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2006年6月更新

あなたに代わって専門家にお聞きします!「住まいづくりの疑問を解消」

住まいづくりの疑問を解消


住まいづくりの第一歩、「土地探し」。意気揚々とばかりに情報収集を始めたものの、大きな額の取引になると思うからなおのこと、慎重にならざるを得ません。分かりにくい土地の値段をはじめ、少しでも条件のよい土地の探し方や選び方は、ポイントが分かれば安心できます。そこで、不動産鑑定士で、都市開発研究所の平澤春樹氏に土地の選び方のコツをお伺いしました。

都市開発研究所 平澤春樹氏の写真
都市開発研究所
平澤 春樹 氏

安いものには“ワケ”がある 何らかの瑕疵があるなど注意が必要

Q
よく耳にするようになった競売物件に、掘り出し物はありますか?
A

競売物件は安くて掘り出し物がある、という人もいますが、そう簡単ではありません。瑕疵(かし)※物件を瑕疵のまま売るのが競売物件です。それをクリアできるような専門家の手助けがない限りは、リスクが大きく、細心の注意が必要です。

※瑕疵:行為・物・権利など本来あるべき要件や性質が欠けていること。

●信頼できる専門家に依頼するのがベスト

不動産競売は、住宅ローンなどの債務の返済ができなくなった人の不動産を裁判所が差し押さえて競売にかけるものです。入札には一般の人でも参加できることや、落札価格が実勢価格(取引価格)よりも割安で手に入ることから注目を集めています。
実態は、瑕疵物件を瑕疵のまま売ることから、瑕疵が多い物件と認識することが必要です。それでもリスクを伴う競売物件の購入を考える場合は、信頼できる不動産鑑定士や弁護士、バイヤーズ・エージェントなどの専門家に依頼することをお勧めします。

●競売よりリスクの少ない国税庁の物納物件

相続税は原則、現金で一括納付することになっています。ところが、現金納付や延納(分割納付)でも納付が困難な場合、不動産や有価証券等で納付するのが物納です。国税庁では迅速に売却することを念頭に、流通しやすい瑕疵の少ない物件を受け付けることから、買う側にとっては、競売に比べてリスクが少ない物件です。
2006年度税制改正では、相続税の物納制度の改正が行われ、物納不適格財産(物納できない財産)を明確化しています(2006年4月以降の相続が対象)。抵当権付不動産や境界が特定できない物件などが対象となり、さらに瑕疵の少ない物件が期待できます。

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よい土地・悪い土地の見分け方 四角形・変形の土地を検討するポイント

Q
土地の形状がAは四角形、Bは変形、立地的に気に入っているのはBの物件。 広さも値段もほぼ同様、その場合の選ぶポイントは?
A

土地の絶対的なスペースの量が問題になります。同じ広さの場合、変形地のほうが絶対的なスペースが少なく、2〜3割減までの価格交渉も可能です。ただし、安く購入しても、建築費やランニングコストがかさみやすいのも変形地の特徴です。

●値段交渉は可能だが、トータルコストでの検討を

例えば、同じ三角地の場合でも、道路に接する辺が長い場合とそうでない場合も土地の価格は異なってきます。建て替えのきかない無道路地では、半値近くまで変わってきます。敷地内に家を建てるときは、北側に寄せて南側を開ける場合が多いことから、南側の土地の絶対的スペースによっても異なってきます。
土地を安く購入しても、構造的、デザイン的にイニシャルコストがかかり、ランニングコストも高くなるのが普通です。熱効率が悪いことなどから、光熱費などがかさむことも考えられます。トータルコストでの検討が必要です。

■よい土地に欠かせない接道状況

同じ三角地でも、接道部分が多い土地(左)の方が建て替えや転売がしやすい。

●奥まった静かな環境なら、旗竿地という選択肢も

一方、変形地の中でも注目したいのが旗竿地。道路から竿部分の細い敷地の奥に土地が広がった旗竿形状の土地です。細い敷地は、駐車場として使うだけではなく、容積率にも関わってきます。
道路に面している部分が少ないことから、近隣の土地に比べて、半値ぐらいの値で出回ることもあります。静かな環境を望む場合は、選択肢の一つに入れるのもよいでしょう。ただし、分割したような土地では、上下水道・ガスの配管が独立して通っているのかどうかを確認する必要があります。

