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最寄り駅から約1kmという距離にありながら、周りに高い建物もなく、緑も豊富な好立地に建つS邸。モノトーンのシンプルでスッキリとした外観が目をひく3階建ての住まいです。
以前の住まいは施主のSさんが独身時代から住んでいた2DKの賃貸マンション。結婚して2人暮らしとなり、お子さんが生まれて3人暮らしに。最初はマンションも視野に入れていましたが、インテリアに目が利く奥様とソファなどの家具を吟味しているうち、「インテリアに合う空間を。デザイン性を重視しよう」と考えるように。ある程度間取りや広さが限られてしまうマンションより、「選んだインテリアにふさわしい空間づくりができる戸建てに」という結論に達しました。
共働きゆえ、互いの職場に通いやすく、お子さんの子育てにおいても環境のよい現在の土地を購入したのが2005年12月。「30坪の狭小地を解消するために3階建てにする」、「風・光が存分に通り抜ける開放感あふれる空間」、そして当初の希望通り、「インテリアに合わせたモダンスタイルの家」――の3点を柱に、プランづくりが始まりました。
2階ダイニング・キッチン。お気に入りのテーブルのサイズに合わせてダイニングの広さを決めるなど、インテリアに合わせたゾーニングを重視。
南側の2階と3階部分の大開口と4m94cmの吹き抜けのため、風通しと採光性、開放感に富む。
土地購入の直後からプラニングを始めたSさんご夫婦。仕事柄、住まいへの知識が豊富だったため、Sさんご自身が時間をかけて、入念に平面レベルの設計を行いました。建ぺい率60%、容積率200%と建築条件はよかったものの、最大のハードルとなったのは道路斜線制限のため、南側の空間を最大限に利用できないかという問題。
この難問には、2階南東部に洗濯物干し場としてバルコニーを設置し、天空率を利用してクリア。全天に対する建物部分を除いた空の割合(=天空率)を計算し、一定の基準を満たすことが証明できたために、斜線制限を回避し、南側の空間を最大限に利用した3階建てを実現することができました。
さらに、フレームや梁が格段に強い耐震工法を採用し、「絶対に確保したかった」最大3台分の駐車スペースと、開放感あふれるリビングを実現しています。
「細かく区切らない大空間のためにも、最初から今回の耐震工法に的を絞っていた」というSさん。木材と鉄骨を組み合わせた複合梁と柱材による門型のフレームを採用した工法で強度を高めています。それにより柱や耐力壁の制限が軽減され、開口部を広く確保でき、居住スペースは従来の工法では難しかった大空間を可能にしました。
2階吹き抜け上部にあたる3階の南東部分の行き止まり廊下も、耐震性増強のためのもの。避難経路の役割も果たします。吹き抜け側の壁の下方には、吹き抜け全体にやわらかな光を放つ間接照明を設置。「最初はこの部分も吹き抜けにしようと思っていた」というSさんですが、お子さんにとっても“秘密基地”的な場所となり、「ライトもいい光を放ちますし、結果的にはよかったです」と満足そうです。
耐震性を強化するための廊下が、3階建ては確保が必要な避難経路の役割も果たす。右手ドアは、子ども部屋へ。
モノトーンのシンプルでスッキリとした外観。道路斜線制限をクリアするために、天空率を活用して東側にバルコニーを設けている。
木造住宅ながら、頑強な構造で天上高4m94cmの大空間を実現。ソファでくつろぎながら家中が見渡せる。上部は、3階のプレイングルーム。
かつては店舗設計にも携わっていたという奥様が見立てた家具は、シックにまとめられ、シンプルモダンでハイセンスなものばかり。「選んだ絵やインテリアが映える空間にしたかった」というS邸は、2LDK+プレイングルーム+屋上(ルーフテラス)。
1階南側にビルトインカレージ、広めの玄関を入って右側には10畳の主寝室と、3.5畳のウォークインクローゼット。家族が集うリビングダイニングキッチンと水回りは2階に。奥様が吟味したインテリア家具が存在感を放つショウルームのようなオープンリビングは3階まで吹き抜けとなっており、「一般的な住宅の2倍はある」という大きなサッシから、風と光が通り抜けます。耐震工法を用いたことで狭小地とは思えないほどの広がりを持つリビングダイニングを実現できました。
