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自分に合った住宅ローンの選び方と将来を見据えた返済プラン 最新の住宅ローン金利動向と住宅購入のタイミング

現在の住宅ローンの金利は、長期固定金利の低金利が続いています。消費税増税(2017年予定)の影響や、住まいづくりのトータル費用について、CFP®で岡山商科大学専任講師の海宝賢一郎さんにお聞きしました。

CFP®・宅地建物取引士
海宝 賢一郎 氏

1. 金利の動向と消費税増税を合わせて住宅購入を考える

Q最近の住宅ローンの金利の動向を教えてください。

A住宅ローンの金利は、非常に低い状況で推移しています。

現在の住宅ローンは、長期固定金利を低金利で組むことができます。金利が数か月で極端に上がることは考えにくいですが、金融緩和の引き締めが始まると、金利は上がっていくと予想できます。住宅ローンは数十年かけて返済していきますので、先々のことを考えた住宅ローン選びが大事です。
景気が回復してインフレになり、金融政策等で1年に4回利上げが行われ仮に0.25%ずつ上がると1年で1%、3年で3%上昇することになります。変動金利の過去の金利(店頭金利)を見ると、バブル経済だった1991年は金利が8.5%だったこともあるので、5~6%に上がる可能性もあります。変動金利が上がってから、変動金利から長期固定金利に変更しようと思っても、その時には長期固定金利も上がっているものと思われます。変動金利を選択する場合は、将来5~6(1.5%の金利優遇があれば3.5%~4.5%)%に上がっても返済できるかシミュレーションしておく必要があります。
現在は全期間固定金利が融資率(※)9割以下の場合は2%をきっているので、特に返済に不安がある方や所得が低い方は、フラット35などの全期間固定金利をおすすめします。

※融資率は、フラット35のお借入額割る住宅の建設費または住宅の購入額

Q2017年からの消費税増税の影響は?

A消費税の増税だけでなく、住宅ローンの金利の動向も合わせて考えましょう。

消費税が8%から10%に増税された場合、2,500万円の住宅なら50万円の増額です。しかし現金で50万円が必要なのではなく、全て住宅ローンに組み込めます。現在は、住宅ローンの金利が非常に低いため、消費税の増税より、金利の上昇を考えた住宅ローン選びが重要です。
消費税の増税が2015年10月から2017年4月に延期されました。それに伴い、住宅ローン減税の最大控除額の拡充とすまい給付金についても、2019年6月まで延長されました。すまい給付金は、所得に応じて最大30万円が給付されます。
すでに住宅購入を考えている方は増税前に検討するのもよいでしょう。ただし、増税前は駆け込み需要が予想され、増税後は反動で住宅価格の下落も考えられます。いつ、どのように、どのような住宅を建てるかよく考える必要があります。

消費税増税と住宅ローン金利が上昇した場合の住宅購入費用の違い

●試算条件
建築費用:2,500万円(土地の購入代は別・土地購入代金には消費税はかかりません)
借入金額:3,500万円(ボーナス返済なし)
借入期間:35年

同じ2,500万円でも消費税が8%から10%になると50万円の増額。金利が0.3%上昇すると約177万円の増額。

消費税が8%から10%に引き上げられるよりも、住宅ローンの金利がわずか0.3%上昇するだけで、総返済額が増えます。

  • ※住宅ローンの金利は、計算上わかりやすく設定したもので、現状の金利とは異なります。また、総返済額は繰り上げ返済等をしない場合の総額になります。

2. 住宅購入のタイミングを考えてトータル費用を試算する

Q住宅購入のタイミングが分かりません

A先々の状況が見通しにくい時ほど、初心にかえり自分に合った住まいづくりをすることが大切です。

消費税の増税前に購入すべきか、増税後は増税前の駆け込み需要の反動で住宅の価格が下がるのではないかなど、先の見えない経済状況では、住宅の購入を迷われる方も多くいると思います。景気がよくなれば土地の価格は上がりますし、増税後に売れ残った新築マンションなどは価格が下がるかもしれません。
先行きが分からないときこそ、消費税や金利などまわりの状況を見るのではなく、自分や家族のライフプランニングを考えるべきだと思います。例えば、子どもの進学のタイミングや、職場からの通勤の距離など、数十年先を考えて購入すれば、将来後悔することはないと思います。今ある優遇制度を最大限に活用し、無理のない住宅ローンを組みましょう。

