トークセッション[建築家とメーカーのいい関係]

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TALK SESSION

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納まりへのこだわり

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プレゼンテーションでは貴重なお話や美しい写真をご紹介いただきありがとうございました。ここからのトークセッションでは、我々メーカーへの忌憚のないご意見も拝聴できればと思います。会場の皆さまもどんどんご参加いただき、これからの時間をお楽しみください。
それでは、まずはお三方それぞれのプレゼンテーションをどのように感じられたかをお聞きしたいと思います。彦根さん、横内さんのプレゼンテーションはいかがでしたか?
彦根
以前から雑誌などで横内さんの作品を拝見するにつけ、どのようにしてこんなにきれいに納まっているのだろう?という興味がありました。その謎が解けました。納まりについて、そんなに全部教えてもいいの?って思ってしまうようなプレゼンテーションでした。今日は僕自身、とても収穫がありました。ロールスクリーンや障子の使い方もとても勉強になりました。細部の納まりについてご披露いただき、ありがとうございました。
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会場の方から、横内さんにご質問はございませんか?
ゲスト
(建設業の方)横内さんの作品は、大変細やかなディテールですが、設計にはどの程度の期間をかけられているのでしょう
横内
だいたい4ヶ月程度、大きな物件で6ヶ月程度です。それで、詳細図は描かないで見積もりを出します。詳細図まで描いて見積もり出しちゃうと、すごく高くなるので(笑)。よく工務店には、その辺りを突っ込まれるんですけどね。見積もりしている間に詳細図を描いて、そうすれば工務店は経費が浮くので、そこでバランスをとっています。
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それでは、横内さん、長谷川さんのプレゼンテーションはいかがでしたか?
横内
9cm角の木組みの物件、すごく面白い取り組みですね。
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長谷川
実は長く温めていた構想だったんです。震災のこともあり、セルフビルドということにもこだわりがありました。ですので、かなり実験を繰り返し、どうすれば素人でも組み上げられるかを考えました。乾燥した角材に特殊丸ダボで留めると、湿度によって頑強に留まることが分かりました。日本の気候風土の特徴である湿気を利用し、木と木の摩擦で留めるという方法は、従来の日本建築の手法でもあり理にかなっているんです。釘などの金属の場合、計算は立ちやすいですが、実は錆びないと強度が発揮できない。実験の結果、金属留め具の5〜7倍の引き抜き強度を実現しています。
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それでは、会場の方から長谷川さんへのご質問はありますか?
ゲスト
(プロダクトデザイナーの方)長谷川さんのプレゼンテーションテーマ「響きあいを創りだす、素材・かたち・空間について」ですが、今、長谷川さんがもっとも注目する素材についてお聞かせください。
長谷川
実は、建築という概念でとらえると、全てが素材だと思うんですね。例えば、そこで暮らす人も素材だと言っちゃうと乱暴に聞こえるかもしれないですが、建築を構成するものでもあると考えています。例えば、都会の建築なら「騒音」も素材のひとつですね。風景との相互関係も素材。ガラスは光が当たってこその魅力だし、そういう意味で何かに注目しているというわけではなく、建築ごとに「何かと何かを」響きあわせる、ということを考えています。
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我々建材メーカーは、どうしても素材というと形あるものを想像しがちですが、形のないものも素材なのですね。それでは、長谷川さんから見た彦根さんのプレゼンテーションはいかがでしたか?
長谷川
彦根さんは言葉少なだけど、直感的に印象的なものを創る能力が非常に高い方だと感じました。彦根さんは、建築というものが生み出す印象というものに対して、どのようなフィロソフィーをお持ちですか?
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彦根
なかなか、難しい質問が来ちゃいましたね、恐れていたような質問です(笑)。今日、あらためて思ったんですが、寺社建築の内から見る外、外から見る内、相互からの関わり合いというのは、いつも自分の中でのテーマになっています。おこがましい言い方ですが、建築単体での力ということよりも、それよりもそこから見える力強い世界、例えば風景をフレーミングして内へ招き入れる。周りの環境に恵まれなくても、太陽は平等に降り注ぎますから、光の取り入れ方など、外との関わりの仕掛けを常に考えています。
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では、会場の方から彦根さんへの質問はありますか?
ゲスト
(デザイナーの方)納まりということについて、こだわりがありますか?
彦根
何事もなかったかのように納まっているのが理想ですね。出来上がっちゃうと簡単に見える、そんな納め方が醍醐味だと思います。
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横内
苦労が見えない、というかね。苦労が見えちゃうと、それは納まっていないのだと思いますね。
長谷川
素材でありながら、そのままカタチであるということ。例えば、瓦。まさに素材でありながらカタチでもありますね。
横内
目に見えないものも大事ですよね。温度や音、なんかね。
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では、ツイッターからのご質問にうつりたいと思います。施主様からのオーダーに対して、どうしても曲げられない信念はありますか?
彦根
その土地にふさわしい、ということは曲げられない部分です。
横内
施主様も勉強しているとはいえ、知識や経験は圧倒的に自分たちにあるわけですから。例えると、病気の患者が自分で治療法を考えているようなもので、僕らは医者の立場で治療法を伝えるべきだと思います。言われた通りやるんだったら、すごく楽でしょうが、僕たちはそれではダメですから。



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