓が頼りの一面採光なんですが、両開きドアにガラス面があることでリビングからだけでなく、玄関からも光を取り込むことができる。採光面が低いデザインのこなれてる感じも好きです。幼い子どもが帰ってきたときに、ガラス越しにちらっと顔が見えるのも可愛いし、安心感があるんですよ。

何よりこのブラックオーク柄が好きですね。僕は自然素材が好きで、正直既製品の“木目調”はあまり好まないんですが、ベリティスの質感はなんだか許せちゃう。パナソニックさんの耐久性には信頼を置いているので、10年後もこのままの姿でいてくれることが想像できる。ブラックオーク柄は光が当たると艶も出て、いい色だなあとしみじみ思います。

──リビング以外にも、色味とかたちが違うドアがたくさんありますね。

河浪: うちはベリティス クラフトレーベルが標準仕様です(笑)。玄関からつながる書斎のドアは、ワイルドオーク柄(塗装対応)。リビングから廊下につながるドアは、自分でワイルドオーク柄にマットなブラックのペイントを塗りました。洗面室とトイレと洋室のドアも、ワイルドオーク柄にクリームっぽいベージュのペイントを重ねています。全部で5枚のドアを妻と自分で塗りました。カタログを見てたら自分で塗りたくなっちゃって。

──すごい!塗ってみてどうでした?

河浪: 数が多いので結構大変でした(笑)。ローラーで塗ってから框(かまち)の部分は刷毛で塗って、乾かしてから二度塗りしたので。自分はDIYに慣れていますが、妻はDIY初心者。そんな妻でも塗装は簡単にそれなりのクオリティで仕上げることができ、丁度良いDIYとなりました。飽きたらまた上から色を重ねて替えることもできるので、飽き性の僕にはありがたいです。気が向いたら書斎のドアも塗る予定です。

自然素材やヴィンテージにも馴染む
クラフトレーベル推し

──実際に住んでみて、ドアの使い心地はどうですか?

河浪: とにかく傷つきにくい!1棟目で使っていたドアは新築のときはかっこよかったんだけど、幼い子どもがいるので傷ついてしまってからはちょっとテンションが落ちてしまって。でもベリティスのドアは耐久性に優れているので、まったく傷がつかないし汚れも落ちやすい。

最近1950年代のイギリスのキャビネットを購入したんですが、ドアとの相性がいいんですよ。ヴィンテージ家具にも違和感なく馴染む、クラフトレーベルだからこそだと思います。

僕はお金が許すなら、できれば全部自然素材やヴィンテージものにしたいんです。でもそういったものは値が張るし、手入れも必要で、子どもに傷つけてほしくないから、今は揃えるのが難しい。その点ベリティスのクラフトレーベルは、自然素材やヴィンテージ家具との相性もよく、コストが抑えられて手入れもしやすく傷がつきにくい。僕にとってはちょうどいい価格で理想を叶えてくれる重要な建材です。

──熱量高く推していただいて……

河浪: 自分が本当にいいと思うからこそ、自宅に取り入れてお客さんにもおすすめしていますから。今回ドアノブはすべて真鍮色のものを選んだんですが、欲を言えば、選択肢の中に経年変化する真鍮があったら嬉しいです。もちろん高くていいので。

──最後に、今後の家づくりでこうしたい!といったことがあれば教えてください。

河浪: 実はすでに3棟目の構想があるんです(笑)。次はドアの色味を統一したいですね。ベリティスのクラフトレーベルのデザインで、ブラックオーク柄か、最近はしっくいホワイト柄も気になっています。そこに真鍮のドアノブをつけたら、ホームアローンのような海外の家っぽくなっていいんですよ。自分ができなくても、お客さんには推していきたいです。

設計・工務担当としての現場での経験と、1棟目を建てて暮らした生活者の視点が反映された河浪さんの2棟目のマイホーム。価格、デザイン、性能の“ちょうどいいバランス”を重視した河浪さんの家づくりは、ベリティスのスタンスにも通じているように思う。リビングのブラックオーク柄の両開きのドア(LH型)をはじめ、存在感を放って空間を飾るドアはまさにインテリア。ドアの可能性を改めて知った。