リノベーションでよくある失敗とは? 事例紹介と失敗を回避する方法

リノベーションでよくある失敗とは? 事例紹介と失敗を回避する方法

「いつの時代も、普遍的な成功法則として「失敗は成功のもとだ」といったメッセージが語られますが、こと「人生で一番大きな買い物」としてよく取り上げられる家にまつわる失敗は生活的・金銭的なダメージが大きくなるおそれがあり、場合によっては問題が長期化して心身ともに疲弊してしまう可能性もあるため、絶対に避けなくてはなりません。「新築時以上の価値を加える」リノベーションも同様ですが、失敗の種類は少し特殊です。理想の住まいと暮らしが計画通りに実現できるよう、今回は実際にあった失敗事例も交えながらリノベーションの失敗を回避する具体的な対策をご紹介します。

 

事例あり|初めてのリノベーションでよくある4つの失敗と、その回避方法

リノベーションの流れ①|物件探しから購入まで

「事前に思い描いていた完成イメージとは大きなギャップがある……」、「“見た目”は問題ないが、生活をする上でとても不便……」。リノベーション後にそう思ったときの大半は手遅れで、取り返しがつかない状態です。そのような事後を招かないようにするためには、どのようにリノベーションを進めていけばよいのでしょうか? 代表的なよくある4つの失敗パターンを、事例(シチュエーション)と回避策とともに見ていきましょう。

失敗パターンその① 「物件選び」

物件選びはリノベーションのスケジュール上、最初に位置する工程ですが、「リノベーション成功の可否を握るカギ」といってもいいくらい重要な選択になります。言い換えると、ここでの失敗は命取り……といえるでしょう。

失敗事例1 将来、売りに出すつもりでリノベーションをしたが、売れないし貸せなかった

超好条件が揃っている一部を除き、基本的に物件は土地とは異なり、時間が経過すればするほど資産価値が下がっていくものです。リノベーションで物件に新たな価値を付加し将来的に売ろう・貸そうと思っていても、評価が大幅に落ちていることも……。

失敗を回避する方法

いつの時代でもニーズがある間取り(例:ファミリー向けの2LDK・3LDK)、利便性・生活環境・治安が良い街・人気のエリアのなど、資産価値が下がりにくい条件を持っている物件を探して選ぶようにしましょう。国土交通省が2021年3月と4月にそれぞれ発表した『平成30年度 住宅市場動向調査 ~調査結果の概要~』にある「住宅の選択理由(中古マンション取得世帯)」と『平成 30 年度マンション総合調査結果からみたマンション居住と管理の現状』の調査結果も参考にしてください。

失敗事例2 「配管が古く、交換が必要だった」「設備の見た目はきれいだったが、使い始めてから不備があった」

表面上の“見た目”はきれいでも、見えない所にリスクが潜んでいる可能性があります。配管の劣化はその典型的な例。他には雨漏り(天井の劣化)、カビ(空調不良・結露の発生)、きしみ(物件のゆがみ)、悪臭(排水管の不良)などが挙げられます。

失敗を回避する方法

以前の居住者が住んでいたときの状態のまま引き渡される「現状引き渡し」であれば、リスクをある程度把握できます。さらに精度を高めるのであれば、管理会社に今後の修繕計画やこれまでの修繕履歴を尋ね、明らかにしておきましょう。2018年4月に改正宅地建物取引業法が施行され、少しずつ普及し始めている専門家による物件のコンディション診断——「ホームインスペクション」を活用するのも有効です。

出典:国土交通省『改正宅地建物取引業法の施行について』(2018年4月発表)4ページより

失敗事例3 「目の前にマンションが建築されることになり、眺望が大きく変わることに」

せっかく好条件の物件を手に入れても、日が経たないうちにその条件を壊されてしまっては、意味がありません。ちなみに、先ほど紹介した『平成 30 年度マンション総合調査結果からみたマンション居住と管理の現状』の「マンション購入の際に考慮した項目」では、5位に「眺望」がランクインしています。

