リノベーションでもローンをフル活用!
ようやく希望の中古マンションが見つかり、リノベーションのイメージが固まったとしても、それをかなえるマネープランが破たんしては、身もふたもありません。無理のない資金計画を立てるには、ローンの活用が必要不可欠です。
目次
ローンを組んで中古マンション(物件)をリノベーション
中古マンション(物件)を購入してリノベーションをするときに使えるローンは、「リフォームローン」と「住宅ローン」の2つです。
①リフォームローン(リノベーションローン)
その名の通り、リフォームをするときに利用できるローンで、「リノベーションローン」とも呼ばれます。「無担保※」「審査が早く終わり、かつ通りやすい」。この2つが代表的なメリットですが、「借入限度額が少ない」「金利が比較的高い」「返済期間が短い(結果として毎月の返済額大)」といったデメリットもあります。なお、新築物件は対象外です。
※規模が大きいリフォームの場合、担保が必要です(低金利。審査に時間を要する)。
②住宅ローン
大規模なリノベーションや中古マンションを購入する際に利用できるローンで、その多くが団体信用生命保険(団信)に加入します。「低金利」「借入限度額が多い」「返済期間が長い(毎月の返済額にゆとりが持てる)」などのメリットがありますが、「審査が厳しく、時間がかかる」のは注意点といえるでしょう(2~3週間かかることもあります)。なお住宅ローンは、財形住宅融資と自治体融資の「公的ローン」、民間の金融機関で取り扱われ商品も多種多様な「民間ローン」、銀行や保険会社などが扱い最長35年まで借りられる長期固定金利型の「フラット35」の3つに大別できます。
リフォームローン | 住宅ローン | |
---|---|---|
担保の必要性 | 大半が担保なし※ | 担保あり |
金利 | 変動:1.5~5%程度 | 変動:0.4~2.6%程度 |
借入上限 | 500~1,000万円が多い | 1億円 |
返済期間 | 最長10~15年 | 最長35年 |
団体信用保険 | 原則なし | 原則あり |
審査 | 通りやすく、結果が出るのが早い (約1~3日程度) | 厳しく、結果が出るのが遅い(約2~3週間) |
※規模が大きいリフォームの場合、担保が必要。
注)独自調べの参考情報です(2019年9月現在)。記載内容は変化する場合がありますので、あらかじめ、ご了承ください。
ローンを組む上で知っておきたいポイント【リノベーション】
実際にリフォームローンと住宅ローンを使ってローンを組むとき、どのような組み方がお得なのでしょうか?
住宅ローン(一体型)を利用した場合
リフォームローンと住宅ローンを併用すると借り入れ手続きはそれぞれ1回ずつ、計2回となります。一方、中古マンションを購入する費用とリフォーム費用が同時に借り入れることができる一体型は1回で済むため、利便性に優れている仕組みだといえます。また、どちらのローンも後ほど触れる「住宅ローン控除」の対象になることを考えると、一体型の方がお得だといえるでしょう。
参考:「リフォームローンと住宅ローンの併用」と「住宅ローン(一体型)」の比較シミュレーション
中古マンションの購入費用が1,900万円、リノベーション費用が950万円とした場合のシミュレーションです。
※ともに、返済方法は元利均等。
「リフォームローン+住宅ローンの併用」シミュレーション
①物件購入費用分
借入額 | 返済期間 | 金利 | 月々返済額 | 利息合計 |
---|---|---|---|---|
1,900万円 | 35年 | 1.0% | 53,634円 | 3,526,187円 |
②リノベーション費用分
借入額 | 返済期間 | 金利 | 月々返済額 | 利息合計 |
---|---|---|---|---|
950万円 | 15年 | 3.0% | 65,605円 | 2,308,840円 |
トータル(①+②)
借入額 | 月々返済額 | 利息合計 |
---|---|---|
2,850万円 | 119,239円 | 5,835,027円 |
「住宅ローン(一体型)」シミュレーション
借入額 | 返済期間 | 金利 | 月々返済額 | 利息合計 |
---|---|---|---|---|
2,850万円 | 35年 | 1.0% | 80,451円 | 5,289,382円 |
シミュレーションからもわかるように、月々返済額や利息からみてもお財布に優しいのは「住宅ローン(一体型)」と言えます。検討している物件とリノベーションの内容が「住宅ローン(一体型)」にてまかなえるものか、早い段階で知っておくのもポイントです。
リノベーションでも住宅ローン控除の適用が可能
「住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除」が正式名称の住宅ローン控除は、所得税が還付される制度であるため「住宅ローン減税」とも呼ばれます。住宅ローンで10年以上のローンを組んで住宅を取得したときや住宅の増改築をしたとき、向こう10年間にわたり毎年末の住宅ローン残高の1%を所得税・住民税から控除する仕組みで、最大で500万円が戻ってきます。また、2019年10月に消費税が現行の8%から10%に増税することを受け、2019年10月から2020年12月31日の間に入居した人に限り、控除期間が「10年間→13年間」になることが決まりました。
