廃用症候群

生活不活発病ともいわれ、日常の生活動作が低下したり、病気や怪我をきっかけに過度に安静することから起こる病気です。 生活不活発病ともいわれ、日常の生活動作が低下したり、病気や怪我をきっかけに過度に安静することから起こる病気です。

廃用症候群ってどんな病気?

生活不活発病ともいわれように、「やる気がでない」「外出がおっくうになる」「食事も入浴も面倒くさい」と感じ、日常の生活動作が少なくなることで起こる様々な症状の総称です。また、病気やケガをきっかけに過度に安静することで起こります。
廃用症候群は、若い人でも起こりますが、高齢者の場合は深刻な影響を受けるため、注意が必要です。

主な症状とは?

ケガや病気の治療のためとはいえ、安静にしすぎると、本人や周囲の自覚がないまま進行し、いつのまにか起きられない、歩くことができないといった状態になることもあります。
筋力や関節可動域の低下、内臓機能の低下、意欲の低下など心身機能が広く低下します。

筋萎縮 筋肉がやせおとろえる
関節拘縮 関節の動きが悪くなる
骨萎縮 骨がもろくなる
心機能低下 心拍出量が低下するため、疲れやすくなる
起立性低血圧 急に立ち上がるとふらつく(転倒・骨折につながる)
誤嚥性肺炎 唾液や食べ物が誤って肺に入り起こる肺炎
血栓塞栓症 血管に血のかたまりがつまる
うつ状態 精神的に落ち込む
せん妄 軽度の意識混濁の上に、目には見えないものが見えたり、混乱した言葉づかいや行動をする
見当識障害 今が何時なのか、場所がどこなのか分からなくなる
圧迫性末梢神経障害 圧迫性末梢
神経障害
寝ていることにより神経が圧迫され、マヒがおこる
逆流性食道炎 逆流性
食道炎
胃から内容物が逆流し、炎症がおきる
尿路結石 ・ 尿路感染症 尿路結石 ・
尿路感染症
腎臓、尿管、膀胱に石ができる。細菌による感染がおきる
褥瘡 床ずれといわれる皮膚の傷

予防と対策

廃用症候群の予防は、原因や因果関係を知ることから!

安静や運動量の低下が、どのようにして廃用症候群を引き起こすのか、その仕組みを知ることで廃用症候群の予防につながります。

ポイント1廃用症候群を招く3つのポイントを知ろう

“身体を動かさない”
ことで…
体力・筋力・関節可動域・
食欲・臓器の働きなどが低下。
最大筋力の20%未満の活動になると、筋委縮・筋力低下がおこりやすくなります。
“重力に抗わない”
ことで…
バランス力・血圧調整能力・
骨量などが低下。
宇宙飛行士が、地球に戻ってくると筋力や骨密度が落ちてます。これも無重力空間で重力の影響を受けなかったことが原因です。
“生活範囲が狭くなる”
ことで…
認知機能・生活意欲などが
低下。

ポイント2寝たきり(寝かせきり)は、急激に廃用症候群を招きます

筋力の低下・関節の拘縮(下肢、特に足関節が拘縮)
歩行が難しくなり、自力でトイレに行くことが困難になります。
血圧調整能力が衰える
上半身に水分が溜まりやすく、身体が水分量過剰と勘違いし利尿作用が進み脱水状態になります。
腸の動きが低下
便が出づらく、腸に水分を取られ便秘につながります。
残尿がち、かつ頻尿状態になる
膀胱炎などを引き起こします。

(あくまで一例です)

ポイント3廃用症候群の悪循環にご用心!

歳を重ねることで、関節の痛みや筋力のおとろえを感じることも多くなります。自力で動いたり歩いたりできるうちから、車いすやおむつを使用すると、さらに身体を動かす機会が減り、悪循環が生まれます。
また、高齢者が一度、廃用症候群になると、元の状態まで改善させるのが困難です。

「生活リハビリ」で廃用症候群を予防

廃用症候群にならないのは、日常生活動作を続けているからです。日常生活動作とは普段から無意識に行っている人間の効率的な動きで、筋力が落ちてきても動きやすい動作でもあるのです。日々の生活に必要な動作を続けることが、身体機能の低下を抑えてくれるのです。「生活リハビリ」で廃用症候群を予防しましょう。

福祉用具で環境整備

もし加齢や病気でべッドで過ごす時間が長くなってしまったら?

ベッドで過ごしがちになっても、普段の生活の中でほんの少し気を付けるだけで廃用症候群の予防につながります。

座る・背中を起こす

椅子に座る(座位をとる)ことや、ベッドの上で背中を起こし座る(または背中を起こす) ことから始めましょう
→ 電動ベッドの背上げ機能を利用
血圧の調整能力が保たれます

心臓よりも高い位置にある頭部に血液を運ぶため、心臓や血管の働きが活発になり血圧の調整能力が保たれやすくなります。

排便がスムーズにできます

便にかかる重力を利用でき、腸の角度も良くなり、いきみやすくなるため自然排便がしやすくなります。

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ポータブルトイレを利用する

トイレに座る「座位排泄」を行いましょう
→ トイレまでの移動が困難な方はポータブルトイレを利用しましょう。
  • トイレまでの移動が困難な場合(起立性低血圧や薬の副作用によるふらつき、身体の麻痺などがある方)べッドの側にポータブルトイレがあることで転倒のリスクが軽減されます。
  • 排泄は一日に数回あるため、貴重な離床(運動)の機会を作ることにもなります。
  • 足裏を接地し立つなど移動を伴うことで、覚醒度が向上しやすく、生活のメリハリが出てきます。
  • 座位をとることで排泄しやすくなります。
    重力を利用し、排泄しやすい腸の角度にでき前傾姿勢で腹圧がかけやすくなることで寝た状態(おむつ利用)よりも排泄がしやすくなります。
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