事例から学ぶケアマネに好かれるコツ

ケアマネが感動する
「訪問と連絡のタイミング」とは?

福祉用具専門相談員の皆さん、ケアマネジャーの事務所に訪問、連絡をするタイミングをどう考えていますか?営業のために事務所に訪問しても、肝心のケアマネジャーが不在だった、在席していても忙しそうで迷惑そうにされてしまった、というような経験もあるのではないでしょうか。多忙なケアマネジャーさんから信頼を得て新規獲得していくためには、訪問や連絡のタイミングを工夫し良い「きっかけ作り」をすることも重要です。

ポイントその1

新たな依頼につながる「きっかけ」づくり

今回は新規の福祉用具事業者に依頼をする「きっかけ」について、ケアマネジャー同士の質問と回答を通じてヒントを探ってみましょう。

ケアマネをやっているとさまざまな事業所とお付き合いが発生しますよね。私は福祉用具事業所は大体メインで3社を中心に使っていて包括から受けた方がもともと使っていたとかがあると増えていく感じです。最近熱心に営業に来られる福祉用具事業所の方がいるのですが、なかなかきっかけがなく仕事ぶりもわからないのでお願いできていません。
皆さんはどのようなきっかけがあったら新規事業所に依頼されますか?

タイミングですね。用具の希望があったときに来てくれるところですね。運任せなところもありますが、なぜか、タイミングの良い方はいます。逆もまた然りですが。

新規事業所の場合、他のケアマネが利用していれば、他のケアマネとのやり取りを見て「使ってみよう」と思えば使おうとしてみますし、「ちょっと危なっかしい」という状況ならばスルーするという感じです。

色々話しながら福祉用具専門員としての意見や考えなど商品アピール以外のところやキャラクターを見ているかな。

多忙なケアマネジャーにとって、タイミングが悪い営業訪問は負担に感じてしまう場合もあります。一方で、「タイミングがいい」と受け止められると、すんなり依頼につながるラッキーなケースもあるようです。
また、営業以外の日常業務のやりとりから対応の良さや専門的意見の有無、福祉用具専門相談員のキャラクターの印象を見て、相談・依頼するケアマネジャーもいるようです。
ケアマネジャーと効果的にコミュニケーションを取り、信頼を築き、新たな依頼につなげるためには、訪問や連絡のタイミング、伝え方が重要なポイントです。

ポイントその2

「いいタイミング」とは

それでは、ケアマネジャーが「いいタイミング」と感じるのはどのような時でしょうか?ヒントを次の2パターンから探ってみましょう。

  • 1.利用者さんのケースや都合に合ったタイミング

    利用者さんの退院が迫っている、転倒や急な体調変化で福祉用具を見直し・追加したいといった、迅速・柔軟な対応が必要なタイミングは相談員の腕の見せ所です。このような場面で、連絡を取りやすい、状況があいまいでも相談に乗ってくれる、的確な用具選定や説明ができる、納品までの段取りが上手といったスマートな対応ができると、ケアマネジャーの信頼をがっちりつかむチャンスとなります。
    ただ、利用者さんの状況は予測できないことも多いため、事前にタイミングを把握するのは難しいかもしれません。しかし、いつそのタイミングが訪れても対応できるように、商品知識や説明パターンを増やし、準備しておくことは可能ではないでしょうか。

  • 2.月初の実績入力中は事業所で給付管理・日程調整

    利用者対応が必要な時以外でも、多忙なケアマネジャーにとっての「いいタイミング」を知ることで、アプローチのチャンスを見つけていくことはできます。
    ケアマネジャーの業務は基本的に単独でも遂行できるため、進め方は個人差が大きいといえます。また個々のケアマネジャーの業務内容も事業所によって異なります。そのような多様性はありますが、ひと月単位でのケアマネジメント業務のおおよその流れを知っておくことで、ケアマネジャーの状況や「いいタイミング」をイメージしやすくなります。
    以下の図は、あるケアマネジャーの1か月の流れをしめしたものです。

    緑→事業所での作業が比較的多い
    赤→給付管理・請求担当者が忙しい時期
    黄→利用者宅訪問が多い

  • 3.月初の実績入力中は事業所で給付管理・日程調整

    ケアマネジャーは月初、事務所での作業が多く、実績入力や報告書の作成に集中しています。この時期に無計画な訪問をすると「今じゃない!」と感じさせてしまうことも。
    一方で「月初でお忙しい中すみませんが〇時頃はご在席ですか?」と事前アポを取ることで、比較的受け入れてもらえ、未担当のケアマネジャーにも挨拶ができるかもしれません。

  • 4.月中~月末は利用者宅訪問で不在がち?