失敗を回避する方法

物件周辺の環境や開発計画を、足を使って確認しましょう。その結果、例えば、物件の目の前に更地(さらち)があったら、「何かしら建築の計画があるのでは……?」と疑ってみます。すでに工事中であれば工事用法定表示板を確認し、詳細を確認しましょう。

失敗パターンその② 「資金計画」

おそらく、現金一括で物件を購入しリノベーションを始める方は少ないでしょう。大半の方が、自己資金とローンを組み合わせ「これだけの金額が用意できそうだ」というシミュレーションをして、検討を重ねるのではないでしょうか。

失敗事例1 購入前——「ローンの審査に落ちて、物件を購入できなかった」「総額に目が奪われてしまい、月々の支払いまで頭が回らなかった」

消費者金融から借り入れがある。過去、返済遅れがあった。そのような場合、ローンの審査に落ちる可能性があります。仮に審査に通ったとしても、月々の返済額を身の丈に合った金額にしないと、家計は苦しくなるばかり……。

失敗を回避する方法

ローンの審査項目はどこも似ていますが、金融機関によって条件は異なります。民間の金融機関、ネット銀行、フラット35など、複数ローンの事前審査を出し、最も条件の良い金融機関を選ぶようにしましょう。

また、審査がなかなか通らない方は、一度本人の信用情報を確認してみてください。金融事故の履歴が残っている場合、直近数年は住宅ローンを組めない可能性もあります。その場合は、「何年後にローンが組めるのか」をご自身で把握した上で今後の計画を立ててみましょう。

参照:株式会社 日本信用情報機関『信用情報の確認(JICC)

参照:株式会社シー・アイ・シー『自分の信用情報を確認(CIC)

なお、無事に審査が通りローンが組めたとしても、適切な月々の返済額を設定しないと、後々、自分の首を絞めることになります。望ましいのは、ローンの返済をしながらも貯金ができ(少額でもOK)、きちんとリノベーション前に描いていた理想の生活も送れること。だからこそ、無理のない余裕のある現実的な資金計画の立案が必要です。

失敗事例2 購入後——「物件購入後に理想の間取りや設備を計画してみたら、大幅に予算をオーバーしてしまった」「購入後にかかる費用を考慮していなかった」

物件を購入した後にリノベーションのイメージをふくらませて計画に落とし込むのは、注意が必要です。同時に、購入後に発生する費用を購入前に考慮できていないのは資金計画として欠陥アリ、でしょう。

失敗を回避する方法

物件探し・リノベーションの計画・資金計画、この3つを常に同時進行させれば、失敗は回避できます。自分が希望するリノベーションのスタイル・間取りを固めつつ、物件探しをする。もしお気に入りの物件が見つかったら購入を決断する前に、何歳まで住もうと思っているのか(長期的なライフビジョン)を考えながら専門家に相談をして資金計画をしっかりと練る。1つのことだけを検討・決定するのではなく、関連する事柄を常に連携させて、進めていきましょう。

物件購入後の費用についても把握しておきましょう。不動産取得税、管理費・修繕積立金、固定資産税、耐久消費財の購入費、引っ越し費用など、複数ありますので、事前に抜け・漏れなく実際に費用としてかかる確度の高い数字ベースで把握しておきましょう。「大体、このくらいかな……」という抽象度が高い数字の算出はなるべく避けるようにしましょう(購入前も同様です)。

失敗パターンその③ 「業者さん選び」

希望物件を探して提案してくれるのも、希望するリノベーションをかなえてくれるのも、業者さんです。いかに“ウマ”が合う業者さんと出会えるか——。恋人探しに近いものがありますが、妥協せずにベストパートナーを見つけましょう。

