インタビュー[建築家:奥野 公章]

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PROFILE

奥野 公章 Okuno Masaaki
1973年、山梨県生まれ。
2004年 一級建築士事務所 奥野公章建築設計室設立。
http://okuno-room.com/

ーPHOTOBOOKに掲載された「和光の家」について、それぞれの建築コンセプトやポイントを教えてください。

「三代続く庭との建築」

和光の家は三代に渡りこの土地を継続してきたクライアントのための住宅です。祖父が造った家と庭、それを守るように北側に建てた二代目の家、そして三代目として祖父の造った家と同じ場所に、同じように庭を感じられる家をたて、土地を住み継いでいくことを望んでおられました。100年以上引き継がれてきたのは、初代から長い時間を経て築き上げてきた「庭」でした。施主が幼少期を過ごした初代の家は「茅葺の家」で、西側に庭を取り、広縁などでその庭に大きく開いた家だったそうです。今回の三代目となる家でもその「庭」に対して大きく開き、その環境を内部まで引き込むような空間をつくることをテーマとしました。大きく跳ね出す広縁部分は経年変化を考慮し鉄骨造で軽快に造り、開口には柱間(一間)がすべて開口できるよう木製サッシュを計画し、庭側の景色に対して、できるだけ建築部材を少なくし庭との一体感を感じられるよう設計しています。「庭」という環境を中心に、同じ敷地の中で新しい家を再構築して行くという試みで、建物のリノベーションとは異なる形の「場(環境)の継承」を目指した住宅です。

ーArchi-spec TOI を採用することで、どのようなメリットがありましたか?

大きく育った庭木は落葉樹も多く、軒樋をつけてしまうとメンテナンスに問題がありました。そこで和光の家では庭側は軒樋を設けず、アプローチとなる東側のみ軒樋を設けることにしました。Archi-spec TOIは破風板に寄り添う形状をしているため、破風板をArchi-spec TOIと同寸法、同色にすることで、軒樋がある部分とない部分の意匠に大きな差が出ず、ナチュラルに納めることができました。

ー今後、Archi-spec TOI に求めたいことがあればご意見ください。

Archi-spec TOIの様に、普遍的な建築のディテールに寄り添ってくれる既製品は少なく、多くはデザインの中の異物となってしまいます。Archi-spec TOIは充分その要求を満たす製品だとおもいます。今後は、樋以外の部材でもしっかりとデザインされ、ナチュラルに使えるものが増えることを期待します。



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