マンション購入予定の場合は、竣工までの期間を考慮する

マンションの購入をお考えの方は、契約時から竣工までに半年から1年程度かかるケースが多いと思います。民間金融機関の住宅ローンは、引き渡し実行ベースなので、契約時より金利が上昇している可能性が考えられます。引き渡し前の2~3か月前に、契約した住宅ローンの金利の状況を見ておくとよいでしょう。金利が変わり、返済が難しくなる場合は、あらためて住宅ローンの設定を見直してもらうようにしましょう。その点、財形住宅融資は、申し込み時の金利がそのまま適用になるので安心です(ただし、5年ごとに金利が見直されます)。

Q頭金が足りません。今年の住宅購入はあきらめたほうがいい?

A住宅購入は、タイミングが大切です。

場所や広さ、価格…さまざまな希望の条件にぴったりのまさに理想の住宅が見つかったけれど、頭金が足りない場合、どうするか?確かに、頭金は購入価格の2割は用意するようにと一般的に言われています。頭金が多いほうが金利の低い金融機関で借りれたり、借入額が少なくなる分毎月の返済額が少なくなるなど、メリットは多いのです。ただ、頭金が足りないからといって、せっかく条件に合う住宅を見つけたのに、あきらめるのであれば、その前に、頭金なしの場合の支払い額を計算してみてください。
たとえば、3,000万円の住宅を購入するのに、頭金300万円を貯めるのに数年かかり、頭金が貯まったときに金利が1.0%アップしていたとしたら、3,000万円を頭金なしのフルローンで借りる場合と頭金300万で2,700万円のローンを借りる場合では総返済額が同じくらいになるのです。家計の収支とのバランスが問題で、きちんと返せる額であれば、問題ないかもしれません。

Q「フラット35S」が適用される住宅について教えてください。

A認定長期優良住宅や認定低炭素住宅など、省エネルギー住宅や耐震性の高い住まいは、フラット35Sのローンが適用されます。フラット35Sは、フラット35から金利が一定期間引下げになり、引下げ期間終了後はフラット35の金利になります。

その他、認定長期優良住宅や認定低炭素住宅は、住宅ローン減税などの優遇のほか補助金などさまざまな制度が利用できます。
認定長期優良住宅などは、当初の建築費が多少高くなるかもしれません。しかし、光熱費などのランニングコストやメンテナンス費用など、長期的に考えると結果的にコストが抑えられることもあります。初期費用を抑えて住宅を建て、10年~20年で多額のメンテナンスが必要になった場合、通常の住宅ローンに加えて、リフォームローンを組むことになると、二重ローンになり負担が大きくなります。長い目で見たトータル費用の試算をしましょう。

太陽光発電システムは建築費用と一緒に住宅ローンで支払う

太陽光発電システムの設置には、地方自治体から補助金が出ることがあります。事前に調べておきましょう。
太陽光発電システムは、新築のときから導入しておけば、設置費用は住宅建築費用と一緒になるので、住宅ローンで支払うことができます。建築後は、月々の光熱費が安くなりますし、太陽光発電の買取制度もあるので、ランニングコストは抑えられます。
買取価格は毎年減ってきています。買取価格は、申し込み後10年間は申し込み時の金額なので、お考えであれば、早めに導入されるといいでしょう。
長期優良住宅のような、建物自体をしっかりした住宅にすることで毎月の光熱費の削減も期待できます。将来の費用対効果を考えて住まいづくりを考えることをおすすめします。

Q住宅ローンは借りられるだけ借りればいい?

A住宅ローンは、安全に無理なく返せる返済額の範囲内で考えましょう。

住宅ローンの返済比率の目安は、税込み年収の20~25%と言われていますが、返していける額は、人によって違ってきます。人生にはさまざまなライフイベントがありますが、ライフイベントの中で住宅購入の優先順位が高いという方は、頑張って住宅ローンを返していけるかもしれません。住宅購入よりも旅行などを優先するのであれば、レジャー費用等も考慮して、返済額を考えましょう。

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