( interview )
兵庫県にある新築一軒家、本橋邸。濃淡豊かな木目が味わい深いウォールナットとシンプルなモノトーンを組み合わせた落ち着きのある空間には、家族のこだわりが詰まっている。
「ほとんどイメージ通りで、全部気に入っています」
満面の笑みで目を合わせ、そう語る本橋さん夫妻。自分たちの理想をゼロからどうかたちにしていったのか。その足跡を辿る。
工務店は、信頼関係を重視
持ち家を考えた際、戸建にするか、マンションにするか──どちらにもメリット・デメリットがあり、選択はなかなか難しいもの。本橋家でも当初、夫婦で意見が割れたそう。
成哲さん「戸建で生まれ育った僕は戸建を、マンションで暮らしてきた妻はマンションを推していたので、それぞれの魅力をプレゼンして。決めきれなかったので土地とマンションを並行で探して、譲れるものと譲れないものをすり合わせていきました。土地とマンションを含む5つくらいに候補を絞った中で、最終的に選んだのがこの土地だったんです」
友里さん「私がマンションに求めていたのは駅近であること、あとは風通しと光が入ること。この土地であれば、線路沿いで駅に近く、窓から光と風を取り込めるので戸建でもいいな、と納得できました」
自分たちで土地を見つけ、一軒家を建てることが決まってすぐに、本橋さんが仕事をきっかけにつながり、家族でプライベートでも親交がある兵庫県姫路市の工務店・株式会社彩路に相談をした。
成哲さん「家づくりをお願いするなら彩路さん一択でした。社長さんと日頃お付き合いがあって、信頼の置ける方なので。家づくりは初めてのことで、見落としたりうまい話に乗ってしまったりすることがあるかもしれない。だからこそ信頼できるプロからの正直な意見がほしい。他社と実績を比較することもなく、信頼関係を重視して決めました」
妻が一目惚れしたキッチン
土地、工務店が決まり、どんな家にしたいか、イメージを固めていったおふたり。間取りにデザイン、どんなこだわりを持って決めていったのか。
友里さん「私がマンションに惹かれていた一つのポイントが、ワンフロアで家事導線が完結すること。なので間取りとしては戸建でも、1階にリビングダイニングをワンルームにまとめて家事導線をつなげています。2階は寝室と書斎、将来の子供部屋が二人分、ですね」
成哲さん「デザインは、動画や写真を見て好きだなあと思った、ホテルライクやヴィラスタイルの要素を寄せ集めていった感じです。とはいえ、最初に決めたのは床なんですよ。私がこの床(ベリティスフロアW アカシアクリア)がいい!と妻にプレゼンをして(笑)。突き板仕上げで自然のムラがあっていいんですよ。床が明るい色味だと手入れが行き届いていないと汚れが気になるけど、濃い色だと目立ちにくい。この床が自分の好みにぴったりはまったんです」
友里さん「私は特にこれ!という床もなかったので、そんなに言うならいいよって(笑)。床と階段に合わせて、全体の統一感が出るようにウォールナットとモノトーンにしようと、組み合わせるドアやキッチン、クロスの色味を絞りました」
そのうえで、友里さんがパナソニックショウルームで一目惚れしたのが、Lクラスキッチンの対面 セミフロートプランだった。
友里さん「ショウルームで見たときに、そのまま全部これがいい、これ以外は考えられないって思っちゃって。床とも合うし、手前が扉になって収納力も高く、手入れもしやすい。キッチンは私のこだわりで選びました」
落ち着いた雰囲気を演出
リビングで床と相まって落ち着きのある雰囲気を演出しているのが、VERITIS Plus Label(ベリティス プラスレーベル)PJ型のナチュラルカラー・ウォールナット柄のドア。風格と温もりを兼ね揃えた濃淡のある柄が味わいを生む。
成哲さん「このドアも僕は気に入っていて、絶対に入れたいと思っていたんです。採光を取るために袖ガラス付きドアにしました。垢が目立たないように曇りガラスにして、ドアの幅木もパネルの枠もウォールナット柄で合わせました」