光にあふれた3階は、吹き抜け奥の西側にプレイングルーム、東側にはお子さんの部屋となる洋室が設けられています。ユニバーサルデザインの可動間仕切りを開けば12畳のオープンスペースとなり、お子さんの友だちが訪れたときも、ゆったりと遊びに興じることができます。ルーフテラスに上れば、見晴らしもよく、バーベキューやビニールプールも楽しめる十分な広さ。
インテリア関係は奥様が選び、「玄関を広く、対面キッチンにという希望以外は、すべて夫にお任せ」と、建物全般に関することはSさんが一手に引き受けました。「基本的に趣味が同じ。大きく外れたことがない」という互いの信頼感・安心感ゆえに成り立つ役割分担が、スタイリッシュな空間を生み出しています。
S邸では、シーリングライトやペンダント照明は使わずにダウンライトを採用。天井面をスッキリさせて、実際よりも高さを感じられるようにしています。調光機能を付けたことで、雰囲気を演出したり、使わない時は照度を落としたりして使い分けています。
キッチンカウンターからは、目の離せない小さなお子さんの姿を確認。IHクッキングヒーター採用で、機能性とともに安全面も確保。
「広く取りたかった」という奥様の要望通りの広い玄関。ダウンライトは、調光機能付きスイッチで明るさを調整できるなど省エネへの配慮も。
3階プレイングルーム(中央)と子ども部屋(左)の間仕切りは、可動タイプの引き戸を採用。
共働きで小さなお子さんがいるSさんご夫婦にとって、機能的な動線と手入れのしやすい設備は必要不可欠です。バスルームや洗面室などの水回りをキッチン近くに集中させたことにより、作業効率がアップし、家事もはかどるようになりました。
小さなお子さんがいることから、空気の質や安全面にも配慮してオール電化を採用。食器洗い乾燥機や洗濯機は、電力料金が安くなる深夜電力を利用してタイマーで稼働させるなど、省エネへの工夫も忘れていません。手入れが楽な床材選びや、バルコニーとは別に洗面室にも室内干しを確保したのも、共働きを強力にサポートしてくれる選択だったようです。
S邸の建物高は10m弱。10mを超えると中高層建築物となり、「建築計画のお知らせ」という看板を建築敷地に接する道路に設置する期間を設けなければならないため、工期に影響が出るからです。からです。そのため、各フロアの天井は2m30cm〜2m35cm程度と決して高くありませんが、ドアなどの建具を天井高までとり、さらに照明をすべてダウンライトにすることで高さ感を出しました。雰囲気を演出したりなど明るさを調節できるよう、調光機能付きのスイッチにしたことで省エネに、一役買っています。
「デザイン性を重視した」というだけあり、都会的センスにあふれた住まい空間ながら、省エネを意識した照明やオール電化の採用など、機能面にも十分配慮が行き届いているS邸。スタイリッシュでいながら耐震性にもすぐれた住まいからは、今日もかわいい盛りのお子さんとふれあうご夫婦の笑い声が聞こえてきます。
作業効率を優先した、家事を楽にしやすいキッチン。後片付けもスムーズにはかどる、たっぷりの収納スペースも確保している。
雨天の日も洗濯物を干せるスペースを洗面室に確保。「使用しないときは上部に収納して邪魔にならないし、重宝しています」と奥様。雨天時の洗濯も強力にサポート。左手は、タオルやちょっとした衣類など収納する棚を配置するなど家事がはかどる工夫も。
所 在 地 |
: |
東京都東久留米市 |
設計・施工 |
: |
藤和ハウス |
構 造 |
: |
テクノストラクチャー工法 |
敷地面積 |
: |
100.03m² |
建築面積 |
: |
59.20m² |
延床面積 |
: |
151.12m² |
竣 工 |
: |
2006年12月 |
工 期 |
: |
約120日 |
工 事 費 |
: |
約2,400万円 |