住宅ローン控除が適用される条件
住宅ローン控除は、誰でも受けられるわけではありません。適用には、いくつかの条件があります。
- 減税を受けようとしている人が、住宅の引き渡しまたは工事完了から6カ月以内に住んでいること(住民票で確認)
- 登記簿上の床面積が50㎡以上であること
- 中古住宅の場合、耐震性能が備わっていること
(木造などの耐火建築物以外の場合は20年以内に、鉄筋コンクリート造・鉄骨鉄筋コンクリート造などの耐火建築物※の場合は25年以内にそれぞれ建築) - 住宅ローンの返済が10年以上残っていること
- 合計の所得金額が3,000万円以下であること(3,000万円を超える年は適用外)
控除額が大きいため、購入しようとしている物件が、住宅ローン控除に適用されるかどうかの確認は重要です。物件探しの段階で住宅ローン控除が適用される物件かどうかを確認しながら、物件探しをする人もいるほどです。
頭金や親からの援助金
住宅ローンだけで物件購入・リノベーションをすることは少なく、いわゆる頭金を自己資金の中から用意するのが一般的です。ただ、何かしらの理由で少額の頭金しか用意できない場合も考えられるでしょう。
そんなときは、両親に資金援助の相談をしてみてください。もし援助が受けられることになったら口約束ではなく、借りる人(子)の名前・住所、貸す人(親)の名前・住所、借入金額、返済期日、返済方法、利息、遅延損害金などが記載された作成日明記・押印ありの借用書を用意します。借用書がない場合、贈与とみなされ、贈与税が課税される可能性がありますので、注意してください。
ローンを組むときに必要な書類とリノベーションの流れ
ローンを組む目途が立ったら、契約時に必要な書類を用意しましょう。個人・法人でその内容は異なりますが、膨大な数になる場合もあります。契約手続きを進めるのと同時に、物件購入からリノベーション実施までの流れも整理しておくと、万全です。
ローンを組むときに必要な書類
ローンを組むときに必要な書類は、相当な数になります。チェックシートなどを使って、抜け・漏れがないように準備してください。
- 所得を証明する書類
給与所得のみ(2~3年分) ※住民税課税決定または特別徴収税額の通知書、源泉徴収票 【勤務先もしくは市区町村】
確定申告されている方(2~3年分) ※納税証明書(住民税課税証明書等)、確定申告書(写) 【勤務先】 - 住民票(家族全員の記載のあるもの) 【市区町村】
- 印鑑証明書 【市区町村】
- 健康保険被保険者証(写) 【勤務先もしくは市区町村】
- 本人を確認する書類(運転免許証やパスポートなど) 【本人】
- 売買契約書(写) 【不動産会社】
- 建物工事請負契約書(写) 【建築会社】
- 重要事項説明書(写) 【不動産会社】
- パンフレット・販売図面 【不動産会社】
- 確認済証(旧建築確認通知書)(写) 【市区町村もしくは設計業者、施工業者等】
- 土地建物の登記事項証明書(登記簿謄本) 【法務局】
- 建物図面、各階平面図 【設計業者、施工業者等】
- 土地の公図・実測図法務局 不動産会社等 【法務局、不動産会社等】
- 地積測量図 【法務局】
なお、物件に関する書類については、金融機関や商品内容によって、上記必要な書類が変わってきます。
リノベーションの流れ
物件探しをスタートとし、入居をゴールとしたときのリノベーションの流れをまとめました。
- 物件探し
- 物件の内覧
- 物件とリノベーションの見積もり
- ローンの事前(仮)審査
- 物件の買い付け申込み
- 本契約
- 現地調査
- リノベーション内容確定
- 工事開始
- 竣工検査
- 引っ越し、入居
一連の工事が終わり、建物が完成すると、引っ越し前、入居前の竣工検査です。自分が思い描いていたリノベーションが形になり、心躍る瞬間ですが、傷はないか、設備の不具合はないか、契約書通りの仕様になっているか、この3点は必ず竣工検査のときに確認してください。どんなに小さな点でも自分が気になったら担当者にとことん聞いて、やり取りをメモしておくとよいでしょう。
ローンの選び方【リノベーション】
ローンの金利で代表的なものとして、「変動金利」と「固定金利」の2つが挙げられます。
定期的に金利が変わるのが、変動金利です。世の中の動向と照らし合わせながら、金利は通常半年ごと、毎月の返済額は5年ごとに見直しが行われます。一方の固定金利は、一定期間金利を固定して返済していく方法。期間が終了したら、再度金利を設定し、その数値に基づいて再び一定期間、返済をしていきます。
今回ご紹介した通り、リノベーションに関わるローンには様々な種類や方法があります。いざ理想の物件に出会えた時に、ローンでつまずかないよう、予めローンの事前審査を進めておくと安心です。希望する広さやエリアに関する情報収集も大切ですが、「いくらのローンが借りられて、月々いくらの返済になるのか」これを知っておくだけでも、物件を絞り込みやすくなります。
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