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2008年4月18日更新

「こんな暮らしがしたい!」あなたの夢や希望を実現するスタイルをご紹介します。

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“家時間”を大切にした住まい家

富山県氷見市ののどかな田園風景に建つ個性的な形をしたN邸。「外から覗かれない家にしたい」、「自宅で過ごす時間を大切にしたい」という、施主のNさんご夫婦の想いが自然と形になったものです。そのピラミッドのような形には、住まいへの想いをかなえる理由があったのです。

Point

  • 1.想いを詰め込んだら黒いピラミッドのような形に
  • 2.地域性を考慮した屋根勾配と構造で快適さを追求
  • 3.4つの中庭を持つコートハウスで明るい空間に
  • 4.吹き抜けと入れ子の効果で音響抜群のホームシアター

1.想いを詰め込んだら黒いピラミッドのような形に

のどかな田園風景が広がる市街化調整区域にぽつんと建つ黒いピラミッドのような形をしたN邸。その独特な形からカフェなどと間違って敷地内に入ってくる人も少なくないとか。れっきとした住宅で、それまで中心市街で暮らしていた施主のNさんが結婚を機に建てた住まいです。
知人を介して出会った建築家に、購入を考えているインテリアや家具を見せることからN邸のこだわりの住まいづくりがスタートしました。Nさんご夫婦の間取りへの要望は明確で、「ホームシアターが楽しめ、外から覗かれない家」という、プライベート時間を楽しめる空間とプライバシーを守りたいというもの。仕事柄、時間が不規則なNさんは、自宅で過ごす限られた時間を大切にしたいという想いもありました。
そんなNさんご夫婦の想いが詰まった家は、ガルバリウム鋼板に覆われ、外からは窓がなく、平屋なのに2階建てのような高さのある形になって誕生しました。実は、ピラミッドのような形には、Nさんご夫婦の想いをかなえる理由があったのです。

■立面図(西面)

ピラミッド型の内部は、圧巻の杉板張りの頂点。白い板色が明るく開放的な空間に。トップライトは70cm×70cmの正方形で、電動で開閉可能。


2.地域性を考慮した屋根勾配と構造で快適さを追求

N邸の構造はRC造と木造の2つの構造が使われ、富山地方で見られる伝統的な“わくのうち”と呼ばれるつくりを取り入れています。“わくのうち”は、大きな断面の梁と柱で囲まれた構造で、N邸では、大きな断面の梁部分はRC壁にアレンジして取り込んでいます。住まいの中心に5m×5mのRC打ち放しの壁面に囲まれた空間を入れ子に、周りを木造が取り囲む構造です。
四周にめぐらせた廊下の上部では、木造の構造とRCの構造が細い棒状のつなぎ材で支えられ、地震時のゆれ幅を抑える役割を果たしています。RC造の“わくのうち”が住まいの中心で、大きな屋根と建物全体を支える、伝統建築に裏付けられた構造になっています。
湿った重い雪が降る富山地方では屋根への積雪対策も欠かせません。自宅で過ごす限られた時間を大切に使いたいというNさんにとっても、毎日の雪下ろしでは、ゆっくりくつろぐ時間も確保できません。そこで取り入れられたのが、合掌造りの民家で見られる雪落としのための急勾配の屋根です。
N邸の屋根傾斜は60度。建築基準法では60度を超すと雪の積もらない屋根と見なされ、60度の屋根勾配を取り入れることで積雪荷重も緩和でき、部材の軽量化にもつながっています。部材の軽量化は耐震性やコスト面でも大きなメリットがあります。また、敷地が広いことから、滑り落ちた雪の融雪対策や処理費用もかからずにすんでいます。そして何よりも、冬場の雪下ろしに追われない、プライベートタイムをゆっくり過ごせる環境も手に入れることができました。

