リノベーションなら
もっと自由に

「ケーススタディモデルズ」誕生秘話に見る、型にはまらない理想の家づくりのヒント

リノベーションならもっと自由に

自分にとっての理想の家って、何でしょう?最近はネットや雑誌でいろいろな住宅の写真やセンスのいい住み方のイメージを目にすることができますが、それを参考にするだけで自分らしい理想の家はできるのでしょうか?

TOKYO リノベーション ミュージアム(TRM)の「ケーススタディモデルズ」のコーナーでは、
10分の1サイズの精巧な模型を使って、リノベーションによる自由な家づくりをご紹介しています。

今回のイベント「リノベーションならもっと自由に」では、この模型の「4つのリビングがある家」、「一戸建てのようなガーデンのある家」を設計した一級建築士・五日市洋平氏(パナソニック株式会社)が登壇。斬新なアイディアがどのようにして生まれたのかを振り返りながら、型にはまらない理想の家づくりのヒントを語りました。

※以降の本文中は「リノベ」と表記します。

五日市 洋平

パナソニック株式会社 デザインセンター
五日市 洋平 さん

一級建築士。株式会社日本設計、自身の建築設計事務所を経て、2018年よりパナソニック株式会社。パナソニックの建設・まちづくり事業における建築設計・デザインに携わっている。

水回りも寝室も、家全部をくつろぎの場に

「4つのリビングがある家」を上から見た光景。リビングの性格ごとに仕切られています
「4つのリビングがある家」を上から見た光景。
リビングの性格ごとに仕切られています

「4つのリビングがある家」には2つのアイディアの素(もと)がありました。

まず、「くつろぐ」ってどういうことだろう?という疑問です。リビングは何でもできる「くつろぐための空間」ですが、何でもできるからこそ、特に目的のない漠然とした場所になってはいないでしょうか? そして食事や入浴、就寝なども大切なくつろぎの時間なのに、水回りや寝室は生活の“裏”の空間になっているような気がしていました。

そんな時に、以前訪れたイタリアの世界遺産の建物を思い出しました。16世紀ルネサンスのパッラーディオという建築家設計の別荘です。この建物は裏表のない対称形のプランになっていて、全ての部屋が明るくて風通しが良く、どの部屋にいても等しく居心地が良かったんです。

こういった日常生活で感じている疑問や旅先での空間体験が実際の設計につながりました。

入口からすぐの場所にある「ケーススタディモデルズ」のコーナー
入口からすぐの場所にある
「ケーススタディモデルズ」のコーナー

そもそも、「〇LDK」という間取りに人の生活は当てはまるのでしょうか? リノベ前の3 LDKという型にはまった間取りの考え方を捨ててみたらどうだろう。そして、食事や睡眠や入浴など日々の暮らしの時間一つ一つに寄り添い、それぞれのくつろぎを丁寧に考えてみる。そのようにして出来上がったのが、家全体をくつろぎの空間として捉える「4つのリビングがある家」です。

左がBEFORE、右がAFTER。同じ大きさの4つのリビングで間取りができています
左がBEFORE、右がAFTER。
同じ大きさの4つのリビングで間取りができています

「4つのリビングがある家」では、その名の通り、思い切って家を4等分し、どの部屋も優劣がない「リビング」にしています。水回りや寝室は、機能を満たすためだけのバックヤードではありません。家の中全部が「リビング」で、玄関や廊下もありません。そしてそれぞれ、「①眠りのリビング」、「②食のリビング」、「③癒やし・身支度(みじたく)のリビング」、「④趣味と交流のリビング」といった性格を持たせています。

もちろん、これら4つの使い方は一例にすぎません。一つ一つの部屋に自分だけのこだわりを詰め込むことができる、住み方の想像が広がる家なのではと思います。

あえて余白をつくって、生活の可能性を広げる

一戸建ての魅力の一つでもある庭(ガーデン)をマンションでも楽しめる「一戸建てのようなガーデンのある家」
一戸建ての魅力の一つでもある庭(ガーデン)をマンションでも楽しめる「一戸建てのようなガーデンのある家」