キッチンの背後にある、洗面室につながるドアは、ベリティス Craft Label(クラフトレーベル)DF型(採光部はチェッカーアクリル)のブラックオーク柄を採用。
友里さん「キッチンの色味と合うように、ネイビーオーク柄とも迷ったんです。どっちもいいなと決めきれず、1階をブラックオーク柄にして、2階のドアをネイビーオーク柄にしました。ネイビーオーク柄のドアには真鍮のドアノブを組み合わせて。どちらも気に入っています」
理想の収納が叶うキュビオス
ふたりがこだわったのは、子どもの成長に合わせて変化していく収納。子どものおもちゃや衣服、パソコンや掃除道具までをいかにすっきり収納できるか。その願いを叶えてくれたのが、自由にプランニングできるシステム収納「CUBIOS(キュビオス)」だった。
成哲さん「収納はできるだけ多く取りたい、けど空間はすっきり見せたい。その両方を満たしてくれるキュビオスを入れることは決めていました。もともと無印良品の収納用品を使っていたこともあり、MUJI SUPPORTに相談しました」
キュビオスは無印良品の収納用品がぴったりと収まるようになっていて、無印良品の相談窓口「MUJI SUPPORT」で収納用品の提案をしてもらうことができる。本橋さんはオンラインでの収納相談を活用し、自分たちの理想と要望を伝えた。
友里さん「自分たちが収納したいものをリストアップして、子どもが保育園のうちはおもちゃと着替えを、小学校になったら教材とランドセルを、と将来のことも考えて。どういう割り振りでどんな収納用品を使えばいいか、相談させてもらいました。具体的な収納場所、買い足した方がいい無印良品の収納用品も提案いただき、とても助かりました。ほぼ提案通りに収納しています」
成哲さん「できるだけ生活感を出したくないので、飾るスペース以外はすべて扉をつけました。右側には窓があるので壁全部は埋めず、スペースを開けています。子どものおもちゃや絵本は下の段に、パソコンやハサミ類など子どもの手が届いてほしくないものは上の段に収納しています。あとは、掃除道具ですね。お掃除ロボットの居場所もあります。生活に必要なものが基本すべてここに納まっているので、暮らしやすいです」
キュビオスの色味は最後まで迷い、ブラックオーク柄を採用した。
成哲さん「妻はブラックオーク柄だと雰囲気が暗くならないかと懸念していたんですが、アカシアクリアの床やウォールナット柄のドアとも相性がいいし、何よりかっこいい。結果、ブラックオーク柄は黒と言えど木目調で無機質な感じではなく、暗いイメージにはならなかったのでよかったです」
お互いが納得のいく選択を重ねた家づくり
間取り、デザインの方向性を決め、床、ドア、キッチン、収納(キュビオス)、それぞれの色味……その一つ一つを納得いくかたちで選んでいった本橋夫妻。お互いのこだわりを伝え合って、譲れないもの・譲れるものをすり合わせ、信頼できるプロの意見も取り入れて。
成哲さん「両親に子どもたちを預けて、夫婦で1日に打ち合わせを詰め込んだこともありました。打ち合わせにおいて喧嘩は一切なかったですね。もともとの好みが似ていたこともあるし、違ってもプレゼンして納得したうえで決めていけた。彩路さんやMUJI SUPPORTの担当者さんなど第三者のプロのアドバイスも基本すべて取り入れました。言われた通りにしておいてよかったと思うことばかりです」
友里さん「2021年の9月末に彩路さんと契約をして、11月には着工して、保育園の関係で3月末には引っ越して。スピード感を持って進めてもらいましたが、どの打ち合わせもいつも楽しかった。理想がかたちになって嬉しいです」
リビングダイニングの落ち着いた雰囲気をつくる、ベリティスのアカシアクリアの床にウォールナット柄ドア、ブラックオーク柄の扉のキュビオス、Lクラスのキッチン。自分たちの好みで一つ一つ、納得する選択を重ねたお気に入りの空間にいる夫婦ふたりの笑顔は、きっとお子さんにも伝染する。本橋さんたちはこの家でこれから、家族の思い出の年輪を増やしていくのだろう。