Archi-spec TOI: インタビュー[建築家と軒先設計]彦根 明

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建築家 彦根 明 Akira Hikone / Architect
株式会社彦根建築設計事務所 代表。「最高に美しい住宅を作る方法」他著書・受賞歴多数。
http://www.a-h-architects.com/


軒先は、美しい景色を眺めるためのフレーム

「建築家と軒先設計」というテーマで、彦根 明先生にお話をお伺いしました。

インタビュアー/デザイナー:黒田 久美子(パナソニックライフソリューションズ社)


軒先勝負の物件での採用

黒田
彦根さんの著作「最高に美しい住宅をつくる方法」を興味深く拝見いたしました。
中でも、トップライトのことや、北側にお庭を設けるなど、採光についての明確な設計意図をもっていらっしゃいますね。一方で、雨樋や軒先の納まりといったことには、ふれられていませんでしたので、その辺りのお考えをお聞かせください。
彦根
「最高に美しい住宅をつくる方法」というタイトルではありますが、逆の視点から捉えると、美しいのは住宅はもちろん、家の中から眺める景色であったりもするわけです。ですので、軒先は視界のフレームとして、美しい眺めを邪魔しないようなものでなければいけないと考えています。
デザインをするという行為は、要素を省いていくということだと思っていて、そういう意味では雨樋が無いというのが理想なんです。ただ、無ければ機能的には困るものではある、と。だから、美しい視界の邪魔はせずに、雨水を処理できるArchi-spec TOIのような雨樋はまさに欲しいものでした。
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黒田
ありがとうございます。こちらの「鎌倉の家」も、雨樋を付けるのか?付けないのか?という設計段階の検討はあったのでしょうか?
彦根
自然の中の一軒家であれば、雨樋が無い造りというのは可能なのですが、鎌倉のような住宅地では雨水が跳ねたりして近隣にご迷惑をかける。だから設計段階から雨樋は必要だと考えていました。シンプルでクセの無い雨樋でいこう、と。
黒田
そこで、Archi-spec TOIをご採用いただいたわけですが、採用に至った経緯をお聞かせください。
彦根
カタログで、Archi-spec TOIが目に留まったので、スタッフにも共有していたんです。こういうシンプルな雨樋があるから、検討してみてって感じで。そういったことがあって、既に2軒で採用していたんです。
黒田
そうだったんですか!?彦根さんにとっては、こちらの「鎌倉の家」でのご採用が初めてだと思ってました。
彦根
カタログを見たときに、こういうコンセプトの雨樋があるからということで、軒先勝負の物件での採用をスタッフに促していたんですね。それで、この「鎌倉の家」の他に、既に2軒で採用しています。滋賀県栗東市のパナソニックの工場見学にお邪魔したのは、ちょうど2軒が竣工した後です。

Archi-spec TOIの工場見学

滋賀県栗東市で行われる工場見学。設計事務所の方々に、実際の生産ラインや豪雨実演を見ていただく。手にとって理解いただくことで、採用していただけるケースも増えています。

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黒田
滋賀県まで工場見学にお越しいただきありがとうございました。彦根さんはじめ建築家の方々にもお越しいただきましたが、見学はいかがでしたか?
彦根
商品開発の方と直接お話しできたことがとても良かったですね。
インジェクション部材なんかを手に取りながら、色々なお話しができました。失礼ながら、メーカーの商品開発部門に、こんなにも細かなところにまで真摯に取り組んでいる方がいるんだ!という驚きがありました。僕たち建築設計者の職能というのは、大部分の人々にとっては気にならないような細やかなところにこだわりを持って臨んでいるわけですが、大手メーカーの中にも僕たちと同じ目線で細やかなところを大切にしている方がいる。そこに感動しました。
黒田
ありがとうございます。工場見学を開催している意義を再認識できました。

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鎌倉という街並への関心

彦根
例えばヨーロッパなどで街並が綺麗なのは、住んでいる人の意識が高いからだと思います。街並を綺麗にしたいという意識が低ければ、広告を貼りまくったり、インフラの線が入り乱れたりするわけです。やはり、多くの人が街並を意識することが大事だと思いますね。
黒田
まさに、ここ鎌倉の人は、街並に対する意識が高いと感じるのですが。
彦根
高いですね。意識の低い人が看板なんかを出したら叱られそうです。みなさん街並を大切にしていらっしゃる。
黒田
今回、Archi-spec TOIをご採用いただいたのには、立地が鎌倉ということもあったのでしょうか?
彦根
それは、大いにありますね。やはり美しい軒先は、鎌倉という美しい街並の風景のひとつですから。
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黒田
それでは、この「鎌倉の家」のコンセプトについてお聞かせください
彦根
施主様からのご要望の第一も、鎌倉に似合う建物にして欲しいということがありました。だから、形を決めていく上で、軒・庇が美しい建物というのは常に念頭にありました。
外では街並を意識し、一方で、内では部屋から眺める庭の風景も大切にしたい。雨樋の存在が邪魔にならないということが重要な要素でした。見えない、つまり余計なものが目に入らないということがポイントです。部屋内から軒樋が見えないし、縦樋もそうです。この長い、しかもL字の軒に対して、縦樋が両端の2本だけで済むので、軒先を美しくすることが可能になりました。Archi-spec TOIのデザイン性と機能性をそのまま活かした感じです。この質感の縦樋で45φというのはほとんど無いですからね。
この縦樋も笠木を掻き込んで(下の写真)、徹底して存在を消しています。この辺りは職人さんの知恵を交えながら決めていきました。
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