RC壁の“わくのうち”(中心の白い部分)を包み込むように木造が取り囲む2重構造。均等に並ぶ白いつなぎ材が地震時にゆれ幅を抑える。


3.4つの中庭を持つコートハウスで明るい空間に

ムク材を使った重厚な趣の玄関を入ると外のイメージからは想像のつかない、明るい空間が広がっています。N邸は、東西南北の4カ所に中庭を持つコートハウスで、外から覗かれる心配もなく、中庭に面した大きな開口部から通風や採光を取り込んでいます。
玄関を上がって廊下を東に進むと寝室などのプライベートゾーン、北に進むと和室の客間などのパブリックゾーンが広がります。この廊下は、ホームシアターのあるリビング・ダイニングを中心に四周にめぐらせた廊下で、角を3回曲がると玄関に戻ってきます。
四周にめぐらせた廊下の外側には居室やキッチン、トイレなどの水まわりと中庭が交互にゾーニングされています。玄関の北側に中庭があり、来客用トイレと北西角に和室、中庭を挟んでキッチンと北東角に書斎、中庭を挟んで南東角にトイレ・バス付きの寝室、中庭越しに南西角の子ども部屋が寝室から見えるようにゾーニングされています。
4カ所の中庭には、それぞれに春夏秋冬で名付けられ、春には梅の木、夏にはシャラの木などそれぞれ異なる木が植えられ、光と風と四季を建物内部に取り込む場になっています。特に雪や湿気対策からも偏西風を取り入れる中庭のメリットは大きく、カビや結露による住まいの劣化を軽減する役割も果たします。

■平面図(1階)

子ども部屋に接した中庭(冬)。この中庭が内部に光と風を取り込み、カビや結露からの劣化を軽減する。


4.吹き抜けと入れ子の効果で音響抜群のホームシアター

“わくのうち”の部分がNさんご夫婦こだわりのホームシアターを楽しめるリビング・ダイニングです。厚さ30cmの重厚なつくりのRC壁に囲まれ、開口部に工夫がされています。プライベートゾーンに近い南東面はブロックするように家具の壁面とスモークを張ったガラス、玄関に近い西面はスッと入りやすい、ガラスの引き戸で緩やかに空間を分けています。
ホームシアター導入では、配線設備も関わってくるため、早期のプランニングがポイントになります。Nさんは、建築家との2度目の打合せの時からプランニングをスタートしています。リビング・ダイニングが25uという広さからスクリーンではなく42v型の薄型大画面テレビを購入、音響は5.1chにしています。床下配線を施してスピーカーを四方に設置し、スタンド照明の位置もプランニングに反映、必要な場所に予めプランニングされた埋め込み型コンセントを使うなどコード類もスッキリ収められています。
将来の増設やプロジェクターへの変更も可能なように、予備の配線も取られています。音響の良し悪しにも関わる天井高は9mもの吹き抜けで、“わくのうち”の入れ子の構造がさらに音響に良い効果をもたらしたようです。吹き抜けから、天井部分には照明がつけられないため、RC壁の北・東・西面の3カ所にアクリル板で覆った建築化照明を採用、南面は廊下越しに入り込む自然光を取り込む透明ガラスを組み込んでいます。
ソファーのちょうど真上には、ピラミッド型の頂点部分と美しく張り巡らせた杉板の天井が広がります。頂点部分は自動開閉可能な天窓で、そこから光が差し込み、日時計のように刻々と差し込む角度が変化していきます。リビング・ダイニングの西側出入り口からは、廊下越しに中庭があり、そこからも日が差し込みます。中庭と廊下、リビング・ダイニングの3つの空間が連続して見えるつくりが広がり感と開放感のある空間になっています。

5m×5mのキューブのような“わくのうち”。薄型大画面テレビでのホームシアターを優先してプランニングされたリビング・ダイニング。


■建築概要

所 在 地

富山県氷見市

設計・監理

水野行偉(水野行偉建築設計事務所)

構造設計

佐藤淳

施   工

高田建設

構   造

RC造+木造/地上1階建て

敷地面積

743.05m²

建築面積

169.71m²

延床面積

169.71m²

竣   工

2007年2月

●主な外装仕上げ

屋根:
ガルバリウム鋼板AT葺き
外壁:
ガルバリウム鋼板仕上げ

●主な内装仕上げ

壁:
コンクリート打ち放し
床:
ローズウッド張り
天井:
デッキプレート OP塗装

●主な設備機器

うす型大画面プラズマテレビ「ビエラ」42v型、埋込み型コンセント

■平面図

■立面図


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