    月中はケアマネジャーがモニタリングや担当者会議等で外回りしており「つかまらない」ことが多い時期です。一通り利用者宅訪問等が終わって事務所に戻ってからも、記録や連絡調整に追われており、運よく会えてもじっくり話ができなかった、なんてことも。逆に、モニタリング訪問や家屋調査に同行することができるタイミングで福祉用具の新情報を提供すると「この場で助かった!」となりケアマネジャーさんとの信頼関係が深まるチャンスが潜んでいたりもします。

  • 4.月末は実績提出やモニタリング報告などを口実に

    利用者宅でのモニタリングやアセスメントを経て、記録作成やケアプラン作成を進めているケアマネジャーにとっては、各サービス事業所からのモニタリング報告や意見が必要なタイミングといえます。そのような時に報告書などを持参すると、話もしやすく、「ちゃんと情報提供をしてくれるな」と思ってもらえる機会にもなりやすいですね。
    ケアプラン連携システムの利用が推奨されている昨今ですが、紙面での実績報告を行っている事業所も少なくありません。月末までサービス実績が確定しない訪問介護などのサービスと違い、福祉用具サービスは早めに実績が確定することで差をつけられます。他のサービスに先駆けて実績報告をすることで、迅速さを印象づけられるかもしれません。

ポイントその3

ケアマネジャーに喜ばれる情報提供や連絡の工夫

続いて、多忙なケアマネジャーに受け入れられやすい情報提供や連絡のポイントを解説します。

  • 1.利用者に関する情報はいつでも歓迎

    モニタリング時に把握した利用者の体調や希望、福祉用具の使用状況は、ケアマネジャーにとっても大切な情報です。このような情報とともに、相談員としての意見や提案、新商品についても積極的に伝えていけると「利用者を理解した上で提案してくれた」と受け止めてもらえます。

  • 2.基本の「報・連・相」こそ大切に

    ケアマネジャーから相談を受けたときに、迅速な対応だけでなく、「納品済み、引き上げの連絡をきちんとする」「正確な単位数一覧を早く提示する」といったこともしっかり行うことで、「報連相がしっかりしている」とケアマネの信頼につながります。
    デモ対応をする場合も、予定期間や利用決定時の開始日などの連絡・確認を忘れずに行うようにしましょう。

  • 3.事業所訪問以外の接点も大きなチャンス

    事業所への訪問以外にも、すでに担当している利用者さんがいる場合、ケアマネジャーの利用者訪問に合わせて点検・モニタリング・デモ対応をする、担当者会議や退院前カンファレンス、家屋調査に積極的に参加するなど様々な場面を、情報提供に活かすこともできます。
    また、福祉用具専門相談員が直接利用者さんやご家族とコミュニケーションを取っている姿は、ケアマネジャーに安心感を与え、「あの利用者さんのことも相談してみよう」と思わせるきっかけになります。

  • 4.連絡手段の選択肢はたくさん持っておく

    ケアマネジャーが活用する連絡ツールやその使い方は様々です。事業所の電話やFAXを通じて連絡してほしいという方もいれば、個々の携帯電話でタイムリーに通話やSMSで連絡を取りたい方、スマホの連絡アプリで情報を共有したい方、PCメールに添付して送ってほしい方もいます。中には、メールでは齟齬が生じるため直接通話を希望するケアマネジャーもいれば、文字情報で送ってもらいじっくり読みたいと考えるケアマネジャーもいます。このように、ケアマネジャーの仕事スタイルは大きく異なります。
    そのため、事業所に応じた連絡手段やケアマネジャーが希望する連絡方法を把握し、柔軟に対応できるようにしておくことが大切です。そうすることで、「連絡しやすい」と感じてもらい、より円滑なコミュニケーションを築くことができます。

ポイントその4

信頼を得るための実践アイデア

最後に、今までのポイントをまとめた具体的な工夫を3つ紹介します。

  • 1.訪問タイミングを事前に確認

    ケアマネジャーのスケジュールに配慮し、適切なタイミングで訪問や連絡を行えるように意識してみましょう。機会があれば、ケアマネジャーが月内の業務をどのタイミングで行っているのか、利用者宅訪問に行く時期や、日々の帰社時間など話題にしてみるのはいかがでしょうか。コミュニケーションのきっかけになるかもしれません。

  • 2.情報提供は簡潔かつ的確に

    多忙なケアマネジャーには、長々とした説明は避け、要点をまとめた情報を提供しましょう。特に、利用者の近況や福祉用具の使用感、利用者からの声など、ケアマネジャーの業務に直接役立つ情報は鮮度も大事。遅滞なく伝えると効果的です。

  • 3.迅速な対応で信頼を勝ち取る

    福祉用具の搬入や調整の依頼に迅速に対応し、その進捗を適宜報告することは、「信頼できる相談員」としてのポジションを確立するために非常に重要です。
    先ほどのケアマネジャー間の質問でも、「ほかのケアマネジャーとのやり取りを見て、使ってみようと思うことがある」という回答がありましたが、このような日々の対応は、まだお付き合いのない他のケアマネジャーにも意外と注目されています。そのため、「次は自分も相談してみようかな」と思わせるきっかけにつながる可能性は決して少なくありません。信頼を得ることで、他のケアマネジャーからの依頼も増え、さらなる信頼を築くことができます。

多職種連携も営業も相手に合わせたタイミングと情報共有が要

介護はチームで取り組むもので、多職種連携と呼ばれています。その連携のしやすさは、仕事の質に直結します。そして、連携の中心となるのは「コミュニケーション」です。ケアマネジャーにとって、コミュニケーションが取りやすい相手は信頼できる仕事のパートナーとも言えます。そう考えると、相手に合わせた訪問や連絡のタイミングを工夫することが、どれほど重要かがわかりますね。
スケジュールへの配慮、簡潔な情報提供、迅速な対応を心がけ、ケアマネジャーにとって欠かせない存在を目指しましょう。
今回の記事を参考に、あなたの訪問や連絡のタイミングを見直してみてはいかがでしょうか?ケアマネジャーから「ありがとう!」の声が増え、相談員としてのスキルもレベルアップすること間違いなしです。