失敗事例 「担当と相性が悪い」「担当から聞いていたイメージと完成後のイメージが違った」

人同士の付き合いには、必ず相性があります。「どんな性格の人でも対応できる」方もいるかもしれませんが、それも相性の一つ。1伝えれば10理解してくれる人もいれば、20伝えても5しか理解できない人もいるでしょう。1を10のように語る人もいれば、1を1で語る人もいます。一言でまとめるのなら「コミュニケーション」に尽きますが、そのコミュニケーションを円滑に進めるためには“認識の相違”を防ぐのがポイントになります。

失敗を回避する方法

不動産、設計、ローンなど、リノベーションの工程は複数にまたがっています。それはイコール、複数人と関与しなければならないことの表れですが、工程ごとに信頼できる業者さんを見つけるのは、時間も労力もかかる……。そんなときに頼りになるのが、不動産の提案から設計・施工まで一気通貫で対応してくれるワンストップ(窓口一元化)リノベーションの業者さん。全方位的な支援を1つの会社で完結できるのは、大きな魅力です。

認識の相違を生まないためには、共通認識をつくる=イメージの共有から始めましょう。言葉だけで伝わらないときは、スマホなどで写真や図を見せながら共有し、すり合わせていきます。事前に専門用語の意味を把握しておけば、より理解が進むはずです。

失敗パターンその④ 「間取り・設計」

例えば、排水管が下の階の天井裏(天井懐)にある場合は移設工事が難しいように、物件の構造によっては実現できないリノベーションもあります。あらかじめ、希望するリノベーションと構造を照らし合わせて実現可能性を調査しておきましょう。

失敗事例1 設計時——「構造上、壊せない壁があり開口(かいこう)が設置できない」

壁や床などの面で建物を支える「壁式構造」の場合、構造上、取り壊せない壁が多く、間取り変更ができない・開口(窓、出入り口、戸)が設置できない可能性があります。

失敗を回避する方法

物件の構造によってできる工事・できない工事があるため、業者さんとの打ち合わせのときに自分の要望を抜かりなく伝え、その要望がかなえられる物件を紹介してもらいましょう。ただし、予算には限りがあるため、ときには妥協も必要です。

失敗事例2 入居後——「収納が少ない(土間収納、ウォークインクローゼット、造作〈ぞうさく〉収納〈特に水廻り〉)」

入居後の失敗談としてよく聞かれる話が、「思ったより、収納が少なかった……」。理由は、当初の計画(平面図)では相応の収納スペースを確保していたものの、理想の暮らしをかなえるために間取りや生活動線を検討している過程でどうしても面積が足らなくなり、収納スペースを削ってしまうからです。

失敗を回避する方法

平面図を見て「収納スペースが減ってきたな」と感じたら、業者さんに「収納スペース、少なすぎですかね?」と確認してください。業者さんは施主さんの希望を尊重してそのまま進めるケースが多いです。収納に限った話ではありませんが、大なり小なり違和感を感じたときは、自分よりリノベーションに詳しいプロの意見に耳を傾けてください。誤った判断が回避できます。

失敗事例3 入居後——「スイッチやコンセントが不足した」「照明をシンプルにし過ぎた」「家具が置けなかった」

間取り・設計(全体)にばかり目がいってしまい、生活を送る上で必要なパーツ(個別)がおろそかになってしまったパターンです。

失敗を回避する方法

間取りと設備を決めたから終わり……にはせず、実際の生活を思い浮かべながら、スイッチ、リモコン、コンセント、照明などの位置をリアルに反映した生活導線を設計しましょう。パナソニックから、お客様満足度も高い、高性能なスイッチコンセントや照明が複数発売されているので、ぜひご活用ください。

センサースイッチです。玄関などで近づくとセンサーが反応して、照明がつきます。廊下や階段は三路スイッチ同様、三路センサースイッチもあります。

▼照明

今回ご紹介した照明の詳細は、パナソニックのWebカタログ『住宅用照明器具 Expert 2020』でご確認ください。電気・建築設備のカタログはこちらから閲覧・ダウンロードが可能です。

