トークセッション[建築家とメーカーのいい関係]

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TALK SESSION

モノづくりの原点は同じ

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もうひとつツイッターからのご質問です。予算の関係上、建材に既製品のサイディング、ビニールクロスやサッシにせざるをえない場合でも良い建築を作ることは可能でしょうか?
横内
そもそも予算が無い時に、ビニールクロスを選択しちゃうということ自体が、建築家としてはダメだと思います。予算がないのであればボードのままでいいじゃない。メーカーとしては困るだろうけど、でも、コストを落とそうと思ったら別の方法で色んなことができますから。天井を貼らないとか、床を貼らないとか、方法は色々とありますよ。仕上げ材を変えることでコストを下げようとするから、おかしなことになっちゃうんであって。既製品のサイディングでもフェイクではなく、素材そのものであれば使えますからね。
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彦根
そうですね。コストを落とさなければならないのであれば、面積を落として本物を使いましょうという提案をします。
長谷川
予算ってとても重要なことです。そこで、ビニールクロスやサイディング、といった論点で考えるのではなく、施主と向き合って、施主が大切にしたいものの序列を整理してあげることが重要だと思います。
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他にもツイッターからの質問です。考え方や意識を変えられた素材や材料、メーカー商材はありますか?
横内
それだったら屋根材にいいものが出てきてますよ。変な加工や装飾をしていない、素材そのままの材料です。
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素材そのままがいいということでいくと、私たちは一所懸命フェイクを作ってきました。木なら木に見えるものを。でもそうじゃない、ということに気づかせてくれたのが建築家の方々なんです。セメント板に一所懸命に柄を付けていたのに、ある方から「セメントならセメントのままがいい」と言われた時はショックでした。「表の柄よりも裏のセメント本来の素材感の方がいいよ」って言われちゃって。
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横内
どんな家に住むかというのは、その人の生き方そのものだと思うんですね。家というのは、その人の自己表現の中で一番高い買い物なんだよね。それなのに、建材全てがフェイクだったら、その人はやりきれないよ。じゃ、その人の人生ってなんなの?って。ローコストでも本物の住宅ってあるからね。そこで生まれて、そこで死んでいく、尊厳とでもいうのか、住宅というのはそういうものだと思います。だから、メーカーもそのように考えて取り組んでほしい。
ーー
私たちメーカーが考え方を変えて、建材に取り組むことで、より多くの「住宅の価値」を高められると考えています。ちょっとずつですが、進んでいきたいと。
横内
住宅の価値を高めるということだけではなくって、住む人の生き方を高めないと!メーカーの影響力は大きいんだから頑張ってほしいですね。大メーカーであっても原点はモノづくりでしょ?それなら、我々のような小さな組織や個人と原点は共有しているはずだから。
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私たちは、モノづくりもさることながら、その感性を共有できる「人づくり」が大切だとあらためて感じました。ありがとうございました。 先ほどお褒めいただいた屋根材についてですが、実は30年前から構想はあったんです。あったのは、あった。でも、売れるのか?高くなるんじゃないのか?というところで前に進めなかった。大きな反省点です。前に進めようと強く思いました。
横内
最初は売れないかもしれませんが、少なくとも10年やりつづけていただいたら市場の価値観は変わると思います。フェイクと本物だったら、本物を選ぶ、という人が増えると思う。とにかく続けてほしいと希望します。
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ありがとうございます。これからもメーカーへの叱咤激励を何卒よろしくお願いいたします。 (了)
※掲載内容は、2017年11月10日現在の情報です。

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