主な症状とは?
パーキンソン病の代表的な症状として「振戦」「筋固縮(筋強剛)」「無動」「姿勢反射障害」などの4大症状が知られています。その他にも、さまざまな症状があり、病状の進行度により症状の重軽症度も変わってきます。
予防と対策
パーキンソン病との上手な付き合い方を解説!
ポイント1「好き・快適・得意・安心」を感じるとスムーズに!
安心や快適、リラックスを感じることで動きやすくなり、表情が和んだり、話せるようになります。
例えば…
家族など親しい人が補助すると動作がスムーズになります。
注意ポイント
「嫌い・不快・苦手・怖い」と感じたときは体が動きづらくなります。
ポイント2動作のきっかけがあると体が動きやすくなります。
向かう方向、止まる場所などに目印をつけたり、動く際に掛け声をかけるなどの工夫が有効です。
例えば…
注意ポイント
下りのスロープは前に突進して、転倒しやすくなります。
福祉用具で環境整備
パーキンソン病の進行速度、症状の度合いは人によってさまざまです。そのため、個々の症状、進行速度に合わせた、環境整備が大切です。
トイレ
1)トイレ手すり(ひじ掛け付き)を設置
背筋の筋肉が固くなるため体をひねりづらくなり、便座の上で姿勢が崩れやすくなります。体をひねることで、バランスを崩し転落するリスクもあります。L字型手すりのみの場合は、姿勢保持はできますが、拭き取りや着脱衣時に片手がふさがった状態になります。
一方、ひじ掛け付き手すりは、体をもたれかけることができ、安心して動作ができます。スライドタイプだと、はねあげタイプよりひじ掛けを戻しやすくなります。
2)引き戸にする
外開き戸の場合は、扉に近づきすぎ、開くときに後ずさりが必要になります。また、方向転換が苦手で、ふらつくとそのまま転倒しやすくなるため、引き戸がおすすめです。
引き戸にできない場合は、後ずさりしないで開けられる位置の床に目印をつけましょう。
3)段差を解消する
すり足になりがちなため、段差での転倒の危険性があります。
4)暖房便座にする
便座が冷たいと体が動きづらくなるため、暖房便座がおすすめです。
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ポータブルトイレ
1)間仕切り・カーテンを取りつける
尊厳・プライバシーへの配慮。人から見られているなどの緊張感、不快感から体が動きにくくなることへの配慮からも必要です。
2)ポータブルトイレを設置する
夜間など、トイレまで歩く際に転倒リスクが高い場合はポータブルトイレの併用を検討しましょう。
3)ベッド用グリップ・据え置き手すりを取りつける
据え置き手すりを併用すると、移乗時に安心感があって体が動きやすくなることもあります。
4)消臭・防水シートを敷く
すり足がちなので、使用する場合はピンなどで止めて足を引っかけて転倒しないようにしましょう。
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脱衣所
脱衣所に手すりなどの支えを設置する
衣類の脱ぎ履きの際にふらつき、転倒する危険性があるので、手すりなどの支えを用意します。
面のある手すりを設置する
脱いだ衣類を拾うときの立ち座りには、面のある手すりを使うと、力を入れやすく、動作が安定します。狭い場所にはコンパクトタイプもあります。
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浴室
1)バスボードを置く
バスボード(入浴ボード)は背中の筋肉がこわばるため一人で使うのは大変ですが、介助付きで使用する場合には、浴槽への移動が座って行え安全です。介助が必要な人で、自宅のお風呂を使いたい場合には、一度デモ機などで確認をおすすめします。
2)浴槽台を置く
パーキンソン病は、病状の進行とともに円背にもなりがち。円背が進むと脚が浮いて入浴姿勢が崩れやすくなるので、浴槽台で入浴姿勢(前傾姿勢)を整えましょう。すべり止めマットの併用もおすすめです。
3)すべり止めマットを敷く
姿勢が崩れると戻しにくいので、足元のすべり対策に敷きます。
4)手すりを取りつける
5)入浴グリップを取りつける
横向きのまたぎ動作がしやすいよう、浴槽の端側に寄せて取りつけできるタイプがおすすめです。前向きにまたぐと、足より高くあげなければならず、入りにくく、転倒リスクもあります。
6)引き戸にする
パーキンソン病の人は方向転換が苦手、かつふらつくとそのまま転びやすいです。外開き戸の場合は扉に近づきすぎると後ずさりして転びやすくなるので引き戸をおすすめします。
7)シャワーチェアを置く
不快感で体が動きにくくならないよう、やわらかく、冷たさを感じないクッションです。通常の背もたれだと奥まで座れない場合は腰当タイプがおすすめです。
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リビング
面タイプの手すりをソファ前に置く
ソファはやわらかいので、座位姿勢が崩れやすく、立ち上がりもしづらくなりがちです。そこで面タイプの手すりを置くと、握らずにリラックスして姿勢を保ちやすく、立ち上がりやすくなります。
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玄関
段を付ける
スロープでは一歩目が出にくいため、段をつけます。段差をつけると足が出やすくなります。
足が出やすいですが、転倒に備えて動線に手すりを用意しましょう。
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対応策事例
事例①「日常生活において」
Aさんは見慣れない新人の介助者が話しかけると、無表情で一言も話さないのに、よく知っている介助者には笑顔で話し出すことがありました。パーキンソン病の理解がないと、「嫌われた」「わがままで」など捉えがちなので要注意。ちなみにこのときは、Aさんが好きな歌をBGMで流させていただくと、表情も和み会話されました。
事例➁「食事において」
Bさんは食べることが大好きですが、病状の進行とともにハシを使うのが苦手になり、そんなご自分に悲しくなり、食事中に動けなくなってしまうことが増えてきました。こんなとき、良かれと思って介助者がすぐに食事介助をし始めるのは、ご本人のプライドを傷つけ逆効果になることも。Bさんが好きな金時豆をお出しすると、体が動きやすくなってハシを使えるようになり、自信も取り戻してごはんや他のおかずも引き続き食べ進められました。
事例③「個室において」
施設の個室で暮らしているCさんが、居室の中で転倒されたことがありました。ご本人希望の家具の配置で、伝い歩きもできるようになっていましたが、ベッドから居室を出るまでの90度の方向転換が苦手になってきているようでした。そこでご本人とお話しし、ベッドから居室まで、まっすぐ歩ける動線を確保できる配置にすると、転倒はなくなりました。
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