「一戸建てのようなガーデンのある家」にも、「4つのリビングがある家」と同じように2つのアイディアの素がありました。

「一戸建てとマンションってどちらがいいんだろう。一戸建ては庭やテラスなどの外部空間が自由につくれるね」という私と妻の家づくりについての会話が1つ目です。 もう1つは、モロッコの旅で体験したパティオ(中庭)の空間です。そこでは、光と風が入ってくる開放感と、屋内のリビングのような安心感が共存する居心地の良さを感じました。

モロッコのホテルのパティオ
モロッコのホテルのパティオ

設計にあたってまず考えたのが、マンションでも庭付きの一戸建てのように暮らせないかなということです。

庭があるということは、日々の生活や将来のライフスタイルの変化に応じて、生活の可能性を広げる余白があるということなのではと思いました。マンションでは専有部を目いっぱい効率的に使い切ってプランニングするのが普通ですが、最初から100%完璧につくりこまず、必要最小限の生活空間だけをつくって残りは自由に楽しめる余白と考えてみました。

バルコニー側に「余白=ガーデン」をつくっています
バルコニー側に「余白=ガーデン」をつくっています

こうして出来上がった「一戸建てのようなガーデンのある家」の基本的な生活空間は、必要最低限の範囲で完結。バルコニー側の残りの部分は構造躯体(くたい)をむき出しのまま残し、モロッコのパティオのような屋内も屋外も感じられる空間(=ガーデン)にしました。

このガーデンは、例えばアウトドアリビングのように日常の生活を広げてくれるし、将来、ライフスタイルの変化に応じて子ども部屋や仕事場などをつくることもできるでしょう。まるで一戸建ての庭のように生活をアップデートできる「余白」のある家をつくってみました。

理想の家づくりをするための4つのヒントとコツ

2つのケーススタディから、理想の家づくりのポイントを4つにまとめてみました。

理想の家づくりのヒントとコツ
POINT1
普段の生活の感覚や気付きを大切にしよう
POINT2
自分がリアルに心地良いと思ったり、感動した体験から住まいを考えよう
POINT3
自分の生活を枠組みにはめない。ちょっと視点をずらしてみよう
POINT4
現実的な問題から考えすぎない
(畳数 ≠ 心地よさ / 収納 / 今持ってる家具にこだわらないetc.)

ネットのイメージや住宅雑誌を単純に真似するだけで理想の家ができるとは限りません。自分の普段の生活や体験にもヒントがあるものです。また、「〇LDK」などの間取りの常識にとらわれず、自分らしい視点を持つことも大切です。

加えて、最初から収納や畳数など現実的な事柄だけにこだわりすぎても、自分だけの居心地の良さを考えるときの邪魔になってしまうかもしれません。

  • 自分にとっての理想の家を考えるときの手がかりにしてみよう
  • リアルな感動体験や普段感じていることを設計者と共有してみよう

このような視点が、家づくりを考えるときの手がかりの一つになるんじゃないかと思います。また、設計者ともこのような切り口でコミュニケーションをとってみてください。例えば旅先での感動体験とか普段の生活で感じていることを、設計者と共有してみてください。創造力をふくらませたいろいろな提案が出てくると思います。

リノベだからこそ、もっと自由に楽しもう

マンションのリノベは制約があるものの、工夫をすれば、2つのケーススタディのようにリノベだからこそできる空間を実現できます。制約を障害ととらえず、むしろそれを利用するくらいの気持ちで、リノベを自由に楽しんでみてください。

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    TOKYO リノベーション ミュージアム

    TOKYO リノベーション ミュージアムでは、建築家やインテリアコーディネイターを講師に迎えたセミナーや、リアルサイズでリノベーション後の空間を体験ができます。自分らしいリノベーションを探しにきてはいかがでしょうか。

    https://sumai.panasonic.jp/trm/