2023/1/13
自分のタイプに合わせたワークスペースの作り方

リビングで仕事をすると集中できない…という方は、環境からの影響を受けやすいタイプかもしれません。自分のタイプに合わせたワークスペースの作り方を、一級建築士で空間デザイン心理士®の前海 佐季子さんに聞きました。
人によって集中できる場所が違う
在宅勤務も増え、リビングやダイニングにワークスペースを設けた方も多いかもしれません。ただ、会社と違って集中できない、なかなか仕事がはかどらないと感じている方も多いのでは。反対に家の方が仕事がはかどるという方もいます。なぜでしょうか?
実は、人の気配や話し声、雑音など環境からの影響を受けやすいタイプと受けにくいタイプがあります。
カフェで仕事をしたり、音楽を聴きながら読書ができる人は外的な刺激を遮って集中できるという意味から「スクリーナータイプ」。 一方、周囲の音や気配などが気になってしまい、個室など一人の空間の方が集中できる人は「ノンスクリーナータイプ」と呼びます。
- ●スクリーナータイプ
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イラスト:前海 佐季子
- ●ノンスクリーナータイプ
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イラスト:前海 佐季子
スクリーナータイプの人は、話し声や音楽などが聞こえてきても気にならず、雑音がある方が集中できるので家族がいるリビングやダイニングにワークスペースを設けても大丈夫です。
逆にノンスクリーナータイプの人は、人の気配や話し声が聞こえると気になって集中できず、パフォーマンスが落ちてしまいます。ワークスペースは一人になれる場所がおすすめです。
スクリーナータイプは、ワークスペースをどこに作っても適応できる

スクリーナータイプの方は、雑音があっても仕事ができるので特別なワークスペースをつくる必要はありません。ただ、子どもが小さくて仕事中に話しかけてきてしまうなど、支障が出る場合は、子どもの視界から見えないようスペースを囲うなどの工夫が必要です。
家族が近くにいる場合でも集中して作業できる方法は、視覚や聴覚からの情報を遮ることです。
例えば、リビングでくつろいでいる家族と、仕事をしている人の視線が合わないようにソファーやデスクを配置する。また、ノイズを遮るようなヘッドホンをつけるなどの工夫をすることで作業に集中できます。
ノンスクリーナータイプは、個室や視界を遮る工夫を

ノンスクリーナータイプの場合は、リビングやダイニングだと集中できないので個室がおすすめです。個室が作れない場合は、寝室の一角を仕切るなど静かな場所を利用してワークスペースをつくるのがよいでしょう。

リビングやダイニングしか場所が取れない場合は、仕切って視界を遮る方法を考えます。リビングにワークスペースをつくる場合、座った時に頭が隠れるくらいの高さの仕切りがあると余計な情報をシャットアウトでき、集中しやすくなります。間仕切りや引戸を取付けるのが難しい場合は、衝立やカーテン、収納を使って仕切ることも有効です。
デスクは壁に向かって設置

部屋のコーナー部分に、壁に向かうようにワークスペースをつくれば、余計な情報をシャットアウトできます。
ただし、全部を壁で囲われていると圧迫感が出てしまうので、可能なら、自然光が入る窓辺への設置がおすすめ。窓から視線が抜けることでストレス軽減にもつながります。
集中できるカラーを使って、仕事効率をアップ
ブルーは集中力が高まる色と言われており、デスクまわりに取り入れたいカラーです。部屋全体をブルーにすると寒々しくなってしまうので、一部の壁やカーテンをブルー系にしたり、小物にブルーを取り入れるのもおすすめです。
ワークスペースを子どもと共用する時のポイント

親と一緒のスペースで子どもが勉強をすることもあります。子どもにはリビングでの学習がいいという話もありますが、学年が高くなってくるにつれ、タイプに合わせた学習場所を考える必要もありそうです。
低学年の間は、リビングなど親の目が届く場所で勉強をする方が、愛情や安全、心の安定の面からおすすめなのですが、高学年になって勉強が難しくなってくるとリビングでは集中できないこともあります。その場合は、子どもがスクリーナータイプかノンスクリーナータイプかを見極めて、勉強部屋を計画するといいですね。

子どもが小さいうちは、ノンスクリーナータイプだからと、個室を与えるのではなく、何かあった時にサッと親と話ができるような環境にしておくなどの配慮をしましょう。
子どもにもおすすめ。ノマド式学習スペース

あえてワークスペースを固定せず好きな場所で仕事をするノマド式にするのもいいかもしれません。オンライン会議は個室で、普段の仕事はリビングでするなど、仕事内容や気分に合わせて場所を移動することができます。
特に子どもの勉強場所にもノマド式がおすすめ。飽きやすい子どもにとって気分転換がしやすいことや、聞きたいことがある時は親の近くで勉強するなど、学習内容やその時の気分で使い分けられるメリットがあります。
- ※ノマド式…英語で「nomad」。本来は遊牧民を意味する言葉です。 そこから派生して、最近はオフィスだけでなく、さまざまな場所で仕事をする働き方として使われるようになっています。
取材協力

前海 佐季子(まえうみ さきこ)さん
沖縄県で活動する住まいコンサルタント。琉球大学卒業後、県内の建設会社に入社。一級建築士・インテリアコーディネーターとして20年に渡り約120件のマイホーム建築に尽力。経験に加え、心理学・脳科学を使った住まいの悩み改善メソッドを開発。「このメソッドで世の中の悩めるお母さんたちの力になりたい」と、2021年に独立。「模様替え」からリノベーション設計まで幅広く、数々の住まいの悩みや家庭内のトラブル解決に努める。空間デザイン心理士®、2児の母。