プロジェクトの依頼を受けたときの印象は?

植原:僕自身は2006年からi-Xのプロモーションに関わっていたこともあり、浴室の壁紙の可能性についてはぼんやりと考えていたんですね。パターンの壁紙やタイルの魅力というのはもちろんあるのですが、実際にそれを使用するユーザーの目線に立ってみた時に、もう少し違ったラインアップがあってもいいんじゃないかなという気がしていました。 そういったタイミングでこのプロジェクトの話を頂いたので、皆がうっすらと考えてきたこと、こういったものが欲しいなという想いが自然と立ち現れた結果がこういったプロジェクトに繋がったのではないかなと思っています。

渡邉:日本で壁紙というと、シンプルな色や素材が基調になっていることが多いと思うんです。これは私が自分の部屋を改装した際に実感したことなのですが、数多くのラインアップがあるとしても、部屋のイメージを強く規定してしまう壁紙はどうしても無難なところに落ち着いてしまう。けれど、このお話を頂いた時に、お風呂の壁であればその可能性が広がりそうだなと想像を掻きたてられました。湯船に浸かりながらリラックスするお風呂場の中で、例えばそこに風景を埋め込むことで遠くの景色を想像するだろうなとか、入浴の度に楽しげな気持ちにさせてくれるようなパターンがあれば素敵だなとか、無地ではない壁の様子を思い描くのはとても楽しかったですね。