■旗竿状の土地

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気になる土地を絞り込むときに必要な視点 公法上の規制と相隣関係からの規制を知る

住宅密集地などでは、相隣関係も土地選びに欠かせない。

Q
気になる2つの土地、AとBのどちらかに絞り込むときに必要な視点は?
A

まず、すべての土地には、何らかの規制が重なってかかっていると思ってください。例えば、国土法や都市計画法などの公法上の規制のほか、表には見えにくい相隣関係、隣接地からの規制があります。そういった規制の確認とチェックしたいポイントがあります。

●「建て替え可能・転売しやすい物件」がいい土地の条件

いい土地とは、「建て替えが可能かどうか」、「転売がしやすいかどうか」がポイントです。
具体的には、(1)相隣関係(建築協定などのルール)、(2)土壌汚染法が適用されていないか、(3)接道状況(公道・私道か、もしくは、42条2項道路かなど)、(4)用途規制はないか(将来の建て替えや二世帯住宅を考える場合は、第一種住居地域よりも規制の緩やかな第二種住居地域などを選びたい)、(5)私的な相隣関係(意地悪するような人がいないか)、(6)河川の氾濫平野かどうか、(7)景観を損なう高圧線や敷地地下に鉄道などが走っていないか、(8)将来における南側の環境、(9)土地の権利関係、などを確認します。

●もはや通用しない日照権、南側の状況は要確認を

特に住環境の面から確認したいのが、(8)将来における南側の環境です。南側に日照や眺望を遮るような建物が建つ可能性がないかを確認します。望ましいのは、大きな神社や小学校、公園などの権利関係が比較的安定していて、将来変わる可能性の少ない場所です。
マーケット全体では、そういう物件は5%程度しかなく、ほとんどが南側に建つ可能性があります。どんなものが建つ可能性があるのかを予測して買うことが大切です。かつて多く見られた日照紛争後、東京都などでは日陰条例ができたことから、日照権は弱いものになってきているのが現状です。

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建築費がかさむ思わぬ落とし穴!? お金のかかる土地、かからない土地

Q
建築費がかさむ土地とは、どんな土地ですか?
A

地盤が弱い、道路との高低差が1.5m以上ある、準防火地域、接道の幅員が狭い、などの土地は、建築時に新たな費用が発生する場合があります。選ぶ際には注意が必要です。

●地盤の弱い土地では地盤改良工事などの出費も

地名に谷や沼、沢、吉田(“吉”をつけて湿地を隠した地名など)というような低湿地を表す地名の多くは、歴史的に見ても河川の氾濫地域です。しかも土壌が堆積のため、地盤が弱く、地盤改良の工事費などがかかる場合があります。傾斜地に盛土をして平地を増やす場合なども同様です。事前にどんな地層なのか、活断層にかかっていないかなども確認をするのも重要です。 また、取り壊しを前提に古い建物付きの土地を選ぶ場合は、解体費用と場合によっては、アスベスト撤去費用がかかる場合もあります。安く購入するはずが、結果的には、実勢価格が高くても地盤の強い更地の土地のほうが安くなる場合もあります。

■地盤の弱い傾斜地の盛土

●土壌汚染の改善負担を回避する記述を

ほかにも注意したいのが、土壌汚染法が適用されていないかどうか。以前は、瑕疵担保責任(売主)だったのが、買主に転化して所有者責任となります。地歴調査のうえ、土壌汚染法の適用の可能性のない土地を選ぶのが大切です。
もしくは、回避するために、売買契約書に一筆記載するのも一つの方法です。その場合は、「住宅として利用できない何らかの原因が発生(埋設物や土壌汚染)した場合は、売主負担で改善すること」を要求する記述を入れるようにしましょう。


※今号では、土地を選ぶとき、契約するときのポイントをご紹介しました。実際に探すときのコツは、前号(2006年5月号)でご紹介しています。

あこがれの「住まい」を考えるヒントや、日々の暮らしを少しの工夫でより快適にする情報などをお届けしています