▼家具

家具の失敗であるのが、「リノベーションに合わせて家具を新調したけれど、部屋に置けなかった……」。この場合の失敗を回避するポイントは、リノベーションで生まれた変化を把握しながら、家具の特性も理解することです。例えば、L型ソファーは左右勝手があるため、配置の際、注意が必要です。間接光をつけるために天井を下げたのであれば、大きいベッドや高さがある食器棚などは搬入できないかもしれません。ピアノなどの重い家具を置く場所は、床の補強が必要な場合もあります。

家具についても事前に業者さんと相談しながら設計を進めることをおすすめします。

失敗事例4 入居後——「部屋の空気環境や温度」

いざ生活してみると、室内が異様に暑い・寒い、じめじめする——。これらは、そもそも物件の基本性能が低いことに加えて、開口・断熱・空調の設計などに何かしらの問題が起きている可能性があります。

失敗を回避する方法

室外の熱は、窓などの開口を通じて室内に入ってきます。開口が熱を必要以上に集める設計になっていないか、設計段階で確認しましょう(例:窓が必要以上に多い)。物件の基本性能が低い場合は、内装・外装に断熱材を加えたり、内窓に断熱性能が高いアルゴンガス入りペアガラスを使用したりすれば、断熱効果が高まります。空気の清浄は、エアコンの取り付け・交換、加湿も除湿もしてくれる調湿壁の導入を検討するとよいでしょう。

余談ですが、人は“目立つ部分”を気にして“目立たない部分”を後回しにする傾向があります。リノベーションで見ると、変化のインパクトが大きい間取りや空間は優先順位が高い傾向にありますが、開口や壁、先ほど触れたスイッチ、リモコン、コンセント、照明など、見た目の変化が小さくなりがちなパーツは後回しにされやすいのかもしれません(もちろん、個人差はあります)。

 

建物別|リノベーションが失敗しないために必ず確認すべきこと

マンション

大半のマンションの管理規約には、「防音のためクッション性のある床材を使用すること」(一例)というようにリノベーションをする上でのルールが定められています。ゴミの出し方や共用スペースの使い方も記載されているので、管理会社に見せてもらい、確認しておきましょう。

団地

築50年近い建物が多く、中には旧耐震(※)の社宅もあります。また、団地には自治会が存在しており、加入を求められることがほとんど。地域行事や当番の存在も覚えておきましょう。

※旧耐震:耐震基準の一つ。震度5強程度の地震ではほとんど損傷しない建物のことを指す。一方、新耐震は震度6以上の地震に耐えられる建物のこと。

中古戸建・古民家

中古戸建・古民家の中でも建築基準法の基準を満たせない「再建築不可」の物件はリノベーションに制約がかかり、費用も割高になるため、選択肢から除きましょう。増築や追加補修工事が必要な物件は自治体ごとに定めている建ぺい率(けんぺいりつ/敷地面積に対する建築面積)や容積率(ようせきりつ/敷地面積に対する建物の延床面積)が変化する可能性があるため、注意が必要です。なお、木造軸組工法、2×4(ツーバイフォー)、鉄骨造(S造)、鉄筋コンクリート造(RC造)といった構造の違いでリノベーションの条件は変わります。

 

リノベーションで失敗しないためにも、リノベーションを知ることから始めよう

孫子の名言の一つに、「彼を知り、己を知れば、百戦して殆う(あやう)からず」があります。「敵と自分のことを熟知すれば、何度戦っても負けることはない」の意味ですが、リノベーションも同じです。リノベーションで失敗しない方法は、リノベーションのことを徹底的に知ること。<リフォームショップ紹介サービス>では、リフォームのコンシェルジュがリフォーム・リノベーションのご相談を承っております。リフォームやリノベーションのあれこれを知りたい、これから検討を始めたい方はぜひご相談ください。

※リフォーム会社が決まっていないお客様限定のサービスです。

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