デザインを進める中で、力を注いだ点は?
植原:様々な生活圏の中にいる人々に対してアプローチするために、絵柄同士のバランスに気を配りました。当たり前のことなんだけれど、人にはそれぞれの趣味趣向があって、みんなに好かれるひとつのデザインというのは存在しない。そこで数多くのラインアップを用意するんだけれど、なるべく多くの人に受け入れられるデザインをすることでそれが凡庸になってしまうこともあるので、その中で如何にキギのグラフィックデザインの質を落とさずに両立するかというところが肝になっています。
渡邉:DESIGN WALLの絵柄はお客様自身が選ぶものなので、そのプロセスを楽しめるようなデザインを心がけました。グラフィックやフォトコラージュ、イラストレーションという3つの切り口で絵柄のバリエーションを制作していったのですが、それぞれの手法の持ち味を活かしながら試行錯誤することで、キギらしさと親しみ易さをきちんと両立したところに着地することが出来ました。
植原:それから浴室空間と絵柄の相性も大きなポイントだったのですが、i-Xのデザインの特性上余計な物が無く、光も綺麗に設計されているので、 絵の強みを最大限に活かすことが出来たように思います。
渡邉:プリントの質が予想を上回っていたことにも驚きました。とてもよく壁に馴染んで、違和感無く浴室の中に入り込める質を担保してくれていた。デザインされた絵柄をプリントして貼るという造作の中で、どれだけ自分達の思い描くイメージを忠実に再現出来るかという点を懸念していましたが、その難しさを感じさせないような技術が下地にあることは大きかったですね。